プロジェクトは1990年にウィーンに設立されたアナログプレーヤーのメーカーであり、高級機から入門機まで種類が豊富だ。このThe Classicの“EVO”は創業25周年モデルとして登場した人気機種の最新版。EVO=エヴォリューションには25周年モデルの進化形という意味が込められている。

 オルトフォンのMC型カートリッジQuintet Redが付属しているのが目を引く。楕円針で自重9g。日本では単売されず、針交換や修理などはプレーヤーの輸入元が行なう

 前身との主な違いはサブプラッターが樹脂製から、アルミ削り出しの重量のあるものに変更されたことだ。また回転数の切り替えは切替えスイッチでできるようになった。ただし78回転はベルト掛け替え式だ。ターンテーブルとトーンアームを載せるサブシャーシは、より頑丈になった。支持はメインシャーシに対して6点支持の緩衝材TPE(サーモ・プラスティック・エラストマー)のダンピングボールを使用。全体を支えるのは3点支持フットであり、高さ調整が可能。

 ヘッドシェル一体の9インチ型トーンアームは、カーボンとアルミニウムの二重構造により剛性と制振特性の整合を図っている。またジンバル式の水平垂直軸と吊り下げ式のインサイドフォース調整など、本格的な機構になっている。メインフレームはユーカリの天然木突き板仕様である。

The Classic開発時に新設計されたトーンアームをリニューアル。Classic EVO 9inchは、アームチューブはカーボンとアルミニウムの2重構造で、それぞれが素材としての特性を補完し合う。メインベアリングには大型のジンバルハウジングを備え、同社CC EVOトーンアームと同じタイプにアップグレードされた。

サブプラッターはアルミ合金の削り出しとなる。共振にも強い設計となり、ベアリングノイズとランブルの低減も実現。回転数の切替えは電子切替え式。78rpm時のみ付属するベルトの付け替えが必要となる。

付属するカートリッジはオルトフォンのQuintet Red。出力電圧0.5mVのMC型で、日本国内未発売モデル。

リアビュー。トーンアームの出力はRCAピン端子で背面に配置される。アースラインをもつRCA-RCAピンプラグケーブルが付属。付属の電源アダプターからのDC15Vを本体に供給する。

 まずは付属カートリッジにて五輪真弓「恋人よ」を聴く。特定帯域が目立たず流れがよく、しかし声は音像が前に定位し、滑舌が明瞭。彫りの深さはほどほどに、伴奏のビートと和声感にふわりと乗ってしゃれっ気がある。ダイナミックレンジが制限された往年の歌謡曲やタンゴなどなかなか快適に歌い、鳴り、躍動する。明快によく伸びる残響、減衰するほどに性質を現す和声感、弦楽器の鋭くも柔和な材質感をともなうピチカートなど、周到な音質チューニングをうかがわせる。

 これ以上望むのなら、カートリッジを交換するのが得策だ。そこでVM型のオーディオテクニカVM760SLCを試す。

試聴に使用したカートリッジ オーディオテクニカ VM760SLC ¥80,000(税別)

 これは中高域に活気や熱気が増し、スケール感が大きくなる。淡彩画に高彩度高明度の色が重ね塗りされたようで、鮮明志向の強い現代型の録音にもよく対応する。五輪真弓の意外に複雑な成分を含む声の成り立ちがあきらかになり、古風な弦楽部分のまとまり具合や電気ベースのビート感が明瞭。ピアソラがボルヘスの詩に伴奏を付けた「エル・タンゴ」は1960年代半ばの“前衛タンゴ”風だが、ピアノも弦もバンドネオンもすべて宿命的なリズムに奉仕するという、この録音の真髄が見えてきた。オーケストラ曲の鮮烈な音群の展開、力量感、分離感も高水準。価格を超えて音楽の蘇生能力を支える、洗練されたメカニズムの秀作を歓迎したい。

付属ダストカバーを付けた状態。

Record Player System
プロジェクト The Classic EVO ¥210,000

カートリッジ部(オルトフォンQuintet Red)
●発電方式:MC型
●出力電圧:0.5mV
●適正針圧:2.3g
●自重:9g トーンアーム部(Classic EVO 9inch)
●型式:スタティックバランス型
●有効長:230mm
●適合カートリッジ重量:7g〜14g(標準装備のカウンターウェイトNo.183装着時)

プレーヤー部
●駆動方式:ベルトドライブ
●回転数:33・1/3、45、78rpm(78rpm時はベルトの変更が必要)
●ターンテーブル:アルミ合金製
●寸法/重量:W462×H131×D351mm/10.5kg
●備考:メインフレームはユーカリ突き板仕上げ
●問合せ先:デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオお客様相談センターTEL 0570(666)112