TOHOシネマズは本日、9月10日にオープン予定の「TOHOシネマズ立川立飛」のマスコミ向け内覧会を開催した。TOHOシネマズ立川立飛は、多摩モノレール立飛駅直結の「ららぽーと立川立飛」近接地に9スクリーン1,605席を備える独立した映画館として建てられている。

 劇場としての施設の詳細は前回の記事(https://online.stereosound.co.jp/_ct/17384974)で紹介した通りだが、今回はその中で特徴的な3つのスクリーンを体験させてもらった。

ロビーに設置されたドリンクバーマシン

 とその前に、入り口を入ると吹き抜けの広いロビーが広がっている。ここで新しいのが、TOHOシネマズとして初という大型ドリンクバーだろう。アメリカLANCER CORPORATION製のマシンが2台設置されており、¥400でカップを購入すればおかわり自由だ(ドリンクは10種類以上あり)。なおドリンクバーにはHOTとCOLDがあるが、すべてノンアルコールです。

立川エリア初のIMAXデジタルシアター

 さてそのロビーを抜けて劇場エリアに入る。エントランスを抜けてすぐ左手のスクリーン1は、立川エリアで初の「IMAXデジタルシアター」だ。サイズは非公開ながら、横幅20m近くありそうな巨大なスクリーンが広がり、そこに12.1chイマーシブ・サウンド・システムが組み合わせられている。

 今回はIMAXのデモ映像や劇場作品の予告編を上映してもらったが、クリアーで明るい映像が再現された。戦闘機のボディの光沢やキャノピー越しの青空などもとても明瞭だ。IMAXらしい、コントラストのくっきりした絵が楽しめる。12.1chサラウンドも移動感、スピード感をしっかり描き出し、いかにも映画館らしい没入サウンドで楽しめた。

NAOKI氏が監修した、ひと味違う轟音シアター

 続いてはスクリーン5の「轟音シアター」だ。ここには46cmサイズのアイソバリック方式サブウーファーがスクリーン前に2基設置され、「音の体感・迫力あるサウンド」を楽しめる。サブウーファーを含めたスピーカーはTOHOシネマズ池袋の轟音シアターと同じく、イースタン・サウンド・ファクトリーとジーベックスによるカスタム品が使われている。

 ただし、TOHOシネマズ立川立飛の轟音シアターでは、池袋のそれとは違う提案がなされている。ミュージシャンであり、サウンドエンジニア/プロデューサーとして数々の音楽制作を手掛けてきたLOVE PSYCHEDELICOのNAOKI氏が、この空間の音響監修を手がけているのだ。

 NAOKI氏は映画好きで、TOHOシネマズ日比谷で聴いたカスタムスピーカーの音に感動し、自身のライブツアーでも同じ仕様のカスタムスピーカーを採用するほど気に入っているそうだ。その縁で、今回の音響監修が実現したという。

 この空間で音楽や映画作品を再生し、NAOKI氏の希望をジーベックスのスタッフがプロセッサーやアンプに調整値として落とし込んでいった。その際の指示も「○○kHzのレベルを、思い切って0.2dB上げてください」といったきわめて具体的かつ微妙なものだったとかで、担当者は「NAOKIさんの耳は測定器を超えています」と驚いていた。

 そうしてチューンした音は、2ch再生を想定したODS(アザー・デジタル・スタッフ:スポーツや音楽ライブなど)用と、サラウンド映画作品用の2種類を作ってあり、上映作品に応じて使い分けていく予定という。

 ここでは2chの音楽と、サラウンドのアニメ作品を見せてもらったが、2chの定位が見事で、センターから飛び出してくるヴォーカルと面で押し寄せる低音に体が震えた。アニメ映画でも戦闘機のエンジン音、機銃の掃射音などが明瞭な輪郭を持って描き出される。もちろん爆発音は言わずもがな。

 TOHOシネマズ池袋の爆音と比べるとひとつひとつの音が明瞭で、くっきりした音場を志向しているように感じた。これがNAOKI氏の狙ったイメージなのかもしれない。なおTOHOによると、今回のトライアルは、ハードウェアの使いこなしに踏み込むことで映画体験を新しい領域に持っていきたいと考えた結果だそうだ。

現在最高のカスタムスピーカーを備える、プレミアムシアター

スクリーン7は、サラウンドスピーカーが7基、サラウンドバック4基という構成

 最後のスクリーン7「プレミアムシアター」は、カスタムオーダーメイドスピーカーによる7.1chサラウンドサウンドと、TCXスクリーンを備えている。カスタムスピーカーはフロント、サラウンドともTOHOシネマズ池袋と同様の仕様だが、もちろん今回の空間に合わせて製作されたもの。さらに採用するパーツなどは常に吟味を続けているそうで、現状では一番進化したカスタムスピーカーだという。

 2ch音楽と映画の予告編を上映してもらった。音の印象としては池袋のカスタムスピーカー以上にすっきりとしてクリアーな方向で、細かい音もきちんと再現しつつ、ずしんと響く低音、轟音もしっかり感じさせるまとまりになっていた。

 同じプレミアムシアターではあるが、日比谷、池袋、立川立飛と劇場によって味わいが違うのも面白く、その昔、映画館ごとの小屋の響きの違いを楽しんでいた時代を思い出した次第だ。同じ作品を見(聴き)比べしてみるもよし、この作品ならここで見ようと選ぶもよし、映画館との新しい付き合い方の幅が広がっているのは、映画ファンとしても嬉しい限りだ。(取材・文:泉 哲也)

TOHOシネマズ立川立飛 支配人の大石 誠さん。プレミアムシアターで見てみたい作品は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズとか

TOHOシネマズ立川立飛
●住所:東京都立川市泉町935番地の1●
最寄駅:JR「立川」駅より多摩モノレール「立川北」駅へ乗り換え2駅、「立飛」駅前
●スクリーン構成
     座席数(車椅子席) 仕様
スクリーン1  290(2)   IMAXデジタルシアター(イマーシブ・サウンド・システム対応)
スクリーン2  100(2)
スクリーン3  219(2)   ※プレミアボックスシート(8席)
スクリーン4  99(2)
スクリーン5  154(2)   轟音シアター(アイソバリック方式のサブウーファーを採用)
スクリーン6  99(2)
スクリーン7  325(2)   プレミアムシアター、TCX、プレミアボックスシート(10席)、カスタムオーダーメイドスピーカーシステム(4way・フロント+3way・サラウンドを採用)
スクリーン8  100(2)
スクリーン9  219(2)
  計    1,605(18)

写真左側にある「ららぽーと立川立飛」から道路を挟んだ場所に、独立した建物を構えている

※TOHOシネマズ立川立飛では、新型コロナウイルス感染予防に向けた取り組みを徹底し、安心して映画を楽しめる環境づくりに努めている。座席は、前後左右、1席ずつ間隔を空けての鑑賞となり、チケット購入や飲食売店などの列は一定の間隔をあけて、並ぶ目安となる目印も準備されている。また来場の際はマスクの着用をお願いしており、入場時には検温システムによる体温測定を行い、その結果によっては入場をお断りする場合もあるとのことだ。

TOHOシネマズ立川立飛×NAOKI(LOVE PSYCHEDELICO)

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