4K UHD BLU-RAY レビュー『トップガン』トニー･スコット監督【世界4K-Hakken伝】

TOP GUN - 4K UHD BLU-RAY with DOLBY VISION and DOLBY ATMOS

Oh yes...TOP GUN a classic example of 1980's overindulgence, this film certainly has it all, a hot cast including a young Tom Cruise for the ladies and Kelly McGillis and also Meg Ryan (in an early movie appearance) for the guys to swoon over, action that rivals the best that 80's action movies had to offer, fast fighter jets and sweet dog fight scenes, cheesy love interest sub-plots and a lead character that had everything to prove and nothing to lose.

Release Dates (Theater)：May 16, 1986
Domestic Total Gross：$179,800,601
(International: $177,030,000)

FILM

26歳になるまでは、やりたいことを何でもするようなことは慎んでいるんだ。ポール･ニューマンくらいの年齢になる頃には、彼が演じているような偉大な役をやっていたいけれどね。これは『ハスラー2』完成後に当時24歳のトム･クルーズが述べた言葉だ。あれから34年、「何でもやれる」大スタアとなったトムだが、『ハスラー2』の前作『トップガン』、その世界的な大成功なくして現在の彼はなかろう。『トップガン』公開の1986年、アメリカではついにビデオ･マーケットの収入が映画産業を上回った。ビデオやケーブルテレビが勢力を増すなか、『トップガン』では劇場での映画鑑賞ならではの迫力を追求、86年全米興行成績第1位となる大ヒットにつなげたのである。

トムが演じるのは、優秀だが無鉄砲なパイロット、ピート･"マーヴェリック"･ミッチェル。その彼がアメリカ海軍戦闘機兵器学校、通称トップガンに入校、挫折を乗り越えて栄光を掴むまでを描いた作品だ。「ホルモン注射過剰の映画」（映画評論家デヴィッド･アンセン）と揶揄されつつも、海軍の全面協力を得てF-14ジェット戦闘機を使って撮影されたダイナミックな空中戦が映画のハイライトであり、ステレオタイプで単純明快なストーリーを補って余りある。MTV感覚の音楽づかいも話題となったが、劇中使用曲はレコード会社との契約によって決められ、映画のヒットととともに劇中曲もヒットさせるという企てが仕掛けられている。その結果、サウンドトラック･アルバムは驚異的な売り上げを記録、それまで無名だったベルリンが歌う『Take My Breath Away』はオスカー主題歌賞の栄冠に輝き、レコード会社とのタイアップをその後の映画業界に促すこととなった。

共演は前年の『刑事ジョン･ブック／目撃者』で注目されたケリー･マクギリス、『エイリアン』のトム･スケリット、『スキャナーズ』のマイケル･アイアンアサイド、『ER／緊急救命室』シリーズでお茶の間の人気者となるアンソニー･エドワーズ。またヴァル･キルマー、メグ･ライアン、ティム･ロビンスといった、その後にトップスタアの座を築く若手俳優の出演にも注目だ。ちなみに劇中でさまざまな空中スタントを繰り広げるのは、米国海軍テストパイロットであり、のちにNASAの宇宙飛行士となってスペース･シャトルによる4度の宇宙飛行を行ったスコット･アルトマンである。また重要な役割を果たした米海軍空母USS「レンジャー」（CV-61／劇中「エンタープライズ」として登場）は、1993年に退役、2015年に惜しくも解体されている。

AWARDS

第59回アカデミー賞（1986）
★主題歌賞受賞
☆音響賞、音響効果編集賞、編集賞ノミネート

第44回ゴールデン･グローブ（1986）
★歌曲賞受賞
☆音楽賞ノミネート

VIDEO

撮影は『ビバリー･ヒルズコップ2』ほかのトニー･スコット作品や、『M-I：2』『エクスペンダブルズ』などで知られるジェフリー･キンボール。パナビジョン･パナフレックス／スーパー35フォーマット（4-perf）撮影。35mmオリジナルネガからの最新4Kスキャニング／デジタルレストア／HDRグレーディング。4Kスキャンは『トップガン3D』同様にEFILMが担当（『トップガン3D』は6Kスキャン）。DIファイルは4K。HDRはHDR10と、オプションとなるドルビービジョンHDRを採用したハイブリット仕様（peak luminance: 1000 nits）。映像平均転送レートは51.1Mbps（HDR10） + 4.8Mbps（ドルビービジョン＝DV）。収録アスペクトは2.40:1スコープサイズ。同梱のBLU-RAY版もUHD BLU-RAYと同じレストア･マスターを使用しているため、2008年BLU-RAYからのアップグレードを視認できる（08年版にみる強度な輪郭強調、圧縮ノイズなどから解放）。

