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 1970年代に発売されJBL創業以来の世界的ヒットモデルとなったL100 Century。これを現代の技術で解釈したのが、2018年末に登場したL100 Classic(以下、L100)だった。

 L100は、今では少なくなった30センチウーファーを搭載する本格的な3ウェイ構成と、美しいモダン・ヴィンテージなキャビネットデザインを持ち、コアなオーディオファイルからインテリアに調和する本格派スピーカーを求めるユーザーまで幅広い層への訴求に成功し、2019年にはJBLの全スピーカーラインナップでもっとも売れたモデルとなった。
 いっぽうで、このスピーカーを部屋に置きたくともスペースの問題から断念された方も少なくなかったようだ。そのニーズに対応すべくJBLが新たに開発したのがL82 Classic(以下、L82)である。

 キャビネットサイズは高さ473mm×幅281mmと大幅にコンパクトになった。もちろん小型化したとしてもJBLらしい本格的なディメンションは不変である。4312SE/GやL100を担当したエンジニアのクリス・ハーゲン氏が設計を指揮し、L100のアドバンテージとなった強固なキャビネットはそのままに2ウェイ化。ウーファーはL100に搭載されるJW300PW8をダウンサイジングした、8インチ(200mm)径ユニットのJW200PW6を新開発し、高剛性アルミダイキャストフレームにビルトインした。

 トゥイーターにL100と同一の1インチ(25mm)径ピュアチタン・ドームJT025TI1-4を採用しているのも大きなポイント。ネットワークは低損失な素子を用いたストレートな設計思想を持つ回路が搭載される。

 8インチウーファーを採用する2ウェイ構成は、歴史あるJBLのラインナップの中で4301やL16 Dcadeも該当しており、88dBという能率も同一である。JBLでは、軽めの振動系を用いてさらに能率を稼いだモデルも存在するが、L100と遜色ない低域のクォリティを求めた結果、高強度のピュアパルプコーンと強力な磁気回路とを組み合わせたのである。専用スピーカースタンドのJS80も同時発表されるなど、JBLにとって本機はたいへん力の入ったモデルであることがうかがえる。

 ウォールナット仕上げのエンクロージャーや、耐候性を高めた新設計の「Quadrex Foam」が採用されたフロントグリルなど、L82の美しさには惚れ惚れするが、もちろん感激するのは製品としての存在感だけではない。何より素晴らしいのは音質だ。

見た目以上に壮大な音。
情報量の多さに圧倒された!

 デノンのプリメインアンプPMA-SX1リミテッドを組み合わせ、ホセ・ジェイムズのハイレゾ楽曲ファイル『リーン・オン・ミー』(44.1kHz/24ビット、FLAC)を聴取した。すべての帯域がしっかりと前へ出ており、レスポンスよく存在感のある低域と、明るく伸びやかで朗々とした音色。L100同様の音質的意図が感じられ、箱の大きさから想像する以上に壮大な音がする。グリルを外すとJBL伝統のホワイトカラーのピュアパルプコーンのウーファーと高域のレベルを調整できるアッテネーターが無骨な顔を覗かせ、JBLファンは気持ちが高揚するはずだ。

 続いてシアター環境で『フォードvsフェラーリ』を視聴した。チャプター1のレースシーンでは、低域の再生能力と分解能の高さが印象的で、車内にこもるエンジン音とレース場に広がるエグゾーストノートまで秀逸に表現している。平たくいえば迫力のある音で、ハイレゾを聴いた時にも感じたが、ワイドレンジかつ情報量の多い音源にもしっかり追従する。フロントバッフル面にバスレフポートがあるので、スクリーンとツラを合わせて壁に近づけて設置しても低域の質感が悪くなりにくいことはアドバンテージである。

 L82は、コンパクトなキャビネットから想像する以上のダイナミックで躍動的なサウンドが魅力。L100譲りの本格的な佇まいを持ちつつ小型化を実現し、半額近いプライスも含めコストパフォーマンスが抜群で、導入が容易になった。

 L82の魅力に触れたユーザーは、間違いなく同社のより本格的なスピーカーに興味を持つだろう。

JBL
SPEAKER SYSTEM
L82 Classic
250,000円(ペア)+税
※専用スタンドJS-80 30,000円(ペア)+税

●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型 
●使用ユニット:25mmドーム型トゥイーター、200mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:1.7kHz 
●出力音圧レベル:88dB/2.83V/m 
●インピーダンス:8Ω
●寸法/質量:W281×H473×D315.5mm/13.2 kg 
●問合せ先:ハーマンインターナショナル(株) TEL 0570(550)465

L82 Classicの再現性を高める専用スタンド「JS-80」は¥30,000(ペア)+税で発売

トゥイーターのレベル調節用アッテネーター、バスレフポートが並ぶところにもL100 Classicの面影がある

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