4K UHD BLU-RAY レビュー『コロンビア･クラシックス･コレクション：VOL-1』【世界4K-Hakken伝】

COLUMBIA CLASSICS COLLECTION
- 4K UHD BLU-RAY LIMITED BOX-EDTION VOL-1
Mr. Smith Goes to Washington / Lawrence of Arabia / Dr. Strangelove
Gandhi / A League of Their Own / Jerry Maguire
with DOLBY VISION／DOLBY ATMOS／4K DIGITAL RESTORATION

FILM

1924年に創立したコロンビア映画の代表作を収めた、大掛かりでゴージャスなBOXセットの登場だ（重量は1.6kgに及ぶ）。コロンビアの前身は配給会社C.B.Cフィルム･セール（20年創立）であり、創立者はユニバーサル創立者カール･リームルに仕えていた、ハリー･コーンとジャック･コーンの兄弟、ジョー･ブラントの3人。

20年代は低迷していたものの、30年代に入ると一流スタジオの地位を確立していく（33年、ハリー･コーンが社長就任）。その原動力の大きな一因となったのが、招聘した監督フランク･キャプラの活躍である。とはいえ、30年代当時の規模的評価では、パラマウント、FOX、MGM、ワーナー、RKOを「ビッグ5」と称し、コロンビアはユニバーサル、ユナイテッド･アーティスツとともに「リトル3」と言われていた。製作･配給･興行の統一を図り、作品規模も大きかった「ビッグ5」に対して、「リトル3」は劇場を持たずロー･バジェット作品が中心。そんなコロンビアであったが、次第に持ち味を生かし、のちの時代に引き継がれるスタジオ色を確立していくことなるのだ。

1940年代は娯楽路線に徹して収益を上げたものの、芸術路線に転じたことで50年代は業績不振に陥ってしまう。ここで目を付けたのが、台頭してきたテレビ界。コロンビアはいち早くテレビ部門（スクリーン･ジェムズが番組を提供）を立ち上げることで逆境を乗り越え、その収益の大半を映画製作に注ぎ込んでいく。その後は波乱万丈、63年には撮影所を売却、68年にスクリーン･ジェムズと合併、70年代半ばまで倒産の危機に追い込まれる低迷期が続いている。82年にはかのコカ･コーラがコロンビアを買収。翌83年、コロンビアはHBO、CBSと共同出資、トライスター･ピクチャーズが創設された。驚きのニュースが届いたのは89年、われらがソニーが巨額で買収することに。旧MGM撮影所を入手してからは業績も右肩上げり、97年には業界シェア1位を記録、その後も市場で常に上位のシェアを占めている。

米国ソニー･ピクチャーズ･エンタテインメント（SPE）傘下であるコロンビア映画であるが、本BOXセットには（観音開きケース）、フランク･キャプラ監督作『スミス都へ行く』（39）、デヴィッド･リーン監督作『アラビアのロレンス』（62）、スタンリー･キューブリック監督作『博士の異常な愛情』（64）、リチャード･アッテンボロー監督作『ガンジー』（82）、ペニー･マーシャル監督作『プリティ･リーグ』（92）、キャメロン･クロウ監督作『ザ･エージェント』（96）が収まる（各UHD BDはスリップカバーに黒のUHD BDケースが収納）。また80ページに及ぶハードカバー･ブックを同梱。気になる日本語字幕&吹替音声収録は、『アラビアのロレンス』『博士の異常な愛情』のみ（『スミス都へ行く』はBD版のみ収録）。

VIDEO ＆ AUDIO

MR. SMITH GOES TO WASHINGTON／スミス都へ行く（1939年）

Video
　Resolution: Native 4K (2160p), HDR: HDR10, Aspect ratio: 1.37:1
Audio
　English DTS-HD Master Audio 2.0 Mono, French DTS-HD Master Audio Mono,
　German DTS-HD Master Audio Mono ,Italian DTS-HD Master Audio Mono,
　Portuguese DTS-HD Master Audio Mono
Subtitles
　English, English SDH, French, German, Italian, Portuguese, Spanish, Arabic, Cantonese, Greek,
　Korean, Mandarin (Simplified), Mandarin (Traditional), Tha

