スマートホンをグローバルに展開しているGalaxy(ギャラクシー)から、この冬モデルとなる最新スマホが大挙して発表された。フラッグシップ「Galaxy Note20 Ultra 5G」は、6.9インチの有機ELディスプレイを搭載し、本体に収納可能な「Sペン」と呼ばれるタッチペンが付属しており、手描きの風合いが強く感じられるよう仕上げられているのが特徴。

 また、同時発表の「Galaxy Z Fold2 5G」は縦方向への二つ折り可能なスマホ、「Galaxy Z Flip 5G」はフィーチャーホンのように縦方向に二つ折りが可能なモデル。ガジェット好きにはたまらないだろう。

 そして、ミドルレンジクラスながら注目の「Galaxy A51 5G」は、タッチペンは付属しないものの、6.5インチの有機ELディスプレイを備え、カメラはなんと4眼式! 超広角から望遠(10倍)、40mmまでの接写ができるほか、深度測位機能もあり、背景をぼかしたレンズ交換式一眼カメラのような撮影も楽しめる逸品。ここではそのA51のサンプルが借りられたので、主にオーディオビジュアル的な側面からレポートしてみたい。

背面にはレンズが4つ

 さてA51のスペックから紹介していくと、ディスプレイは先述の通り6.5インチの有機ELタイプ。解像度はFHD+なので、シネスコよりも少し横長(製品的には縦長)なもの。本体幅は約74mmとスリムに纏められているので、片手でも握りやすい。質量は約189gと数字的には軽量だが、手にするとけっこうずっしり感がある。

 まずは音質面からチェックしたい。有線イヤホンを接続して、スマホのオーディオ機能はデフォルトで行なった(UHQアップスケーラーは「音質を向上」)。音場感は全体的に狭い印象で、細かい音の再現性はいま一歩。レンジ感はあるものの、どちらかと言えば低音部分が少し強調気味となっており、その影響でボーカル帯域にかぶさっているように聴こえる。逆に、中域部分は控えめというか薄味だ。

 そこでまず、UHQアップスケーラーの項目を「音質と音域を向上」に変えてみる。すると、がぜん高域の再現性が高まり、低音が控えめとなり、しっかりと帯域のバランスが取れたサウンドになった。ボーカルも低音の影響が少なくなったためか、より前に出てくる印象だ。

 さらにA51には「Adaptive Sound」という項目があり、これはユーザーの年齢による聴こえ方の変化に合わせて、音質を補正(最適化)してくれるものだ。イヤホンを装着した状態で測定を始めると、周波数をいろいろと変えたピーピーピーというビープ音が流れてくるので、聞こえたかどうかを「はい」「いいえ」で答えるだけ。仕組みとしては、Skullcandyのワイヤレスヘッドホン「Crusher ANC」に搭載されているパーソナルオプティマイゼーション機能「audiodo PERSONAL SOUND」と同じと考えていいだろう。微小な音が流れてくるので、測定は静かな部屋(環境)で行なうといい。時間は30秒ほどだ。

 写真中央は有線イヤホンで測定した筆者の結果。写真右は完全ワイヤレスイヤホンでの測定結果(プロファイル)だ。完全ワイヤレスイヤホンでも測定できるのには驚いたが、結果は複数保存しておけるので、組み合わせるイヤホンのタイプに合わせて使い分けるといいだろう。

中央は有線イヤホンでの測定結果。右は完全ワイヤレスイヤホン

 Adaptive SoundをONにした結果は見事なもので、定位感は少し下がるものの、高域がスッと立ち上がると同時に音場感も広くなり、強めに感じた低音は控えめになりながらも、全体的に音の厚みが増し、まるでプレーヤーを専用機に変えた印象。有線イヤホンのプロファイルを完全ワイヤレスイヤホンに使用すると、少し過剰に感じる部分もあるので(当然、製品が異なるからだろう)、ここはひと手間かけて個別の測定を行ないたい。

 完全ワイヤレスイヤホン用のプロファイルを作成すると、有線タイプと同じように高域や低域の再現性、音場感、レンジ感といった音質に関わる要素が、それぞれ拡大するのが実感できた。中域のにごり感が抑制され、ボーカルのクリアさがより浮き立ってくる印象。効果は抜群だ。近年はAndroid OS搭載の専用ポータブル再生機も増えてきていることもあり、こうした最適化機能の普及に期待したいと思う。

 なお、Galaxyから発売されている完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds Live」と本機を組み合わせると、専用コーデック「Scalable Codec」での接続(伝送)が可能となり、これはビットレートが88~512kbpsまで可変するので、接続環境がよければ、aptX HD相当のビットレートで音楽が楽しめることになる(残念ながら今回は未テスト)。

 次は画質についてお届けしよう。パネル(ディスプレイ)が有機EL製だけあって、発色は豊かだし、コントラストも抜群。FHD+の解像度ながら、細かい部分の描写も優秀で、質感まで味わえそうな精細感がある。

 画質に関する設定は「画面モード」しかないようだが、初期状態の「鮮やか」で、有機ELのパフォーマンスを存分に味わえるだろう。かつてのようにギラギラ、ピカピカという印象は払拭されているので、動画から静止画、ネットサーフィンに至るまで綺麗な映像表示が楽しめた。

上は「ナチュラル」モード、下は「鮮やか」モードでの表示を撮影

 Netflixコンテンツを視聴しようと思ったら、なぜか借りているサンプルではアプリのインストールができなかったので、残念ながら未見。代わりにYouTubeやAmazonプライム(無料コンテンツ)から、映画の予告編やMVなどなど、いろいろなコンテンツを視聴したが、原色系の色彩の豊かさは言うに及ばす、6.5インチという画面サイズを超えた立体感が味わえた。Galaxy A51 5Gはまさにスマートディスプレイであり、超高画質な手のひらシアターとしても存分に楽しめるだろう。

通常の広角撮影

超広角撮影

マクロ撮影は40mmまで寄れる!