明るい音調であり、目立つパートの音像は前面によく定位する
てのひらサイズのインテグレーテッドアンプであり、ガラスブロックの重しが真空管をご本尊風に際立たせる意匠が貫かれている。
アンプの構成は3部分に分けられていて、ミニプラグ対応ヘッドフォン端子にも専用アンプを使用する。プリアンプ部はムラードCV4003(12AU7高信頼管)と高精度オペアンプICのバーブラウンOPA627AUを使用。いずれも結構な値付けで取引されている代物だ。入力はRCA端子の他に前面のミニプラグもあって便利だ。パワーアンプ部はデジタルアンプだろう、小サイズで4Ω時25W+25Wの大出力をひねり出す。AC電源アダプターは12V、5Aという容量。
電源投入時にクリック音が大きく聞こえるので、リアパネルにあるミュートスイッチを入れてから電源を入れるといい。
明るい音調であり、目立つパートの音像は前面によく定位する。明瞭そのものだが少しドライな質感でもある。そこでステファノ・グロンドーナがギターの名器アントニオ・デ・トーレスを弾くCD「バロック・イメージス」をしばらく再生。蜜のしたたるような音色が減衰するほどに濃密になる妙音がエージング効果を持つのだ。慣らし運転していくと、たしかに微少情報の応答性や密度感が向上。小規模で高能率のスピーカーなら、さらにこの明快な描写傾向に緻密な音像定位の魅力が加わるだろう。