マランツから、スリムデザインのAVセンター「NR1711」が発売される。定価¥90,000(税別)で、9月中旬のリリース予定。カラリングはブラックとシルバーゴールドの2色展開となる。

 同社では以前から薄型AVセンターをラインナップしているが、ここ数年その人気が急騰しており、昨年モデルの「NR1710」は2016年モデル「NR1607」の3倍近い出荷台数を達成しているという。

 さらにそれら薄型モデルのユーザーの中には、リビングに置いてフロント2chや3ch用として使っている人も多いそうだ。同社ではこの点について、AVセンターがサラウンド再生用の機器としてだけではなく、リビングで様々なソースを楽しむための製品、“リビングを豊かにするマルチコントロールセンター”として使われ始めていると分析している。

「NR1711」のシルバーゴールド仕上げ

 それを踏まえてNR1711では、今の時代に求められるスペックをいち早く取り込んでいる。

 その第一が8K信号への対応だ。NR1711では、6系統のHDMI入力と1系統のHDMI出力を搭載。このうち「HDMI入力6」は、8K/60p、4K/120pの信号を受け付ける。さらにすべてのHDMI入力はHDR10+/Dynamic HDRを含むHDRソースや著作権保護技術のHDCP2.3にも対応している。1系統あるHDMI出力は8K/60pはもちろん、eARCにも対応済みとなる。なお8K対応のHDMI端子は40Gbps仕様とのことだ。

 さらに「ALLM(Auto Low Latency Mode)」「VRR(Variable Refresh Rate)」「QFT(Quick Frame Transport)」「QMS(Quick Media Switching)」といったゲーム用映像フォーマットの入出力にも対応しており、今年後半に登場するといわれるPlayStation 5やX-Boxなどの高品位なゲームも楽しめるよう配慮されている。

 続いての進化点はMPEG-4 AACの5.1chデコード機能を搭載したことだ。MPEG-4 AACはBS4K8K放送で使われている音声圧縮で、これまでの単体4Kチューナーや4Kレコーダーでは、各製品でデコードしてリニアPCMとして出力されていた。しかし理論的にはビットストリームで出力し、AVセンターでデコードした方が低域の再現性などが向上する可能性があるとかで、NR1711を使うことで放送もより高音質に楽しめることになる(ビットストリームで出力できる再生機は必要)。

 なおNR1711はフルディスクリート構成の7chパワーアンプを内蔵しており、ドルビーアトモス、DTS:Xといったイマーシブオーディオも5.1.2構成で再生可能となっている。トップスピーカーは5種類の設置方法が選択可能(フロントハイト、トップフロント、トップミドル、フロントドルビーイネーブルド、リアドルビーイネーブルド)。さらにサラウンドバック/ハイトスピーカーを使わない場合は、フロントバイアンプへの切り替え機能も準備されている。

背面端子部。HDMI端子の右から2番目が8K対応の「HDMI入力6」で、右端がHDMI出力

 これら機能面の進化だけでなく、NR1711ではHDMI関連やネットワークオーディオに関する音質改良も加えられた。

 HDMIでは上記の通り8K対応を果たしたことを受け、そのパフォーマンスを最大限に引き出すために回路やパーツを厳選、電源系統のノイズ対策や信号ラインの整理、パターンの強化を実施。それによりS/Nや音の明瞭さ、音像の立体感再現を改善している。

 ドルビーアトモスを始めとするサラウンド信号のデコーディング処理や音場補正用には、32ビットフローティングポイントQuad Core DSPを採用。高度な処理能力によって音源の持つクォリティを余さず引き出している。さらにデジタル信号をアナログ変換するD/Aコンバーターチップには旭化成エレクトロニクス製の32ビット/8ch DAC「AK4458VN」を搭載。ディテイルの表現力向上のために、出力抵抗に高精度な薄膜型金属皮膜抵抗を使用する。

 パワーアンプ部については、信号ラインの低インピーダンス化、コンデンサーのグレードアップも図られた。またブロックコンデンサーもNR1711用に開発したカスタムパーツが奢られている他、プリアンプ部のカップリングコンデンサー、パワーアンプ部ベース抵抗、リアの取り付けネジに至るまで全体的にブラッシュアップされている。

 ネットワーク音楽は、独自のHEOSテクノロジーを使った再生が可能。音楽ストリーミングサービス(Amazon Music HD、AWA、Spotify、SoundCloud)やインターネットラジオ、ローカルネットワーク上のミュージックサーバー(NAS/PC/Mac)等に保存した音源を簡単に再生できる。さらに同一のネットワークに接続した他のHEOSデバイスにNR1711で再生中の音楽を配信も可能だ。

 ハイレゾ音源については、WAV/FLAC/ALAC/DSD等の再生が可能で、DSDは最大5.6MHz、リニアPCMは192kHz/24ビットのファイルに対応している。

「NR1711」の内部構成。リアパネル側左の黒いヒートシンクの下にHDMI関連のデバイスを配置している。右後方の銀色のヒートシンクが乗っているのがHEOSなどのネットワーク回路だ

「NR1711」の主なスペック

●定格出力:50W×2(8Ω、20Hz-20kHz、THD0.08%)
●実用最大出力:100W(6Ω、1kHz、THD10%、1ch駆動、JEITA)
●適合インピーダンス:4〜16Ω
●S/N:98dB(IHF-A、ダイレクトモード時)
●周波数特性:10〜100kHz(+1、-3 dB、ダイレクトモード時)
●接続端子:HDMI入力6系統(8K対応1系統)、HDMI出力1系統(8K/eARC対応)、 デジタル音声入力2系統(同軸、光)、コンポーネント映像入力2系統、コンポジット映像入力3系統、コンポーネント映像出力1系統、コンポジット映像出力1系統、アナログ音声入力3系統、Phono入力1系統(MM)、2.2chプリアウト1系統、USB端子1系統、LAN端子1系統、他
●特長:FM/AMチューナー内蔵(ワイドFM対応)、Bluetooth送受信機能(SBC)、他
●消費電力:250W(待機時0.2W)
●寸法/質量:W440xH105xD378mm(アンテナを寝かせた場合)/8.3kg