ディズニーのオフィシャル動画配信サービス「Disney+」が6月11日から日本でもサービスインする。これは北米では昨年先行スタートしたもので、『スター・ウォーズ』の各エピソードが4K/HDR(ドルビービジョン)やドルビーアトモスで見放題という、同作のファンにとっては夢のようなサービスともいえる。

 というのも、現在発売されている『スター・ウォーズ』シリーズのUHDブルーレイは基本的にはHDR10&ドルビーアトモスで収録されているから(2018年に発売された『最後のジェダイ』のUHDブルーレイはドルビービジョン収録)。つまりオーディオビジュアルファンが『スター・ウォーズ』をドルビービジョンで観たいと思ったら、Disney+の配信しかないわけで、そのためにも一日も早いサービス開始が待たれていたわけ(もちろん対応テレビも必要です)。

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 4K UHD MovieNEX』¥8,000(税別)

 がしかし、昨日の発表によると日本では当初は2K/SDR映像と2ch音声でサービスを始めるとのこと。つまり内容的には現在行われている「Disney デラックス」と同じ品質になるようです。う〜ん、ストレートを狙っていたのに、チェンジアップで三振させられた気分。

 とまぁそれくらいHDR方式による違いが気になるのは、今回の『スター・ウォーズ』サーガのブルーレイの画質がとてもよく出来ているから。先日も山本浩司さんと4Kレグザ「55Z740X」で『スカイウォーカー・サーガ4K UHDコンプリートBOX』から『エピソード4』と『スカイウォーカーの夜明け』の2枚をチェックしたけれど、40年という時代の壁を越えて、それぞれに魅惑的な映像を楽しむことができたのです。

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 そんなドルビービジョンとHDR10の見比べ取材も絶賛企画中ではありますが、実現まではもう少し時間がかかるかな。ということで、個人的4K『スター・ウォーズ』祭の番外編として、スピンオフの名作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のUHDブルーレイもチェックしてみた。

 『ローグ・ワン』は『エピソード3』と『エピソード4』の間をつなぐストーリーとして2016年末に公開されたもの。『エピソード4』のオープニングクレジットの2行からインスパイアして生まれたというから、脚本のクリス・ワイツとトニー・ギルロイの発想力は凄いと思う。

 内容的には“スター・ウォーズ版『特攻大作戦』” (by久保田明さん)という表現が言い得て妙だけど、冒頭から作品に引き込まれ、またもや133分間スクリーンに釘付けになってしまった(ちなみに本作を通して観るのはこれで4回目)。

 スペックとしては映像が4K/HDR10、音声はドルビーアトモスで、このあたりは正史作品と同じ。撮影は、アリAlexa65という6.5Kデジタルカメラに、ウルトラパナビジョン70用のアナモフィックレンズを取り付けていたそうで、オリジナルから4Kを超えるスペックを備えていたわけです。

 ではUHDブルーレイ『ローグ・ワン』のホームシアターでの印象はどうか? HDR対応プロジェクターJVC「DLA-V7」を使って自宅で確認してみた。パナソニック「DMP-UB900」で再生し、V7の画質モードは「Frame Adapt HDR」に設定している。

 全篇を通して言えるのは、とにかく映像がクリアーで見晴らしがいいこと。明るいシーンでのディテイルから、薄暗いシーンの階調再現まで安定しており、映像情報が余すことなく再現されている。どの場面でも(たとえジェダのような埃っぽい星でも)、空気が澄んでいて視力が一段階よくなった気がするほどだ。

 Ch(チャプター)2〜、ゲイレン・アーソとクレニックが草原で対峙するシーンでも、クレニックの軍服の雨粒がくっきり再現されたし、デス・トルーパーの光沢も劇場以上に美しい。暗部も階調がしっかり出て、自然。グレインはわずかに見えるが、輪郭も綺麗だ。続くCh3のタイトルバック、文字の黄色も濃く、かつ鮮明。星の数もひじょうに多い

