マランツから、9chパワーアンプ内蔵一体型AVセンター「SR6015」が発表された。定価¥148,000(税別)で、9月中旬の発売予定だ。

 一番の特長は、先に発表された薄型モデル「NR1711」と同様に、8K映像信号に対応した点にある。「HDMI7」入力端子と、2系統のHDMI出力(モニター1/2)で8K/60pおよび4K/120p映像信号のパススルーが可能。また7入力/3出力すべてのHDMI端子で著作権保護技術「HDCP 2.3」に対応した。

 HDR方式はHDR10、HLG、ドルビービジョン、HDR10+、Dynamic HDRに対応済みで、衛星放送やインターネットを通して配信される4K/8Kコンテンツをハイクォリティなサウンドとともに楽しめるのだ。

 またSR6015はNR1711などと同様にリビングでも使われることを想定しており、「ALLM(Auto Low Latency Mode)」「VRR(Variable Refresh Rate)」「QFT(Quick Frame Transport)」「QMS(Quick Media Switching)」といったゲーム用映像フォーマットの入出力にも対応。映画や音楽以外のソース用としても活躍する。

 またこちらもNR1711と同じく、BS4K8K放送で使われているMPEG-4 AACの5.1chデコード機能を搭載。ドルビーアトモス、DTS:Xといった最新の3DオーディオがSR6015だけで再生可能になっている。NR1711などとの違いとして、SR6015は「IMAX ENHANCED」にも対応した。これは、IMAXとDTSによってデジタルリマスターされたIMAX ENHENCEDコンテンツの再生時に音声を最適化してくれるもので、コンテンツは主に配信で提供されている。

 そのために、実用最大出力220W(6Ω、1 kHz、THD 10%、1 ch駆動)の9chフルディスクリート・パワーアンプを搭載。5.1.4や7.1.2といった天井スピーカーを使ったシステム構築も簡単にできる。また11.2chプロセッシング機能も備えているので、外部パワーアンプを組み合わせることで、7.2.4システムまでの拡張にも対応している。

 デジタル処理関連では、HDMI入力およびネットワークオーディオの音質向上をテーマに、コンデンサーや抵抗など数多くのパーツの品種や定数の見直し、基板上のパターン強化、クロックモジュールの振動対策など、時間をかけて入念なサウンドチューニングを実施。試作と試聴を重ね、効果を確認しながら音質を磨き上げた結果、より立体的な音像、透明感の高い空間表現力を実現したという。

SR6015のリアパネル。HDMI入出力は背面上部に並んでおり、右側3つがモニター1/2とゾーン2出力となる。右側から4番目のHDMIが8K対応の「DHMI7」入力

 またサラウンド音声信号のレンダリングやデコーディング、音場補正などの処理を同時に行い、高音質を実現するためには高い処理能力が必要だが、SR6015では2基の32ビットフローティングポイントDSPを搭載。高度な処理能力によって音源の持つクォリティを余さず引き出している。

 音質設計で重要となるD/Aコンバーターには、旭化成エレクトロニクス製32ビット/8ch D/Aコンバーター「AK4458VN」を2基搭載。ディテイルの表現力向上のために、出力抵抗に高精度な薄膜型金属皮膜抵抗を使用している。

 それらのDSPやネットワーク、USBなどデジタル回路への電源供給には専用のローノイズスイッチング電源を使用し、アナログ回路との相互干渉を排除。電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化してスイッチングノイズを再生音に影響のない可聴帯域外へシフトしている。

 またDAC回路を専用基板として独立させ、シールドにより回路間のノイズの飛び込みを抑制、さらに電源ラインに流入するノイズはデカップリングコンデンサーを用いて除去するなどの対策も施されている。

 コンデンサーの種類や定数はサウンドマネージャーによる試聴を繰り返して最適な値を設定、導電性ポリマーコンデンサーや薄膜高分子積層コンデンサーなど高性能なパーツが贅沢に使用されている。さらに基板やシャーシを固定するビスやワッシャーの種類を使用する箇所に応じて変更するなど、同社がこれまで積み重ねてきた様々なノウハウを用いて音質をまとめ上げているとのことだ。

 ネットワーク関連機能には、独自のワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」テクノロジーを使用。音楽ストリーミングやインターネットラジオ、ローカルネットワーク上のミュージックサーバー(NAS/PC/Macなど)やUSBメモリーに保存した音源やスマートフォン、タブレット、Bluetooth機器など、多彩な音源を再生で可能だ。さらに同一ネットワークに接続した他のHEOSデバイスにSR6015で再生している音楽を配信することもできる。

 ハイレゾは、ミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したファイルからの再生が可能で、DSDファイルは最大5.6MHz、リニアPCM系は最大192kHz/24ビットに対応している。さらに、DSD、WAV、FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生ができるので、クラシック音楽やライブ盤などを聴いても曲間で音が途切れることはない。

 音楽ストリーミングサービスとしては、Amazon Music HDを始め、AWA、Spotify、SoundCloudなどに対応。音楽、トーク、ニュースなど世界中のインターネットラジオも楽しむことができる。インターネットラジオ局の検索は、「TuneIn」のデータベースからジャンルや地域、言語などをもとに簡単に探せるようになっている(サービスの利用には別途登録・契約や料金が必要)。

 またSR6015は、Alexa搭載デバイスからの音声コントロールに対応しているので、Alexaに話しかけるだけで再生、停止、スキップや音量の調整などの基本操作が可能。さらにAmazon Musicから楽曲名やアーティスト名、年代、ジャンルなどを指定して再生もできる。

試聴会では、フロア型スピーカーの4.1.4システムを内蔵パワーアンプでドライブしていた

 先日の発表会で、B&Wのフロア型スピーカー「802 D3」を核にした4.1.4システムを体験させてもらった。CDの2ch再生では、音場がとても静かで、その中央に女性ヴォーカルがすっと定位する。フォーカスのあった音像がぴしっと定位しつつ、低音感もあって、ベースの弾み具合も力強い。ゆとりのある音場再現となる。

 ブルーレイでは、金属がこすれる音がリアルで、対決シーンの緊迫感が増している。今回はセンターレスでの再生だったが、セリフはきちんと中央に定位して聞きやすい。ドルビーアトモスらしく、天井方向まで音がつながって、空間が満たされている様子が感じ取れた。

「SR6015」の主なスペック

●定格出力:110W×2(8Ω、20Hz〜20kHz、THD0.08%)
●実用最大出力:220W(6Ω、1kHz、THD10%、1ch駆動、JEITA)
●適合インピーダンス:4〜16Ω
●S/N:100dB(IHF-A、ダイレクトモード時)
●周波数特性:10〜100kHz(+1、-3 dB、ダイレクトモード時)
●接続端子:HDMI入力7系統(8K対応1系統)、HDMI出力3系統(モニター出力2系統、ゾーン2出力1系統)、 デジタル音声入力4系統(同軸×2、光×2)、コンポーネント映像入力2系統、コンポジット映像入力4系統、コンポーネント映像出力1系統、コンポジット映像出力1系統、アナログ音声入力6系統、Phono入力1系統(MM)、7.1ch入力1系統、11.2chプリアウト1系統、USB端子1系統、LAN端子1系統、他
●特長:FM/AMチューナー内蔵(ワイドFM対応)、Bluetooth送受信機能(SBC)、他
●消費電力:680W(待機時0.2W)
●寸法/質量:W440xH161xD398mm(アンテナを寝かせた場合)/12.8kg