いまだからほしい。手の届くハイグレード“プラスワン”アイテム

 これまで日本のオーディオシーンでは、スピーカーを駆動するパワーアンプ(あるいはプリメインアンプ)を別に用意して、システムを組むのが一般的だったが、昨今、アンプ内蔵のアクティブ型スピーカーが存在感を高めている。

 もともと音楽を生業とするミュージシャンや、ミキシングエンジニアの間では、アクティブ型は至極ポピュラースタイルで、プライベートスタジオでも好んで使われるケースが多い。その理由は明快、使い勝手がよくて、音質的に優れているから。

 アクティブ型スピーカーの場合、理想に近い駆動が可能なバイアンプ、あるいはトライアンプ方式を採用するケースが多く、比較的な安価な2ウェイシステムでもバイアンプ仕様が常識だ。しかもそのスピーカーに特化した専用のパワーアンプの搭載となるため、音質的にもまとまりがいい。

 こうした強みを随所で感じさせてくれるアクティブ型スピーカーが、ここで取り上げるエアパルスA80だ。

 リボン型トゥイーターと11.5cm口径のメタルコーン・ウーファーとの組合せによる小型2ウェイシステムで、内蔵アンプは専用に開発されたバイアンプ仕様。内部配線材は高級オーディオ機器でも広く使われているトランスペアレント製だ。

 入力はRCAアナログ2系統、USBタイプB/光デジタルに加えて、高音質コーデックaptX対応のブルートゥース接続が可能。さらにサブウーファー出力用のRCA端子も利用できる。

 

ハイレゾの魅力を繊細に描く間違いなく、お値打ち品だ

 まず、アナログ接続で聴き慣れたCDを2、3曲再生してみたが、量感豊かな低音と、スムーズな空間の拡がりが特徴的だ。音調としては開放的ではあるが、適度な湿りけを感じさせる大人っぽい質感で、入力信号に的確に反応する俊敏さを備えている。

 若き天才ピアニスト、チョ・ソンジンによる『ショパン:ピアノ協奏曲第1番』のハイレゾ音源(96kHz/24ビット)再生は、繊細な鍵盤のタッチといい、力感溢れるアタックといい、彼らしい持ち味をしっかりと掘り起こし、描き出していく。アコーステックならではの繊細なニュアンスが心地よく、ハイレゾ音源らしい精密なステージの拡がりが得られた。

 光デジタル接続にて、55型4K有機ELテレビと組み合わせて、映画ブルーレイを使ったAV再生を行なってみたが、これがいい。スピーカーの見た目以上に雄大さを感じさせるとともに、スケール感に飛んだ生きのいいサウンドで、男性、女性を問わずセリフのニュアンスが実に豊かだ。

 スピーカーとアンプ込みで実売8万円以下。エアパルスA80は、間違いなく、お値打ち品である。

 

Bluetooth Active Speaker System
AIRPULSE
A80
オープン価格(実勢価格7万7,000円前後・ペア)

● 型式:D/Aコンバーター/パワーアンプ内蔵2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
● 使用ユニット:115mmコーン型ウーファー、リボン型トゥイーター 
● アンプ出力:ウーファー部・40W×2、トゥイーター部・10W×2
● 接続端子:デジタル音声入力2系統(光×1、USBタイプB×1)、アナログ音声入力2系統(RCA×2)、サブウーファー出力1系統(RCA) 
● 寸法/重量:W140×H255×D240mm/4.8kg
● 備考:Bluetooth(aptX)対応。ウレタン製ベース付属 
● 問合せ先:(株)ユキム ☎ 03(5743)6202

 

 

PCとダイレクトにつなげるUSB端子を装備。光デジタル端子を利用すればテレビとの接続にも便利だろう。音量調整ノブのほかに、ベース、トレブル調整用コントローラーを備えている