液晶、有機ELを取り混ぜて、計22機種もの8Kテレビ、4Kテレビのラインナップを誇るソニー ブラビア。4K有機ELテレビを家庭用テレビの最高峰に据えるメーカーが多いなかで、同社ではデバイスには優劣をつけず、あくまでも有機ELと液晶を適材適所で使い分けるというスタンスを貫く。8Kテレビの表示素子として、有機ELではなく液晶を選んだのも、いかにもソニーらしい。
 

有機ELテレビの新製品A8Hに注目

 まず有機ELテレビだが、BS/CS4Kダブルチューナーを備え、最上位の画質プロセッサー「X1 Ultimate(エックスワン アルティメット)」を投じた2019年登場の上級シリーズ、A9G(77/65/55インチ)ラインは今年も継続販売となり、スタンダードシリーズがA8H(65/55インチ)ラインに入れ替わった。

 

4K有機ELテレビ
KJ-65A8H
オープン価格(実勢価格42万円前後)
ホームページはこちら>

ソニー有機ELテレビの最新モデル。2019年発売の上位A9Gシリーズとはスタンド形状と音響システムが異なるほかはほとんど同仕様となった

 

4K有機ELテレビ
KJ-48A9S
オープン価格**(実勢価格23万円前後)
7月発売予定
ホームページはこちら>

待望の有機ELの新サイズが登場。ソニー ブラビアの最高峰「Master Series」として位置づけられ「超高画質の小型テレビ」という貴重な存在だ

 

 昨年のA8GラインではあえてBS/CS4Kチューナー内蔵を見送り、市場の反応を見たが、結果は惨敗。今年のA8Hでは上級機同様、BS/CS4Kダブルチューナーを内蔵し、画質プロセッサーもセカンドグレードとなる「X1 Extreme」(エックスワン エクストリーム)から「X1 Ultimate」に格上げされた。

 有機ELパネル自体を振動させて音を出す独自のオーディオシステム(アコースティック サーフェス オーディオ)については、サブウーファー2基が追加され、A8Gに比べて低音を強化。音声のワイドレンジ化とともに、映像との一体感に磨きがかかっている。画質、音質、機能性と、つまり前シリーズのA8Gとはまったくの別物だ。

 そして話題の有機ELテレビとして初登場となる48インチモデル、KJ-48A9Sも7月発売が決まった。画質プロセッサーには上級機と同じ「X1 Ultimate」が投じられ、画面自体を振動させて音を出す、アコースティック サーフェス オーディオを採用。設置場所の制約からどうしても大型の有機ELが選べなかったという方々には、まさしく朗報だ。

 

ソニー ブラビアのこだわり技術 ①
画面自体を
スピーカーとして利用

画音一致を目指す音響システム
「映像から音が出る」というテレビの理想を追求した有機ELテレビならではの音響技術。画面背面の左右にアクチュエーター(発振器)をすることで、画面自体を振動させて発音する仕組みで、加えてウーファーを左右それぞれに設置し、低音の不足を補っている。液晶テレビの高級機では同様の効果が得られる音響技術「アコースティック マルチ オーディオ」を採用している

 

ソニー ブラビアのこだわり技術 ②
X-Wide Angle

広い視野角をVA液晶で実現する
まず視野角の影響を受けにくいように液晶をコントロールし、パネル直下配置のLEDバックライト制御と映像信号のゲイン調整でコントラスト感を整える。そして仕上げとして特殊な光拡散フィルムを配置して、VA液晶の持ち味を生かしつつ、視野角の問題を軽減するという技術だ。液晶の制御と画像処理、そして光学フィルムの合わせ技で、効果もひじょうに高い。

 

ソニー ブラビアのこだわり技術 ③
さくさく動作

快適なテレビ動作、ネット動画鑑賞を獲得
インターネット動画アプリの素早い起動にとどまらず、ネット動画とテレビ番組の切替えもよりスムーズに反応する。たとえばNetflixなら、従来のAndroid TV OS搭載ブラビアとの比較で、起動時間は最大約4分の1にまで高速化している。また映画やネット動画もの音声検索も可能。直接テレビに話しかけるハンズフリー検索(Z9H、A9G、A8H、X9500H[49インチ機除く]に搭載)あるいはリモコンに向かって話かけて電源入切や音量増減などの操作も可能だ。

 

多彩なラインナップを用意する4K液晶

 液晶テレビは85インチの8Kテレビ、KJ-85Z9Hを筆頭に、前述したソニー最上位の映像エンジン、「X1 Ultimate」を使ったX9500H(77/65/55/49インチ)、X9500G(85インチ)をラインナップ。倍速仕様のIPS液晶パネルを搭載したX8550H(65/55インチ)、X8500H(49/43インチ)、2019年モデルのキャリーオーバーのX8550G(75インチ)、そして秒60フレーム表示(標準駆動)のIPS液晶を搭載したX8000H(75/65/55/49/43インチ)という構成で、全機種、BS/CS4Kダブルチューナーを搭載している。

