『ガールズ&パンツァー』の水島努監督の最新作『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』(以下、『完全版』)。この作品は可愛らしい女の子が戦闘機に乗って大空を飛び回る活劇だ。9月11日(金)から劇場公開される『完全版』は、TVシリーズの内容を再構成し、新作カットも追加したもの。3DCGを駆使した本格的な空戦シーンは、7.1ch音響となってさらに迫力を増している。さらに迫力ある空戦を“体感”できるMX4Dでの上映も決定している。魅力たっぷりの『完全版』の見どころや聴きどころを、コトブキ飛行隊の面々を演じたキャスト陣にインタビューした。

新作エピソードで、結成秘話やキリエとエンマの出会いが描かれる

 一面の荒野が広がる世界“イジツ”。突如として空に空いた穴からさまざまなものが落ちてきた。なかでもユーハングがもたらした飛行機は“イジツ”を一変させ、商船は空を飛び、それを狙う空賊と、商船にやとわれた用心棒たちが大空を駆けていた。物語の中心であるコトブキ飛行隊は、6人の女の子が集まった用心棒集団。女の子ながらみなスゴ腕の持ち主で、いざ空戦となれば息の合った戦いを繰り広げる。今回のインタビューでは、コトブキ飛行隊の面々を演じたキャストが集合。キリエ役の鈴代紗弓、エンマ役の幸村恵理、ケイト役の仲谷明香、レオナ役の瀬戸麻沙美、ザラ役の山村響、チカ役の富田美憂の6人だ。

――『完全版』では、新作シーンとしてコトブキ飛行隊結成のエピソードや、キリエとエンマの初めての出会いなどが描かれています。その場面の印象はいかがですか?

鈴代 幼なじみのエンマとの出会いが描かれたのは、私としても知ることができて嬉しかったエピソードです。

幸村 没落貴族になる前のお嬢様の頃ですから、毒のない印象で、自分とは考え方の違う女の子と出会ったときの驚きを素直に演じさせてもらいました。

鈴代 キリエがコトブキ飛行隊に入るエピソードも、最初のきっかけはエンマというのに感動しました。

――こうした過去のエピソードは、TVシリーズのときに監督から説明はあったのでしょうか?

仲谷 TVシリーズのときは、最初から飛行隊を結成していましたから、監督にそのあたりを聞いてみたんです。そうしたらいろいろと教えてくれたので、頭の中にはあったと思いますけど、当時は詳しい説明はありませんでした。『完全版』でそんな部分も知れたのは、ファンだけでなく私たちとしても良かったです。

――TVシリーズではすでに息の合ったチームだった6人の過去を、改めて振り返った感じですね。過去を知った上で見ると、本編も6人の会話や空戦も息の合った感じがさらにわかりました。では、そんなコトブキ飛行隊をまとめるレオナとザラによるコトブキ飛行隊結成のエピソードについてはどうですか。

瀬戸 レオナとザラがビールを飲みながら、の場面ですね。このシーンはYouTubeで配信されている『荒野のコトブキ飛行隊外伝 大空のハルカゼ飛行隊』にあったエピソードです。みんなに見て欲しいシーンだったので、『完全版』で改めて描かれてよかったです。

山村 ザラがレオナに自分の飛行隊を作れと言う場面で、ザラの「手を取って」という言い方にぐっと来ました。あえて「自分と一緒に」ではなく、ザラは一歩下がってレオナの背中を押してくれる態度がいじらしい。

瀬戸 レオナは頼られるのが好きだから、そこをザラはよく分かっているな、と。

鈴代 ふたりの演技を見ていて、あらためてゾワッとしました(笑)。

――今度は無口というかクールなキャラクターのケイトの加入です。お兄さんのアレンもなかなかいい性格ですが、初期の堅い感じが徐々に打ち解けていく演技の変化が印象的でした。TVシリーズのときのアフレコと今回のアフレコでは何か違いはありましたか。

仲谷 アフレコはTVシリーズからはほぼ1年ぶりでしたけど、スタジオで顔を合わせたら1年の時間が空いていたことも忘れて、当時のままの気分で演じられました。

瀬戸 TVシリーズのときのテンポ感で、そのまま演じられましたね。

山村 TVシリーズは会話のテンポが速くて!

