ベルトドライブプレーヤーのMIRACORD 90は2016年にELAC創業90周年記念モデルとして発表された。往年のブランドに現代の技術を加味して復活させたものだ。その後70、50と続いて、今回60までラインナップを展開している。
このMIRACORD 60は短いストレート型トーンアームを搭載。カーボン系素材のパイプだ。ただしユニバーサルタイプのヘッドシェルは付属せず(編集部注:MIRACORD 60専用シェルは1つ付属します)。ターンテーブルは一体成形アルミダイキャスト製であり、打診すると鉢を叩いたようにきれいに響く。裏側を見ると、ゴム系の防振材を貼っているが中心側の区画は対策せず。音質を考慮してほどよい制振に止めたのだろう。直流駆動モーターは光センサーを用いて制御している。電源はDC12Vの外付けACアダプター方式。
オーディオテクニカのVM760SLCを装着して試聴。ジャズヴォーカルにしろ歌謡曲にしろ、声の表情がすこぶる明瞭。口元や舌の動きが見えるような生々しさがあり、のびのびとして立体感のあるエコーをよく従えている。ザ・ピーナッツの2重唱がよく分離しつつ響き合う様子も克明。ベースや打楽器系の弾力感や鮮鋭感も良好。またケルテス指揮の「ハーリ・ヤーノシュ」など意外なほどスケール感があり、ソロ楽器の諸相も過不足なく描写。声の帯域の描写力を重視してまとめていったら全方位的な表現力が備わったということだろう。これはクールビューティーな外観ともども実に洗練されている。
試聴に使用したカートリッジ
オーディオテクニカ
VM760SLC
¥80,000