ソニーから4K解像度ホームシアタープロジェクターの新製品が2モデル発表された。それぞれ現行の「VPL-VW745」「VPL-VW555」の後継モデルだが、市場想定価格が値下げされ、旧モデルから10%ほどお安くなっている。

●4Kホームシアタープロジェクター
「VPL-VW775」 ¥1,350,000(税別、9月18日発売予定)
「VPL-VW575」 ¥800,000(税別、10月9日発売予定)

上位モデルの「VPL-VW775」

 今回はどちらも3年ぶりのモデルチェンジとなるが、基本仕様はほとんど変わっていない。映像投写用のSXRDデバイスを含め、レンズや信号処理回路はすべて前モデルを踏襲。本体サイズもまったく同じだ。

 一番の進化点は、HDR映像再生用の機能として「ダイナミックHDRエンハンサー」が追加されたことだろう。ダイナミックHDRエンハンサーとは、HDRソースの再生でこれまでのプロジェクター投写映像では難しかった、明るい部分と暗い部分が混在したシーンの再現性を改善する機能となる。

 今回は新たに信号処理LSI(ブラビア等で採用されている『X1』)を追加し、フレームごとにダイナミックレンジを調整、明るい部分をより明るく再現する。ただし、それだけだと黒が浮いた映像になってしまうので、光源をコントロールして黒を沈め、全体としてのコントラストを整えているわけだ。上位モデルのVW775ではレーザー光源の調整とアイリス連動によって、VW575はアイリス連動を活用している。

 なおダイナミックHDRエンハンサーは「HDR10」のPQカーブに即した映像を再現することを狙っており、4K/8K放送のHLGや従来のSDソースについてはこれまで通りの再現となるようだ。その効果は「強/中/弱/オフ」の4段階から選択可能で、初期値は「中」。

「ダイナミックHDRエンハンサー」の効果のイメージ。オンにした状態(右)では中央部の太陽の輝きが増し、さらに映像右端の宇宙空間が暗く沈んでいる

 さらに弟機のVW575には「デジタルフォーカスオプティマイザー」が搭載された。これはリアリティークリエーションとデジタル処理を組み合わせて空間解像度を向上させるもの。VW745などのレーザー光源モデルには既に搭載されていたが(今回のVW775も搭載済み)、同社のランプ光源搭載モデルとしてはVW575が初めての採用となる。

 なお先述の通り投写レンズはVW745、VW575と同じプラスチック素材を使ったタイプが採用されている。この点について、上位モデルの「VPL-VW855」や「VPL-VW5000」で使われているARC-F(オールレンジクリスプフォーカス)レンズとの違いを気にする向きもいるようだが、ソニーではVW775、VW575のレンズは有効レンズ径が大きく、歪みも少ないので、4K映像の投写について充分なスペックを備えていると説明している。

 さらに今回はVW575にもデジタルフォーカスオプティマイザー機能が加わったことで、いっそう鮮明な映像を楽しめるようになっている。120インチ以上に投写するといった場合にはARC-Fレンズとの違いが出てくる可能性もあるので、自宅のスクリーンサイズを踏まえて判断するといいだろう。

 昨今は、薄型大画面テレビに押されて、プロジェクターの影が薄い印象もある。しかし100インチを超える圧倒的な迫力や没入感再現という点では、プロジェクターでの映画鑑賞はやはり魅力的だ。そこにソニーから新製品が投入された(しかもお安くなって)のだから要注目だろう。大画面ファンは、VPL-VW775とVPL-VW575の映像をぜひチェックしていただきたい。

「VPL-VW775」の主な特長

接続端子は2モデルとも共通。HDMI入力は4K(18Gbps)対応となる

●独自のネイティブ4K(水平4,096×垂直2,160画素)パネル「4K SXRD」を採用
●Z-Phosphorレーザーダイオード光源採用
●高輝度2,000ルーメン
●HDMI 2.0準処により4K/60p信号の伝送に対応(18Gbps対応)
●ダイナミックHDRエンハンサーで明部も暗部も表現力向上
●デジタルフォーカスオプティマイザーで周辺部を含む全体の精彩感向上
●1,000nit調整コンテンツ専用のHDRリファレンスモード搭載
●データベース型超解像処理LSI(リアリティークリエーション)搭載
●オートキャリブレーション機能により色バランスのズレを自動で補正
●約20,000時間長寿命光源(出力高時)
●ゲーム用遅延低減モード
●レンズシフト水平±80%、垂直±31%
●アナモフィックレンズ対応4K信号処理(Vストレッチ)
●低騒音24dB
●本体サイズ、重量、端子位置など外形はVW745と同じ

「VPL-VW575」の主な特長

「VPL-VW575」はブラックとホワイトの2色展開となる

●独自のネイティブ4K(水平4,096×垂直2,160画素)パネル「4K SXRD」を採用
●1,800ルーメンの高輝度
●HDMI 2.0準処により4K/60p信号の伝送に対応(18Gbps対応)
●ダイナミックHDRエンハンサーで明部も暗部も表現力向上
●デジタルフォーカスオプティマイザーで周辺部を含む全体の精彩感向上
●1,000nit調整コンテンツ専用のHDRリファレンスモード搭載
●データベース型超解像処理LSI(リアリティークリエーション)搭載
●オートキャリブレーション機能により色バランスのズレを自動で補正
●アドバンストアイリス3搭載で35万対1のダイナミックコントラストを実現
●約6,000時間(ランプ低時)長寿命ランプ
●ゲーム用遅延低減モード
●広域レンズシフト(水平+85%、-80%)
●アナモフィックレンズ対応4K信号処理(Vストレッチ)
●低騒音26dB
●本体サイズ、重量、端子位置など外形はVW555と同じ