監督フランク･キャプラ。出演ジェームズ･スチュワート、ジーン･アーサー。自分を政界入りさせた政財界の大物たちの悪行を知り、反旗を翻す青年議員の純情。ソフトな喜劇タッチながら、汚れ切った政治を痛烈に批判、自由と平等を高らかに謳った感動作。

撮影は『我が家の楽園』『素晴らしき哉、人生！』のジョセフ･ウォーカー。1.37:1アスペクト収録。映像平均転送レート51.3Mbsを記録（BD版のおよそ2倍）。本作は2013年から2014年（製作75周年記念）にかけて大規模なレストア作業を行なっているが、ネイティヴ4K DIマスターをHDRグレード、10ビット色深度の恩恵を広範に渡って授かれる。HDRは白黒映像のコントラスト、陰影階調を拡張するにどどまらず、屋内外のハイライトや中間光の強弱再現に徹底して拘っている。（オリジナルネガが消失／35mmプリントを利用した）ネガ欠損箇所の追加映像が低解像だった欠陥も補正、これまでにみられた画質の違和感を可能な限り払拭している。低照度ショットのの視認性も優秀。
（評点：9／10）

音響エンジニアは『上流社会』のエドワード･バーンズ。音声平均転送レートは1.77Mbps（DTS-HD MA 2.0 mono／24bit／48kHz）。BD版音声（1.0 mono／16bit／48kHz／0.89Mbp）からの改善も随所で聴取でき、トーキー初期作品とは思えぬ明瞭度を持つ。ディミトリ･ティオムキンのスコアは愛国心を擽る堅牢な響き。アンビエント効果も良好。ヒスノイズ等のノイズ修復も優秀だ。
（評点：８／10）

LAWRENCE OF ARABIA／アラビアのロレンス（1962年）

Video
　Codec: HEVC / H.265 (55.48 Mbps), Resolution: Native 4K (2160p),
　HDR: Dolby Vision, HDR10, Aspect ratio: 2.20:1
Audio
　English Dolby Atmos (48kHz, 16-bit), English Dolby TrueHD 7.1 (48kHz, 16-bit),
　English DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz, 16-bit), Czech Dolby Digital 2.0 Mono
　French Dolby Digital 5.1, German DTS-HD Master Audio 5.1, Hungarian Dolby Digital Mono
　Italian Dolby Digital 5.1, Japanese DTS-HD Master Audio 5.1, Polish Dolby Digital 5.1
　Portuguese Dolby Digital 2.0 Mono, Russian Dolby Digital 5.1, Spanish DTS-HD Master Audio 5.1
　Spanish Dolby Digital 2.0 Mono
Subtitles
　English, English SDH, French, German, Italian, Japanese, Portuguese, Spanish, Arabic, Czech,
　Danish, Dutch, Finnish, Greek, Hebrew, Hindi, Hungarian, Korean, Mandarin (Simplified),
　Mandarin (Traditional), Norwegian, Polish, Romanian, Russian, Swedish, Thai, Turkish

監督デヴィッド･リーン。出演ピーター･オトゥール、アレック･ギネス、オマー･シャリフ、アンソニー･クイン。第一次大戦下、トルコ軍に対抗してアラブの反乱軍を指揮、彼らから神のように崇められた英国軍人トーマス･エドワード･ロレンス。最後には植民地支配を企む英国に使い捨てにされた悲劇の英雄。その栄光と挫折に彩られた波乱の生涯を、広大な砂漠を舞台に描く一大スペクタクル。

