inakustik HDMI 2.1 OPTICAL FIBER CABLE
¥39,000(2m)+税
●型式:光HDMIケーブル●対応規格:HDMI2.1●伝送帯域:最大48Gbps
●主な特徴:8K/60p対応(最大100m伝送)、HDR対応、120Fps対応、ARC(50m)、eARC(30m)対応
●問合せ先:㈱ユキム

 高級オーディオ・ケーブルメーカーとしてお馴染みのドイツの名門、インアクースティックから8K映像の伝送をサポートしたHDMIケーブル「HDMI2.1 OPTICAL FIBER CABLE」が正式発表となった。

 この春発売となった「HDMI2.0 OPTICAL FIBER CABLE」同様、光伝送型のHDMIケーブルだが、メーカーが保証する伝送速度は24Gbpsから48 Gbpsまで高速化され、実力として8K放送のスペック、8K/60p/4:2:0のHDR(HLG方式)信号の伝送をクリアーしていることになる。

▲HDMI2.1仕様品には「Professional HDMI Cable 8K 48Gbps」との印字がある。プラグサイズ等もほぼ変わらないが、伝送帯域がHDMI2.0品の24Gbpsから48Gbpsへと2倍も向上しているから驚きだ

 電力供給用の銅線(撚り線)と光ファイバーケーブル(石英ガラス/Quartz Glass)の組合せで、24Kゴールドメッキ端子と堅牢なソリッド・メタル・プラグを装着。最長100m(30m以上は受注生産)の長さでも、外部からの電源を供給は必要としない。

 基本的な技術はHDMI2.0タイプを踏襲しているものと思われるが、両者を比較すると、ケーブルは心持ち太く、プラグ部分もわずかに大きい。技術詳細は公になっていないが、48Gbps伝送対応にむけて、プラグ内の電気/光の変換精度、石英ファイバーの光の直進性など、基本性能は大幅に向上したと見て間違いない。

▲左がHDMI2.1 OPTICAL FIBER CABLE、右がHDMI2.0 OPTICAL FIBER CABLE。ケーブルの太さやプラグの大きさはほとんど変わらない。ケーブルが細くて取り回しがしやすいという美点も変化がない

 もちろん8K伝送への期待は大きいが、現状ではUHDブルーレイ再生や4K放送のオンエア時にいかなる画質改善効果が得られるかが重要。さっそく同社のHDMI2.0タイプとの比較を交えながら、その実力を検証してみよう(ケーブル長はいずれも2m)。

 まずHDMI2.0タイプを使い、東芝の有機ELテレビ55X930とパナソニックの4KレコーダーDMR-SUZ2060の組合せで、BS4K(主にNHKの大相撲中継)を視聴してみたが、明るく伸びやか色再現となめらかな階調性が特徴的で、力士の肌のグラデーションも緻密だ。解像感、S/N感ともにレベルが高く、土俵の後に拡がる観客席まですっきりとして、見通しがいい。

 UHDブルーレイ『ジョーカー』の再生でも、基本的な画質傾向は変わらない。鮮やかさを強調したり、細部を際立たせたりせずに、落ち着いたフラットなトーンで見せるタイプ。室内の暗いシーンでもノイズの粒子が細かく、階調性もクセっぽさは感じさせない。

 これはこれで充分に満足のいくクォリティだが、新製品のHDMI2.1に変えてみると、また別の世界が拡がった。興味津々でBS4Kの大相撲中継を見たが、引き締まったフォーカス感といい、鮮やかさを感じさせる豊かな色乗りといい、その表現力は明らかに異なる。

 輪郭描写にしても、色再現にしても、作為的なところはなく、細部のタッチが力強く、土俵上の細かな凹凸、力士の顔に沸き上がる汗までも鮮明に描き出す。そしてダイナミックレンジが拡がり、S/N感にも余裕が生まれたことで、国技館の土俵を取り巻く空間の拡がりが、より立体的に感じられるようになった。

 『ジョーカー』は高コントラスト調の見せ方になり、細部までしっかりと高純度の色が乗る。黒の艶感が増して、ローライトのグラデーションもなめらかになる。べとつきを感じさせない見通しのよさは、豊かな階調性の証。独特の光沢感も見応えがある。特に明/暗の描きわけの鮮やかさ、安定感はさすがだ。

 最後に音も確認してみたが、いずれも気張ることなく、ニュートラルな音色で聴かせるタイプで、基本的な傾向はよく似ている。ただ中低域の吹き上がり、空間のスケール感、あるいは微小信号の表現力といった部分で、グレードの差は明らか。軽やかに、明るい音調で聴かせるHDMI2.0に対してHDMI2.1はよりワイドレンジで、空間の静けさと、響きの質感の高さといった部分でも明確な優位性を感じさせてくれる。

 48Gbps伝送対応の恩恵は4K再生でも絶大だった。

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