スピーカー部門(4)<ペア40万円以上70万円未満>第1位 クリプトン KX-5PX

¥498,000(ペア)+税

ココがスゴイ!!

定番スピーカーの内部配線変更で、多様な表現を獲得(麻倉)

新チューニングで音楽表現の闊達さが増す(高津)

国産スピーカーを代表する密閉型2ウェイの傑作(土方)

 

特選 麻倉怜士

クリプトンの定番スピーカーのマイナーチェンジ版。低域用と高域用を最適素材、組成にしたバイワイヤー接続用ケーブル製品SC-HR2000とまったく同じ低域、高域用の内部配線を与えたのが変更点。オリジナル製品も情報量が多く、スピードも速かったが、配線変更はさらに緻密さと表現力の多彩さを付与した。テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ『モーツァルト:フィガロの結婚』の序曲では、弦と木管の音色的な対比感、第一と第二ヴァイオリンの位置的な対比感が鮮やか。空気感が澄んで、音楽が濃い。単なる内部配線の変更なのだが、効用は予想をはるかに超え、大きい。

特選 潮晴男

メイド・イン・ジャパンにこだわるクリプトンの中核を担うスピーカーである。基本設計はベースとなったKX-5Pと同じで、ウーファーの振動板にクルトミューラー製のコーン紙を、トゥイーターにはシルクの振動板を使い、いずれもアルニコマグネットを用いた磁気回路を組み合わせた贅沢きわまるユニットが用いられている。変更点は内部配線材と吸音材の分散配置だが、この方法によってスピーカー本来の基本性能がさらに向上し、分解能の高まりとともにふくよかで艶のあるサウンドの再現を可能にしている。

BEST1 小原由夫

従来機のKX-5Pに対し、クルトミューラー製コーン紙を使ったアルニコマグネット・ウーファー、リングラジエター付きアルニコマグネット・トゥイーターなど、主な仕様は変わらない。変更点は、内部配線材をPC-Triple Cとし、それに伴なって吸音材の入れ方を微調整したというもの。しかし、このわずかな差が、見通しのよい音場再現と、聴感上のS/N感のアップをもたらした。高域用/低域用で導体の線径や構造等を吟味しているのもミソ。

BEST1 亀山信夫

密閉型のエンクロージャー、ドイツ・クルトミューラーのパルプ製ウーファー振動板、全ユニットにアルニコ磁石採用など、主要な仕様を知るだけでクリプトンの名が浮かぶほど、継続性のある技術を備えている。それゆえの完成度が素晴らしい。本機は、内部配線材や吸音材処理仕様などを変更して、新しい音づくりに挑む。その音は、秘伝のワザが生み出すような緻密で鳴りのよさが魅力的。天然突き板の黒色ピアノ塗装の外観美も注目である。

特選 高津修

KX-5シリーズの最新モデルで、KX-5Pの後継機。KX-5Pは同社のスピーカー事業10周年を記念して2015年に発売されたのだが、予想以上の好評を得たようだ。ロングランの結果、内部配線材が入手できなくなった。それらを別の新素材に変えるなど、サウンドチューニングをやり直したのが当機、KX-5PXである。トータルな音楽表現の闊達さが増して、いっそう俊敏な応答性。もちろんオールアルニコ磁気回路の音の厚みも健在だ。

推薦 土方久明

スペック値や物量だけでは必ずしもよい音が出ないことはどのジャンルのオーディオ製品でも共通だが、特にスピーカーの設計は経験値が大きく左右する。クリプトンの場合、やはり設計者の渡邉勝氏の存在が大きい。氏の功績は言わずもがなだが、特に本機はその知見と、アルニコマグネット採用のトゥイーター/ウーファー、内部配線材のPC-Triple Cといった良質なマテリアルが採用されることで、国産スピーカーを代表する密閉型2ウェイ機の傑作となっている。

BEST1 藤原陽祐

クリプトンが誇る密閉型2ウェイ・ブックシェルフの傑作、KX-5の第三世代モデル。アルニコマグネットを奢った贅沢なスピーカーユニット、針葉樹系高密度のパーチクルボードによる高剛性エンクロージャー(高級ピアノ仕上げ)と基本設計を踏襲しつつ、内部配線材にPC-Triple Cに変更。あわせて細部のチューニングが見直された結果、低域の分解能に磨きがかかり、ストレスのない空間の拡がりが実に清々しいサウンドに。

BEST1 山本浩司

日本を代表するスピーカー工房クリプトンの小型2ウェイ機のトップエンド・モデル。密閉型エンクロージャー、独クルトミューラー製パルプコーンに高価なアルニコ・マグネットを奢り、素直な超高域特性を実現したリング・トゥイーターを搭載、真っ当な帯域バランスを維持したオーセンティックな美音を聴かせる。前モデルとの違いは内部配線材にPC-Triple Cを用いていること。その変更に合わせて吸音材の配置を微調整したという。

BEST1 和田博巳

既存モデルKX-5Pはこれまでも高い評価を得ていたが、その改良モデルとなるKX-5PXでは「まだこんなに音がよくなるんだ」と驚かされた。とは言え、搭載しているドライバーやエンクロージャー自体はKX-5Pとまったく同じ。変わったのは内部配線材で、それに合わせて吸音材が最適化されている。つまるところ、改良というよりはファインチューニングだが、透明感は明らかにアップして、音の品位も低域まで含めた解像度もいっそう向上している。

※HiVi ベストバイの選考は、★(ベストワン)、◎(特選)、○(推薦)の3種類があります

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