撮影は本作と『ドクトル･ジバゴ』でオスカーに輝くフレデリック･A･ヤング（第二班撮影監督をニコラス･ローグが務める）。コダック65mm／スーパーパーナビジョン70レンズ／ミッチェルBFC／FCカメラ撮影。1988年に修復監修者ロバート･ハリスの陣頭指揮で228分バージョンが復元。2012年（製作50周年記念）、レストア65mmオリジナルネガを8Kスキャン、4Kデジタルレストアして生成された4K DIマスターからのHDRグレード（HDR10／ドルビービジョン）。

数年前から本作は4Kデジタル（Apple、Amazon等）で利用可能であったが、どのストリーミングバージョンも高度に圧縮され、ダイナミックレンジも抑えられていた。なにしろファイルサイズが111.3 GB（！）と巨大、今回のUHD BLU-RAYリリースが注目に値するのはこの対策を施していることだ。2012年版BLU-RAY（スーパービット）同様に本編2枚組仕様（BD-100＋BD-66）。映像レートは55.5／60Mbps（HDR10）＋2.1Mbps（ドルビービジョン）。2012年BLU-RAYは実に優秀なプレゼンテーションであったが、本盤ではあらゆる映像情報が掘り起こされ、岩肌、砕石、真砂、布のテクスチャリングはこれまでよりもタイトでクリーン、とりわけワ･ディラムでのショットは並外れたものがある。粒子感はオーガニック。色彩は豊かで厳正、過飽和に見えることはなく、微妙なニュアンスが加わっている。HDRの恩恵により、陰影深度とディテイルが拡張、ハイライトはより自然に輝きを増す。HDR10とドルビービジョンのどちらで鑑賞してもカラーバンディングは皆無に等しく、ことにドルビービジョンは抜群の視認性を誇り、色彩と明暗画法の大見世物となる。
（評点：10／10）

音声3.4Mbps。88年修復6トラック･ステレオ･マスター使用のアトモス･ミックスではAI音響技術を導入、濃密なサウンドスケープを実現している。同時収録されている（2012年BLU-RAY収録のDTS-HD MA5.1音声との比較が可能で、誰の耳にも劇的な改善を聴取できるはず（まずは開幕／序曲に注目）。本編ではフロントヘビーなプレゼンテーションを維持しながらも、さまざまなオーディオエフェクトをサラウンドチャンネルに分散。オブジェクト操演は最新映画と比較するには酷ではあるが、音場空間は滑らかに拡張、ステージングにスケールと威厳を加えている。ミッドレンジは暖かさと優れた明瞭さを増幅、活劇場面でのローエンドも堅牢に強化されている。魅惑の口跡。パフォーマンスにおいて際立ったイントネーションを描音、常に明瞭で的確だ。モーリス･ジャールの象徴的なスコアも聴きどころのひとつ。楽音が観る者を魅了し、すべてのチャンネルに広がり、効果的に包み込む半球の音場を生成している。
（評点：9／10）

DR. STRANGELOVE／博士の異常な愛情（1964年）

Video
　Resolution: Native 4K (2160p), HDR: HDR10, Aspect ratio: 1.66:1
Audio
　English DTS-HD Master Audio 2.0 Mono (48kHz, 16-bit)
　English DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz, 16-bit), Czech Dolby Digital 5.1
　French Dolby Digital 5.1, German Dolby Digital 5.1, Italian Dolby Digital 5.1
　Japanese Dolby Digital 5.1, Spanish Dolby Digital 5.1
Subtitles
　English, English SDH, French, German, Italian, Japanese, Portuguese, Spanish, Arabic, Czech,
　Danish, Dutch, Finnish, Greek, Hebrew, Hindi, Hungarian, Korean, Mandarin (Simplified),
　Mandarin (Traditional), Norwegian, Polish, Russian, Slovak, Swedish, Thai, Turkish