 Ch12〜、惑星ジェダへの着陸シーンでは逆光の再現がHDR効果を狙っているし、K-2SOのボディ感、痛み具合も絶妙。Ch16〜、チルアートやベイズを交えての戦闘シーンも、ごちゃごちゃしているのになぜか小綺麗な印象になる。チルアートたちの衣装の汚れもリアル。

 Ch24〜からの惑星イーデゥーの暗がりでの戦闘シーンも暗部まで見え、チルアートが弓(?)でタイ・ファイターを打ち落とすシーンも笑える。また人物の表情もよくわかるので、暗殺を命じられたキャシアンが苦悩する様子も劇場以上に伝わってきた。

 クライマックスに向けてのCh39〜、惑星スカリフの明るい海岸は、色も綺麗でこれまた見晴らしがいい。降り立ったベイズの重装備、チルアートの衣装も綺麗に再現される。スパイ行動ならではの音を抑えた棒術から一気に弾ける爆音まで、サラウンドも“静”と“動”がうまく再現できていると感じた。

 Ch45〜は送信アンテナの描写がリアルで背景も美しい。ジンがタワーから落ちそうになるシーンは高所恐怖症の人は観ない方がいい。ハイパースペースから出現したデス・スターの雄姿、その攻撃によるスカリフの崩壊、襲ってくる爆風の迫力など、絵と音が渾然一体となって視聴者を包み込む。

 そしてCh48〜のベイダー卿の襲撃! このシーンをV7で観るていると、お馴染みの音と共にライトセーバーの赤い光で浮かび上がる姿はまさに神々しいほどで、誰しも見とれること間違いなし。真っ暗闇からわずかに明るい黒までの、暗部再現が優秀だからこそですね。

 そこからのベイダー卿の “ダークサイドの権化” としての存在感、まさにフォースを感じるかのような威圧感が映像と音から出てこないと、『ローグ・ワン』を本当に楽しんだとは言えないのかも……4回目の視聴にしてそう感じた次第。もはやわが家のSDRプロジェクターでは満足できない気がしてきて、これはマジでやばい。「Frame Adapt HDR」の効果、恐るべし。

 ちなみにもうひとつのスピンオフ『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のUHDブルーレイも「Frame Adapt HDR」モードで観てみたけれど、こちらは劇場同様に黒浮きの印象が拭えない。年代的には新しいんだけど、UHDブルーレイとしての完成度は『ローグ・ワン』の方が上かもなぁ(内容的にも……かな)。

(取材・文:泉 哲也)

ベイダー卿の怖さを体感したい方は必見!
D-ILAプロジェクター DLA-V7 ¥1,000,000(税別)

●表示デバイス:0.69型D-ILA
デバイス●表示解像度:水平4096×垂直2160画素
●レンズ:2倍電動ズーム・フォーカス、オールガラスレンズ
●レンズ口径:65mm
●レンズシフト:上下80%、左右34%(電動)*16:9投写時
●ランプ:NSH 265W
●明るさ:1,900lm
●コントラスト:800,000対1(ダイナミック時)、80,000対1(ネイティブ)
●接続端子:HDMI2系統(3D/Deep Color/HDCP対応)、TRIGGER出力1系統(ミニジャック、DC12V/100mA)、3D SYNCHRO端子1系統(Mini‐Din 3pin)、LAN端子1系統(RJ-45)、他
●消費電力:400W(通常待機時:1.5WW)
●ファンノイズ:24dB(ランプモード低)
●寸法/質量:W500×H234×D495mm/19.8kg

『スター・ウォーズ』サーガのUHDブルーレイを観るなら、HDR対応機がマストでしょう。と考えて、JVCのDLA-V7の視聴機を借用した。リビングシアターなのでテーブルに載せて床置き設置で投写したが、かなり高精細な110インチ映像を楽しむことができた。
 さらに明るさのダイナミックレンジも広く、惑星イーデゥーの暗がりからスカリフの明るい海岸まで、どれも見事に描写していたのには驚いた。ラストシーンのベイダー卿の佇まい、そこに居るだけの怖さは、V7の「Frame Adapt HDR」で観ることで、いっそう際立ってくるのは間違いなし!

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