映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第42回をお送りします。今回取り上げるのは、第1作目の公開から38年。世界中で大ヒットしたシリーズが原点回帰し、いよいよ最終章を迎えます。果たして、ランボーはどうなるのか? とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

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『ランボー ラスト・ブラッド』
6月26日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!

 1946年7月6日生まれだから、もうすぐ74歳。日本だとあと1年で後期高齢者の仲間入りだよ。その齢でとんでもなくデカいサバイバルナイフを握り、怒号をあげて噴煙のなかを走っている。

 もう若くはないシワが目立つ顔。『ロッキー』や『クリフハンガー』といったヒット作、拾い物の刑事ドラマ『ナイトホークス』の勇姿などを思い出し、これも人生だなと感動した。シルヴェスター・スタローンの代名詞「ランボー」シリーズの第5弾!

 ミャンマーの密林でゲリラ軍と戦った2008年製作の第4作『ランボー 最後の戦場』から11年。元特殊部隊グリーンベレー兵のジョン・ランボーも、いまは旧知の女性マリアと彼女の孫娘ガブリエラ(イヴェット・モンレアル)と共にアリゾナの牧場で平和な毎日を過ごしている。初めて家族らしきものを持ったのだ。

 そんなある日、養子縁組までしたガブリエラがメキシコで行方不明になってしまう。不穏な気配が近づいてくる。それが再度の戦いの幕開けだった。

 こうなるとランボーが戦っているのか、40数年間、山あり谷ありでスターの看板を張ってきたスタローンが戦っているのかよく分からない。ランボーは牧場の地下に広い塹壕基地を作っており、そこで逆もぐら叩きゲームのようにギャングたちを迎え撃つのだ。

 『最後の戦場』も驚くほど血まみれだったが、今回も串刺しにするわ、巨大ボウガンで射抜くわ、首は落とすわ、そうとうにひどい仕打ち。でもこれはギャングたちが悪いな。ランボー/スタローンを怒らせるのがいけないのだ。

 愛する者はみな消えてしまう。返り血を浴び自身も傷ついたランボーはそうつぶやいて、ポーチの椅子に腰を下ろす。青い空、白い雲、テンガロンハットに愛馬。西部劇の風も流れている。

 スタローンは長年、最低映画を選ぶラジー賞の常連だったけれど、これは愛ある選出でもあり、老いたロッキーを演じた2015年の『クリード チャンプを継ぐ男』ではラジー・リディーマー賞(名誉挽回賞)が贈られた。

 まだまだ元気な彼は2018年に製作会社バルボア・プロダクションズ(ロッキー・バルボアが由来)を設立し、この『ランボー ラスト・ブラッド』も同社の作品だ。現在少年が憧れるダークヒーローに扮する『サマリタン』(2021年)を撮影中で、そのあとには破壊王マイケル・ベイ製作の『ニューヨーク1997』タイプの近未来アクション『リトル・アメリカ』(2022年)が予定されている。

 これからもがんばれ、スタローン! 体力は落ちても、人生の終盤を駆け抜けろ!

『ランボー ラスト・ブラッド』

6月26日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!
監督:エイドリアン・グランバーグ
出演:シルヴェスター・スタローン、パス・ベガ、アドリアナ・バラーサ、イヴェット・モンレアル
原題:RAMBO:LAST BLOOD
配給:ギャガ
2019年/アメリカ、スペイン、ブルガリア/101分/シネマスコープ
(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

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