監督スタンリー･キューブリック。出演ピーター･セラーズ（三役）、ジョージ･C･スコット、スターリング･ヘイドン。アメリカ空軍基地の司令官が発狂、水爆を積んだ爆撃隊に出撃命令を下す。大慌ての米ソ首脳はホットラインで対策を協議。爆撃部隊に帰還命令を下すが、通信機の故障した一機だけには届かない。近代的な軍事システムへの不安を指摘、観客の背筋を凍らせた傑作サスペンス。

撮影は『反撥』『オーメン』『スター･ウォーズ』のギルバート･テイラー。本コレクションで唯一、35mmファイングレインポジ（2種類のポジおよびプリントを使用／ネガは消失）からの2000年修復4K DIマスターを使用。映像51Mbps。2009年SPE BDからの改善は、ネガスキャンではないものの細部とテクスチャリングのアップグレードに明快。HDRは控え目にグレードされてローキー調を再現、『スミス都へ行く』同様にコントラストと輝度のバランスの改善に注視されたい。フィルムが持つコントラスト表現に近似させ、より自然に見えるように調整されている。暗部からハイライトにかけての階調も優秀、最暗部の階調もよく粘る。粒子感も良好。HDRの恩恵で頼もしさを増した4K映像ではあるが、総合的な完成度は2016年クライテリオンBDに譲る。
（評点：8／10）

音響監修は『ナバロンの要塞』『アラビアのロレンス』のジョン･コックス。オリジナルDTS-HD MA2.0 mono音声、リミックスDTS-HD MA5.1音声収録。いずれも16bit仕様、音声レートは1.5Mbps／2.1Mbps。ヴィンテージ･シネソニックではあるがいずれも良好な品質であり、総じて明瞭度とダイナミックレンジのアップグレードを聴取できる。発声の深みはいまひとつではあるもののは、終始明瞭、微妙なニュアンスを含んだ口跡に聴き惚れる。好みは分かれるところだが、5.1ch音声ではいくぶん没入感が向上する。こちらも2016年クライテリオンBDの整音精度に軍配を上げたい。
（評点：8／10）

GANDHI ／ガンジー（1982年）

Video
　Resolution: Native 4K (2160p), HDR: HDR10, Aspect ratio: 2.39:1
Audio
　English Dolby Atmos (48kHz, 24-bit), English Dolby TrueHD 7.1 (48kHz, 24-bit)
　English DTS-HD Master Audio 5.1, English DTS-HD Master Audio 2.0
　German DTS-HD Master Audio 5.1, Italian DTS-HD Master Audio 5.1
　French DTS-HD Master Audio 5.1, Spanish Dolby Digital 5.1, Portuguese Dolby Digital 5.1
Subtitles
　English, English SDH, French, German, Italian, Portuguese, Spanish, Arabic, Danish, Dutch,
　Finnish, Greek, Hebrew, Icelandic, Korean, Mandarin (Simplified), Mandarin (Traditional),
　Norwegian, Swedish, Thai, Turkish

監督リチャード･アッテンボロー。出演ベン･キングズレー、キャンディス･バーゲン、ジョン･ギールグッド、マーティン･シーン、エドワード･フォックス。1894年の弁護士時代から1948年の暗殺事件に至るまで、非暴力主義を貫いたインド建国の父、マハトマ･ガンジーの生涯を描く重厚なドラマ。

撮影は『風とライオン』『黄昏』のビリー･ウィリアムズ。だが撮影途中で体調をこわして降板、急きょ英国から呼ばれた『Tommy／トミー』のロニー･テイラーが後を引き継いでいる（ふたりでオスカー撮影賞を受賞）。35mmオリジナルカメラネガからの最新4Kデジタルレストア。『アラビアのロレンス』同様に、2ディスクに分かれた映像は61.1Mbps（1:32:00）／50.7Mbps（1:39:15）を記録。2007年BD版から大幅にアップグレード、とびきりゴージャスなスコープ映像を披露、豊かな粒子感、浮き彫りとなる細部ディテイルとテクスチャリングが目を奪う。肌質の描き分けも絶品。光彩と黒レベルは深みある触感を享受、ドラマティックな色づかいの拡張も目覚ましい。
（評点：10／10）

