オーディオ愛好家の間で人気があるのはなんといっても女性ヴォーカルだ。海外アーティストならヘレン・メリル、リンダ・ロンシュタットやホイットニー・ヒューストン。ジャシンタ、ダイアナ・クラールの歌声も、オーディオイベントで耳にする機会が多い。海外組がやはり人気だが、彼女たちに勝るとも劣らない人気を誇っているのが日本の今井美樹だ。良い曲に恵まれているのはもちろん、それをきちんと歌いこなす歌唱力の確かさがあり、彼女を支えるサポートスタッフにもたいへん優秀なメンバーが揃っていることから秀作が多い。オリジナル曲(一部カバーを含む)については、Premium Ivory -The Best Songs Of All Time-として、96/24のハイレゾ版が、e-onkyo musicなどを通じてダウンロード(有料)できるので、すでに楽しんでいる方も多いと思う。

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(シングルレイヤーSACD) SSMS-027

彼女の魅力的な歌声については、ステレオサウンドから昨年9月14日にリリースされた、シングルレイヤーSACD「Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-」でも改めてオーディオ愛好家の間で話題となった。本作は、彼女が敬愛してやまない、荒井由美/松任谷由実の作品をカバーした12曲を収録したもので、そのオリジナルとなるCDヴァージョンは2013年10月09日に、ユニバーサルミュージックからリリースされている。ステレオサウンド盤では、そのユニバーサルミュージックの多大なるご協力を得て、改めてオリジナルマスター素材から、DSD2.8MHzファイルを制作。シングルレイヤーSACDに収録している。

こうしたリイシューの場合、通常ならマスタリング作業はユニバーサルミュージック内で実施されるが、今回はステレオサウンドからお願いし、ソニー・ミュージックスタジオで制作することについて許しを得ている。マスタリングエンジニアは、松田聖子、太田裕美、尾崎亜美らのSACD制作でもその手腕を発揮し、多くのステレオサウンド読者のみなさまから、その音づくりについて共感をいただいている同スタジオ所属の鈴木浩二さんだ。

東京・乃木坂のソニー・ミュージックスタジオ。2曲を除いて、96/24のデジタル(トラックダウン)マスターからDSDファイルが制作された。

www.stereosound-store.jp

シングルレイヤーSACD「Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-」を聴いて感じるのは、やや抑え気味の歌唱からでも充分に感じられる実在感だ。例えば深夜、レスポンスのよい小型スピーカーを用いて小音量・ニアフィールドで再生してみると、海外勢が占めるバックからふっと浮き上がるように彼女の歌声が聴こえてくる。それはあたかも目の前で歌っているかのようなイリュージョンを味わう感覚。本作を担当したディレクターによれば、「歌い手である今井美樹をバックの演奏から引き剥がすことに意を払った」とのことだから、それもそのはず。素晴らしい立体感と奥行き感再現につながっているのではないかと思う。

オーディオルームで今井美樹の歌声に向き合ってみる。静かな夜のひととき、これは悪くない過ごし方。ぜひ、みなさんにお試しいただきたい。ちなみにレコード派の方には、異なる制作プロセスを踏んだアナログ盤のご用意もございますのでこちらがおすすめ。詳細については、また機会を改めてお知らせしたい。

「Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-」はこちら!
(アナログレコード2枚組) SSAR-041~042