「ハイレゾの教科書 ハイレゾストリーミング対応版」は6月3日発売

読めば必ずハイレゾを再生できる、
デジタルオーディオの世界の羅針盤

「ハイレゾ」という言葉が一般的にも浸透し始めている昨今。しかし、どれだけの方がハイレゾの恩恵にあずかっているでしょうか。とりあえず再生できているけれど、本当にこれでいいの?と思っている方、ハイレゾに興味はあるけれど、どうやって再生すればいいのかよく分からない方もいらっしゃるでしょう。

「ハイレゾの教科書ハイレゾストリーミング対応版」は、一昨年の11月に発行し大変ご好評をいただいた「ハイレゾの教科書」を、最新の状況を踏まえ「増補・改訂版」としてリニューアルしたものです。この1年半で起こったハイレゾを取り巻く動きや状況を鑑みて、必要な事柄を大幅に拡充しました。基本的な知識や内容はもちろん、最新の情報を基にハイレゾ初心者が正しいハイレゾ再生をするための手引き書です。「どうやって再生すればいいのかよく分からない」方がハイレゾ再生にたどり着くまでを徹底的にサポートします。

大きな増補分はタイトルの通り「ハイレゾストリーミング」とハイレゾ再生のための総合ソフトRoon“ルーン”について。オリジナル版が全194ページだったところ、ハイレゾストリーミングサービスとRoonという2大テーマの解説に力を入れたことで226ページに大幅増量を果たしました。しかも価格は据え置き。

これからいよいよという方にも、すでにハイレゾ再生に取り組んでいて、ちょうどストリーミングを始めてみようと思っていたという方にも、役立てていただける一冊に仕上がりました。以下に著者:土方久明さんによる『〜ハイレゾストリーミング対応版』の序文を掲載します。少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ一度お手に取ってみてください。オリジナル版をお買い上げの方も、もう一度ご購入いただいても後悔はしないはずです。

●ハイレゾストリーミング

2019年末、突如スタートしたAmazon Music HD、mora qualitas。この二つのハイレゾ対応音楽ストリーミングサービスの導入の仕方、使い方をワークフローで詳解。定額を支払うことで一定期間中好きなだけ利用できるサブスクリプション型サービスは、ついにハイレゾ聴取にまで及びました。現在進行形でアップデートされ続ける最新サービスの正しい(=音の良い状態で聴ける)使い方を解説します

●ハイレゾ再生のための総合ソフトRoon“ルーン”

急速に存在感を増した「Roon」についての解説と導入の仕方、使い方について。導入の障壁になりがちなRoon の独自コンセプトについて丁寧に解説。さらに、各々のスタイルに合わせたハードウェア選びができるよう、USBDACを使う場合や、Roon Ready対応のネットワークプレーヤーを使う場合など、スタイル別で接続方法を図解します

Roonの解説ページでは、その「音質」にフォーカスした実験も実施。Roonは音のがいいのか? をテーマに、専用サーバーNucleusを使った場合などをじっくり比較しました

●基本中の基本もしっかり解説

もちろん、基本中の基本も変わらず掲載。「ハイレゾとは何か?」から始まる本書はユーザーを置き去りにしません

Roon以外の再生方法についても、各カテゴリーの最新モデルを使ったガイドにアップデート。ネットワークプレーヤー、USB DAC、ミュージックサーバー(オーディオ専用NAS)など各製品の使い方、メリット/デメリットを解説します

ハイレゾストリーミングが始まっても、大事にしたいのが手元の音源。ストリーミングだけではどうしても聴きたい楽曲の100%は賄えないもの。手元の音源管理には「タグ」を使うポリシーが必要です

その音源(ファイル)管理の一つの答えとして、著者:土方久明さん流のメンテナンス術を紹介。地味ながら必見の内容です

本書の目的 (イントロダクション抜粋)

 『ハイレゾの教科書』は、デジタルファイル再生を手引きする羅針盤となるべき一冊を目指し、2018年末に発刊された。CDからデジタルファイル再生への架け橋となる「CDリッピングの手法」、ハイレゾ配信サイトを使ったダウンロードから再生までの一連の流れ、そしてデジタル楽曲ファイルの恩恵を最大限生かすための、音楽データと共に格納される“タグ”情報編集について、2018年当時で考えられる最適な手法を提示出来たと自負している。

 実際、発売後の反響はたいへん大きく、「これを待っていた」という声や「出すのが遅い」、また「まだ難しい」といった多様な意見をいただいた。しかし概ね好評で、Amazonのオーディオ書籍ランキングでも1位になり、出版不況が叫ばれる中でほぼ全ての在庫を売り尽くすという快挙を達成した。

 しかしデジタルファイル再生の世界は変化が速い。そこで今回、多くの部分を刷新して増強改正版として新たに発売されることとなった。

 では初版発売から約1年半を経て、現在のデジタルファイル再生事情はどうなったか?そこには大きく2つの劇的な変化が訪れている。

 まず1点目は、定額課金制でアルバム、楽曲が聴き放題になるサブスクリプションタイプのストリーミングサービスの台頭だ。ついに日本でも、世界的企業Amazonとソニーミュージックのmoraが、それぞれAmazon Music HDとmora qualitas(モーラクオリタス)という、ハイレゾストリーミングサービスを正式スタートさせた。デジタル楽曲ファイル再生に必要なタグ管理もファイル管理もいらない。一度再生設定をしてしまえば、ディスクメディアのCDよりも楽な手順でハイレゾを再生できるいい事ずくめのサービスである。

 このストリーミングサービスは、おおよそCD専門ショップビル2軒分もの量の楽曲が聴き放題で、レコード、テープ、CD、ハイレゾと進化した音楽ソースの最終形態となるだろう。だからオーディオファイルはその再生術を身につけるべきだと思う。

 2点目は統合型再生ソリューションRoon(ルーン)の台頭だ。音楽鑑賞の歴史上で初めて「音楽再生動作」と「音楽の情報を調べる作法」を、1つのソフトウェアに統合するという、インターネット全盛の今でないと実現できなかったソリューションである。アーティスト、作曲者、ジャンル、レーベルなどのリンクを自動的に作成してユーザーにとって未知の楽曲を教えてくれるもので、膨大な楽曲を持つストリーミングサービスと抜群に相性がいい。このメリットに気がついた国内外の多くのオーディオメーカーが対応を進めており、ネットワークオーディオのネックのひとつとされていた、メーカーよって操作端末のグラフィカルユーザーインターフェイスが違うという問題も解消される。

 本書は、かつて『ハイレゾの教科書』で紹介したデジタルファイルの管理方法はそのままに(画面等は最新版に更新されている)、新たに台頭してきたハイレゾストリーミングサービスとRoonの情報を追加して再構成した。いわば、新しいデジタルオーディオの世界の羅針盤である。

 さあ、次なる航海を始めよう。目的地にはこれまでのオーディオ観を変える素晴らしい世界が待っている。新たな場所で、沢山の音楽とオーディオを楽しんでいただきたい。 (土方久明)