4K液晶テレビ
KJ-65X9500H
オープン価格(実勢価格30万円前後)
ホームページはこちら>

2020年仕様の4K液晶ブラビアのトップモデルがこのX9500Gシリーズ。手に届きやすい65インチ、55インチにもX-Wide Angle技術が盛り込まれた

 

 高級ラインの8KテレビKJ-85Z9Hと、4Kテレビの、X9500Hと(2019年モデルから継続の)X9500Gは、高コントラスト映像が持ち味のVA液晶パネルを採用。普及ラインとなる8000番台の各シリーズについては、視野角による画質変化が少ないIPS液晶パネルをメインに用いている(KJ-49X8500HはVA液晶を採用。液晶パネルの種類は編集部調べ)。

 ブラウン管の時代から、ソニーのテレビはコントラスト重視の傾向が強いが、その伝統を受け継いでいるのがVA液晶を搭載し、パネル直下にLEDバックライトを配置したZ9HとX9500H、X9500Gラインだ。いずれも絵柄に応じてLEDのバックライト量をユニット単位で調整し、高コントラスト化を図る部分駆動も採用済み。特にKJ-85Z9Hではよりきめ細かな制御が可能な「Backlight Master Drive(バックライト マスター ドライブ)」を搭載し、ピーク輝度を伸ばし、暗部を引き締める。

 VA液晶はコントラストの高さではIPS液晶に比べ有利だが、視聴位置が正面から外れると、見た目のコントラスト感と色調が変わってしまうという弱点がある。この悩ましい問題の解消に向けて、ソニー ブラビアのZ9HとX9500H/X9500Gは「X-Wide Angle(エックス ワイドアングル)」という独自技術を実用化している(KJ-49X9500Hは非搭載)。

 詳しくは別項を参照していただきたいが、その効果は絶大だ。画面の斜めからの視聴でも、コントラスト感、色調ともに大きな変化はなく、ストレスがない。見る位置によって微妙に変わりやすいが人肌のトーンも安定していて、見づらくならない。この画質メリットは大きい。

 8000番台のラインについては、パネルの素性として視野角が広く、明るく、抜けがいいというIPS液晶の特徴を生かし、リビングで家族と一緒に楽しむ4Kテレビという路線を明確に打ち出している。

 

ソニー ブラビアの2020年ラインナップ

※ハイビジョンモデルは除く。実勢価格とパネル方式は編集部調べ

おすすめテレビ ①
圧倒的画質!
ソニー初の8Kテレビ

8Kチューナーを内蔵した待望のソニー初の8Kテレビ。圧倒的な8K画質が存在感をアピールする。最大の注目点は光の輝き。強烈な光、細やかな光明、繊細な輝き、そして柔らかな光のグラデーションとその表現は実に多彩で、見応えがある。アルミニウム製Blade(ブレード=刃のような薄い板)を重ねて、ベゼル部に陰影感を持たせたデザインも素敵だ。

8K液晶テレビ
KJ-85Z9H
オープン価格(実勢価格200万円前後)
ホームページはこちら>

 

おすすめテレビ ②
リビングで使いやすい
4Kブラビア最高峰機

映像プロセッサーに「X1 Ultimate」を奢った4K液晶ブラビアの最高峰の55インチ機。部分駆動で黒を引き締め、同時に明部に電流を集中させて白を伸ばす高コントラスト調の絵づくりで、明るく、華やかな色再現が特徴的だ。55インチ機初搭載となる独自の広視野角技術、「X-Wide Angle」の恩恵は大きく、リビングルームに設置した際の画質の安定性を高めている。

4K液晶テレビ
KJ-55X9500H
オープン価格(実勢価格23万円前後)
ホームページはこちら>

 

おすすめテレビ ③
75インチ4Kブラビア
なんと25万円!

独自のデータベース型の超解像技術、「4K X-Reality PRO」による高精細描写と、広色域技術、トリルミナス・ディスプレイによる豊かな色再現が、75インチの大画面で満喫できる注目のモデル。パネルはIPS液晶(標準駆動)。リビングを想定した明るさではコントラスト感の不安は感じられず、ソニーらしい華やかな色再現が満喫できる。75インチの最新4Kブラビアが25万円とはお買い得だ。

4K液晶テレビ
KJ-75X8000H
オープン価格(実勢価格25万円前後)
ホームページはこちら>

 

この記事が読める「かんたん、わかりやすい 最強のテレビ購入ガイド」のご購入はコチラ!