オスカーにノミネーションされた音響エンジニアは『オリエント急行殺人事件』のジョナサン･ベイツ（音響編集）、『恋におちたシェイクスピア』のロビン･オドナヒュー（リレコーディング）、『プラトーン』のサイモン･ケイ（同）の3人。6トラック･ステレオ･マスターからのアトモス･リミックス。音声レートは3.63Mpsとなり、16bit／1.18Mbps仕様だったBD音声をはるかに凌駕する。オリジナルのオーディオデザインと対話主導の作劇を継承しつつ、（『アラビアのロレンス』同様に）AI音響技術による広々としたハーフドームサウンドステージを生成している。発声は最優先に配置され、明瞭度も極めて高い。ラヴィ･シャンカールとジョージ･フェントンの音楽は、すべての楽曲の持つ暖かさと精細さを再現しながら、リスナー頭上に心地よく流れ込んでくる。
（評点：9／10）

A LEAGUE OF THEIR OWN／プリティ･リーグ（1992年）

Video
　Resolution: Native 4K (2160p), HDR: HDR10, Aspect ratio: 2.39:1
Audio
　English Dolby Atmos (48kHz, 24-bit), English Dolby TrueHD 7.1 (48kHz, 24-bit)
　English DTS-HD Master Audio 5.1, English DTS-HD Master Audio 2.0, French Dolby Digital 5.1
　French (Canada): Dolby Digital 5.1, German Dolby Digital 5.1, Hungarian Dolby Digital 2.0
　Italian Dolby Digital 5.1, Mandarin Dolby Digital Mono, Portuguese Dolby Digital Mono
　Russian Dolby Digital 5.1, Spanish Dolby Digital 5.1, Spanish Dolby Digital Mono
　Thai Dolby Digital Mono
Subtitles
　English, English SDH, French, German, Italian, Portuguese, Spanish, Arabic, Czech, Danish,
　Dutch, Finnish, Hebrew, Hindi, Hungarian, Icelandic, Mandarin (Simplified), Mandarin (Traditional), 　Norwegian, Polish, Russian, Swedish, Thai

監督ペニー･マーシャル。出演トム･ハンクス、ジーナ･デイヴィス、マドンナ、ロリ･ペティ。第二次大戦下の1943年。男たちが戦場に駆り出され、プロ野球界に閉鎖の危機が迫るなか、世界初の全米女子プロ野球リーグが結成された。1943年から54年にかけて活躍したプレーヤーたちの奮闘記。

撮影は『if もしも･･･』『アマデウス』のミロスラフ･オンドリチェク。35mmオリジナルネガからの最新4Kデジタルレストア。映像70.6Mbps。LD、DVD、BDと映像クオリティがいまひとつであったが、ここでは劇的な画質改善を披露する。昼光場面は耿々たるエネルギーに満ち、夜のしじまも床しいムードに染まる。ロードムービー調のパノラマショットは観どころのひとつ。色調は生き生きとしてフルボディ、原色と二次色は見映えよく、素肌やメイクアップの色合いも優秀だ。
（評点：9／10）

リレーコーディングミキサー／サウンドデザインは『愛と哀しみの果て』『ラスト･オブ･モヒカン』『マッドマックス／怒りのデス･ロード』でオスカー受賞のクリス･ジェンキンス。驚くほどイマーシブな音彩完全試合を披露。アトモス効果をもっとも呼び込むのは、やはりベースボール･シークエンス。アナウンサーの声が上から反響している間、スタジアムの群衆の歓声と背景ノイズがリスナーを包み込み、時代のムードを彩る上半球音場を構築。チャンネル間や画面外スペースのさまざまなバックグラウンドアクティビティも説得力がある。胸熱くするハンス･ジマーのスコアも必聴。
（評点9／10）