わずかに肌理の粗い粒子感に支えられた、フィルムルックな美的ビジョンを再現。最新デジタル撮影作品のような高精細な先鋭感や高光沢を期待するべき作品ではないものの、解像感やコントラストのアップグレードに喜ばされること請け合い。トニー･スコット十八番のカラーフィルタリングやウォームパレットの再現、多用される広角ショットやクローズアップにみる視認性や深度描画力の改善も優秀だ。HDRはエネルギッシュな白と深みのある黒を実現。ハイライトから濃い陰影までの幅広いコントラストレベルでアクションを活気づけている。低照度ショットにおいても明部が強化、暗部階調の濃淡も伸長されている。HDR／WCGの能力を最大限に発揮できるかは再生機器の機能によって異なるものの、それでも拡張された可視情報を露わにし、コントラストの差異とカラーパレットとカラータイミングの改善を視認することが出来よう（一例として下欄「SCREEN CAPTURES」ｰ CAP.7とCHAP.8を参照）。

2008年BD版のブルーの色調は大幅に改善され、屋外ショットは黄系色の濃淡によるウォームトーンでレンダリングされている。アーストーンは広範な色づかいとなり、奥行感に欠けていたショットを活気づける。ドルビービジョン･プレゼンテーションはウォームトーンが拡張。類似色相配色（本作では橙･黄みの橙･黄）は全編に渡って強化され、ときに焼けつくかのような色調となる。本作は男たちの"汗”の表現にこだわった映画でもあり、HDRは通好みの発汗状態を魅せてくれる。そしてなにより、F-14をはじめとする機体の質感、コックピットキャノピーに降り注ぐ陽光の輝き、アフターバーナーのオレンジ色の炎、個性的に彩られるフライト･ヘルメット（HGU-55/P改）の硬度や発色、鋭利なスペキュラハイライトは最大の観どころとなろう。

AUDIO

サウンドデザイン／音響編集監修は『レッド･オクトーバーを追え！』『パール･ハーバー』でオスカー受賞のジョージ･ウォーターズ2世。オスカー受賞のリレコーディングミキサーは『グローリー（オスカー受賞）』のドナルド･O･ミッチェル、『ハクソー･リッジ（オスカー受賞）』のケヴィン･オコネル、『U-571』のリック･クラインという錚々たるメンバー。リミックス･ドルビーアトモス･サウンドトラックの音声平均転送レートは5,116 kbpsを記録、BLU-RAY版音声も同レートとなる。

お馴染みオープニングタイトルから魅力全開のシネソニック。パラマウントロゴにハロルド･フォルターメイヤー（『ビバリーヒルズ･コップ』）のシンセスコアが重なり、クレッシェンドとともに映画的興奮が高められ、いよいよ飛行甲板からF-14が飛び立つとケニーの『デンジャーゾーン』が流れ出す。このサウンド･シークエンスだけで打ち震えるシネフィルも多かろう。第一幕のミッションコマンドやフライオーバー音など、これまで気づかなかった音彩が立ち上がり、ダイナミックレンジも卓越、パンニング効果も画面上のアクションと完璧に一致している。フレーミングや構図とリンクした空間次元の描音力にも注目されたい。フロントステージは堅固、ステージングも的確に拡張。よりクリアとなった濃密なミッドレンジを備えており、激しいアクションのなかでも揺るがぬ明瞭度と分解能を提供。若い俳優陣の発声はいささか深みを欠くものの、感情に駆り立てられた瞬間においても明確な口跡を残す。空母艦内のブリーフィング（1:27:16～）ではリップシンクの乱れが聴取できるが、これはオリジナルのサウンドトラックに記録されているもの（BLU-RAY、DVD、LD版でも聴取できる）。ローエンドの強化はアクションの質を高め、ときに攻撃的に増幅、ジェットエンジンの轟音やドッグファイト･ノイズにさらなる迫真性を加えている。 オブジェクト操演も顕著で良好。シームレスなアンビエント、離散的な活劇効果を生み出し、全編に渡って豊かなレイヤーを追加している。本作のオリジナル･サウンドトラックは最新映画のようなダイナミズムと堅牢さを誇ってはいないが、ドルビーアトモスはオリジナルのシネソニックの感触を残しつつ的確に補完、洗練されたミックスとなっている点に好感が持てよう。非常に賢明なサウンド･パフォーマンスである。

FINAL THOUGHTS

劇場公開から40年。まこと感慨深いものがある。劇場公開にパッケージソフトと、1980年代に成人を迎えたシネフィルの誰もが本作を楽しみ、胸躍らせたことがあるのではなかろうか。その大半が愛情イッパイに記憶しているであろう映画なのである。本作が家庭劇場で楽しめるようになってから、UHD BLU-RAYは間違いなく最高の贈り物であり、

SPECIAL FEATURES

SCREEN CAPTURES

DISC SPECS

FILM SPECS

4K画質評価

音質評価

SCORE