鈴代 そうそう、登場するキャラも多くて、最初のころはワーってなってました。

山村 スタジオでは誰がどのマイクを使うかを決めるマイクワークも大変でした。このあたりでもチームワークが作られていったように思います。

――最後は、最年少のチカの加入時のエピソードについて聞かせてください。

富田 TVシリーズでのテンポ感は染みついていましたから、すっとチカの演技をすることができました。コトブキ飛行隊の面々とは初対面なので、いつもより生意気度マシマシで(笑)。キリエとの初めてのケンカの時は水島監督の指示で「チカはキリエより大人な感じで」というものもあって、ムキになるというよりもキリエを煽る感じですね。

鈴代 チカとのケンカは、オフになってからも裏でずっと続いていて、実はあれアドリブなんですけど、2人はずっと続けていました。バーカバーカとか言い合いながら、ちゃんとケンカしているんです。

――7.1chサラウンドになったことで、後方のチャンネルでのケンカの声もかなりよく聴こえますよね。あれはアドリブだったんですね。

富田 TVシリーズの時から喧嘩は毎回ほぼアドリブでしたから、もうすっかり慣れてしまいました(笑)。

戦闘機の動きがリアル。パンケーキの匂いも注目。MX4Dの見どころ

――次に、注目のMX4Dについてお聞きします。MX4Dは鈴代さんと幸村さんが制作中のバージョンを体験されたそうですね。感想はいかがですか。

鈴代 ただ動くだけではなくて、戦闘機ごとに動き方が違うんです! すごいなぁと思いました。そして、皆さん気になっているであろうパンケーキの匂いも……します! ぜひとも嗅いでみてください。

幸村 機体の動きも凄かったのですが、撃たれるとエアーが噴き出したり、直撃したときは背中に衝撃があります。五感を使って空戦を体験できるというか、アトラクション的でした。

鈴代 空戦シーンはもちろんですが、日常シーンも面白かったです。ドードー船長が暴れた時の衝撃もなかなか楽しいです。

――MX4Dは8月末に最終調整が終わったと水島監督がツイートしていました。そこでは、アノマロカリスのぬいぐるみをポコポコするところと銃撃戦をおすすめしていました。ぜひともMX4Dで見てみたいですね。では、皆さんの見どころをお願いします。

仲谷 『完全版』は全部見どころです。結成秘話をお楽しみに。

瀬戸 ラハマ防衛戦で富嶽が穴に吸い込まれていく場面が迫力たっぷりです。映像はもちろん、音響も凄いのでぜひ楽しんでください。

山村 雷電に乗ったザラが、切り立った崖で敵を追いかけているシーンでの急上昇が迫力満点です。MX4Dで見たら凄そうです。自分もMX4Dで体験してきます。

富田 新作カットでキャラクターの深堀りが見られるので、もっとキャラを好きになってもらえると思います。『コトブキ』をもっと好きになって欲しいです。

――公開がとても楽しみです。ありがとうございました。

『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』

【公開日】 2020年 9月 11日(金)
【配給】バンダイナムコアーツ、ショウゲート
【宣伝】クロックワークス

【スタッフ】監督・音響監督:水島努/シリーズ構成:横手美智子/脚本:横手美智子、吉野弘幸、檜垣亮/メインキャラクター原案:左/キャラクターデザイン:菅井翔/ミリタリー監修:二宮茂幸/ミリタリー設定:中野哲也、菊地秀行、時浜次郎/設定協力:白土晴一/3D監督:江川久志/テクニカルディレクター:水橋啓太/総作画監督:中村統子/美術監督:小倉一男/色彩設計:山上愛子/撮影監督:篠崎亨/編集:吉武将人/音楽:浜口史郎/音響効果:小山恭正/サウンドミキサー:山口貴之/エンディング主題歌:コトブキ飛行隊「翼を持つ者たち」/制作:デジタル・フロンティア/アニメーション制作: GEMBA/作画制作:ワオワールド
©「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

【キャスト】キリエ:鈴代紗弓 エンマ:幸村恵理 ケイト:仲谷明香 レオナ:瀬戸麻沙美 ザラ:山村響 チカ:富田美憂 マダム・ルゥルゥ:矢島晶子 サネアツ:藤原啓治 アンナ:吉岡美咲 マリア:岡咲美保 アディ:島袋美由利 ベティ:古賀葵 シンディ:川井田夏海 ナツオ:大久保瑠美 ジョニー:上田燿司 リリコ:東山奈央

【イントロダクション】一面荒野が広がる世界、“イジツ”――。ある日、空に“穴”が空き、そこから色々なものが降ってきた。中でも“ユーハング ”がもたらしたものの影響は大きく、とりわけ飛行機の存在によって人々の生活は激変。以降、世界の潮流は空へと移っていった。時は流れ――、空には商船とその用心棒、荒くれ者の空賊など、さまざまな人々が飛び交っていた。オウニ商会の雇われ用心棒“コトブキ飛行隊”は、空を飛ぶことが大好きな、女の子だけのスゴ腕パイロット集団。彼女たちは愛機である隼一型とともに、イジツ全体を巻き込む大きな戦いへと立ち向かっていく――。

【公式サイト】https://kotobuki-anime.com/
【Twitter】https://twitter.com/kotobuki_PR