JERRY MAGUIRE／ザ･エージェント（1996年）

Video
　Resolution: Native 4K (2160p), HDR: HDR10, Aspect ratio: 1.85:1
Audio
　English Dolby Atmos (48kHz, 24-bit), English Dolby TrueHD 7.1 (48kHz, 24-bit)
　English DTS-HD Master Audio 5.1, Czech Dolby Digital 5.1, French DTS-HD Master Audio 5.1
　French DTS-HD Master Audio 2.0, German DTS-HD Master Audio 5.1
　Hungarian Dolby Digital 5.1, Italian DTS-HD Master Audio 5.1, Mandarin Dolby Digital 2.0
　Polish Dolby Digital 5.1, Spanish DTS-HD Master Audio 5.1, Spanish Dolby Digital 5.1
　Thai Dolby Digital 5.1, Portuguese Dolby Digital 5.1, Russian Dolby Digital 5.1
Subtitles
　English, English SDH, French, German, Italian, Portuguese, Spanish, Arabic, Croatian, Czech,
　Danish, Dutch, Finnish, Greek, Hungarian, Korean, Mandarin (Simplified), Mandarin (Traditional),
　Norwegian, Polish, Romanian, Russian, Slovak, Slovenian, Swedish, Thai, Turkish

監督キャメロン･クロウ。出演トム･クルーズ、レニー･ゼルウィガー、キューバ･グッディング･Jr。スポーツ･エージェントの現状に疑問を持った主人公が、会社に提言書を提出するもクビになってしまい、ただひとり共感してくれた会計係の女性と共に独立することになる。主人公の挫折と成功を通じて、スポーツ界が抱える矛盾を浮き彫りに。キャプラやワイルダー作品を思わせる良心の映画。

撮影はスピルバーグ作品に欠かせぬ存在であり、『シンドラーのリスト』『プライベート･ライアン』でオスカー受賞のヤヌス･カミンスキー。35mmオリジナルネガからの4Kデジタルレストア版。監修･最終承認は監督キャメロン･クロウ。映像54.8Mbps。人物画や大顔絵は慎重入念に切り撮られており、存在感に満ちる。顕著なアップグレードは、改善されたコントラストと明度のバランスにあり、様式化された光彩に雅量なゲインと柔和な輝きを提供。散見されるハイライトの白飛びが惜しまれるが、漆黒の光沢は魅惑的。HDRは山吹色や辛子色に温かみのある光沢を与え、インディゴブルーとサファイアティイルを深みあるものにしている。
（評点：9／10）

音響編集監修／サウンドデザインは『ワンス･アポン･ア･タイム･イン･ハリウッド』ほか、タランティーノ作品で知られるウィリー･ステイトマン。音声レートは3.39Mbps（16bit仕様／BD版と同様）。BD版からの大幅な改善はないものの、ミッドレンジの密度が高まりを聴取できるアトモス･ソニック。発声はパフォーマンスに優れたイントネーション、音楽は健康的な質量を持ち、オブジェクト頻度は抑えられるものの、穏やかな没入感を約束する。ローエンドは後半に活躍。
（評点：8／10）

FINAL THOUGHTS

『アラビアのロレンス』や『ガンジー』のハイクオリティぶりは予想できたが、『プリティ･リーグ』がこれほど高品位に蘇るとは・・・。単品販売を希望する方も多かろうが、現時点では予定はなし。それどころか、第2弾『COLUMBIA CLASSICS COLLECTION - 4K UHD BLU-RAY LIMITED BOX-EDTION VOL-2』の登場も予定されている。SPEでは人気投票の結果も加味して作品を決定する予定（投票は終了）。果たして次はどんな作品がラインナップされるか、お楽しみに。