クリプトンから、2ウェイブックシェルフ型スピーカーの新製品「KX-1.5」が発表された。定価¥280,000(ペア)で11月上旬の発売予定。

 同社は、今では貴重な国産2ウェイスピーカーを多くラインナップしているが、中でも170mmウーファーを搭載した「KX-1」が人気ナンバーワンだという。今回登場したKX-1.5はそんなKX-1の後継機にあたる製品だ。

新製品の「KX-1.5」を、同じく新製品のスタンド「SD-3.5」に載せたところ

 2ウェイ密閉型という仕様と本体サイズなどはKX-1と同じだが、低域用のウーファーは新開発され、クルトミューラー製ペーパー振動板から、KX-0.5で採用され好評を博したカーボンポリプロピレン(CPP)振動板に変更されている。ユニット径はKX-1と同じ170mmで、エッジワイズのロングトラベル4層巻ボイスコイルを採用することで、ダイナミックな低音再生を可能にしている。

 高域用には、KX-1やKX-0.5でも採用された35mm砲弾型イコライザー付リングダイアフラムトゥイーターを継承し、ハイレゾ信号などの50kHzまでの再生もカバーする。

 エンクロージャーはKX-0.5と同じくスモークユーカリの自然材突き板をポリウレタン塗装で仕上げている。板厚は18mm、裏板にはMDFを使った高剛性密閉型とすることで、不要振動を抑え、振動減衰特性に優れた響きのいいエンクロージャーを実現したとのことだ。

 さらに内部配線には、上位モデル「KX-5PX」と同様のPC-Triple Cの内部配線材が奢られた。ウーファー用、トゥイーターの特性に合わせて試聴を繰り返し、最適なケーブルが厳選されている。

「KX-1.5」で使われたユニット。右が新開発の170mmウーファーで、左のトゥイーターは「KX-1」や「KX-0.5」と同じものが使われている

 もうひとつ、KX-1.5ではスピーカー端子がバイワイアリング対応に変更された。KX-1やKX-0.5はシングルワイアリング仕様だったが、バイアンプやバイワイアリングで駆動したいユーザーも多いだろうと考え、上位モデルに準じた仕様になったそうだ。接続を変えることによる音質改善効果も大きかったそうで、音にこだわる方にはぜひ試していただきたいと、開発者の渡邉さんも話していた。

 先日開催された発表会で、KX-1.5の音を聴かせてもらった。従来モデルのKX-1と同じソースを再生してもらったが、まず低音の再現性が違う。ドラムやベースがKX-1はおおらかでふわりと広がる印象なのに対し、KX-1.5は若干締まって弾んだ再現になる。

 渡邉さんによると、密閉型スピーカーの場合、振動板の素材によって内部の空気の動きが変化することもあるという(紙だと繊維の間から空気が漏れて音が柔らかい印象になる)。KX-1とKX-1.5の印象の違いも、そういった点に起因しているのだろう。

 KX-1.5は高域から低域までバランスよく、かつハイスピードで楽しませてくれる、現代的な音楽ソースの再現に最適なスピーカーだと思った。

 なお今回、スピーカースタンドの新製品も発表された。型番は「SD-3.5」で、定価¥60,000(ペア)、11月上旬の発売だ。

 クリプトンではスピーカースタンドやサウンドボードも多くラインナップしており、こちらも人気が高い。特にスピーカースタンドは他社製品と組み合わせて使われることも多いという。

 新製品のSD-3.5は、既発売の「SD-5」をベースにしたバリエーションモデルともいえる。SD-5ではホワイトアッシュの無垢材を4面に配置し、その中央に鉄柱を通すことで合成と響きのよさを両立していた。

 今回のSD-3.5は無垢のビーチ材(集成材)で支柱を構成、芯まで木材のみを使っており、内部に鉄柱は通していない。これにより音質的にはより柔らかく自然な広がり感が再現できているようだ。なおスピーカーを載せる上部鉄板や鉄球入りのスピーカーベース部はSD-5と共通となっている。

「KX-1.5」の主なスペック

●型式:2ウェイ2スピーカー、密閉型
●使用ユニット:35mmリングダイアフラムトゥイーター、170mmコーン型ウーファー
●出力音圧レベル:88dB/W/m
●インピーンダンス:6Ω
●クロスオーバー周波数:3,500Hz
●再生周波数帯域:40Hz〜50kHz
●寸法/質量:W224×H380×D319mm/9kg

「SD-3.5」の主なスペック

●寸法/質量:W249×H620×D325mm/7.2kg(スピーカー設置部のサイズはW200×D260mm)