5月24日、ステレオサウンドからシングルレイヤーSACD+CDの2枚組という特別なスタイルで、ピンク・レディーの音楽ソフト「阿久悠作品集」が発売となります。ピンク・レディーといえば、子供からお年寄りまで、日本中を虜にした女性デュオ。1970年台後半、お茶の間のテレビから彼女たちの歌声が聴こえて来ない日はありませんでした。派手な衣装と奇抜な振り付けで踊り、歌う。それはやがて今日のアイドルグループたちが繰り広げるパフォーマンスへつながっていくことになります。

 同時に、ピンク・レディーを生み、支え、育てていたスタッフたちの間には、当時世の中に存在しない、新たな音楽の息吹を生み出そうという意気込みが満ちていました。今までなかったものをつくろう、すでにヒットチャートを賑わせているものはつくらない、既存のものを踏襲しても何も生れないのだから……。彼女たちにヒット曲を続々と提供し続けることになる、作詞家阿久悠と作曲・編曲家の都倉俊一のふたりに共通の考え方だったと伝えられています。

 それは、このSACDの1曲目に納められているデビュー曲「ペッパー警部」のイントロを聴いてみればすぐにおわかりいただけることでしょう。当時何気なく聴いていたサウンドは、70年代初頭に登場したChicago や Blood, Sweat & Tearsのようなブラスロックを彷彿させるアメリカンサウンドに通じるもの。バランスのよい、うまく調整されたオーディオでこの曲のディテイルに耳を傾けると、ソウルっぽいベースやドラム、勢いのあるコーラスなどが勢いよく、しかも細やかに聴こえてくるはずです。もちろん、ミイとケイのパンチのある全力歌唱も素晴らしい。

 さらに「カルメン”77」のイントロ。ここにもブラスロックの影響が色濃く現れています。ここで曲をリードするのはトランペットで、よく聴くとほぼ息継ぎする隙がないことに気づくはず。当時、テレビの歌番組では今のようなカラオケやシンセサイザーではなく、ナマバンドによる伴奏だったはずですから、ステージ上のミュージシャンたちがいかに大変だったか、そしてその技量がいかに卓越したものだったかが偲ばれます。

封入されるブックレットでは、制作当時のヒットメーカーたちが繰り広げた、音へのあくなき追求を知ることができる。これもたいへん貴重な内容だ

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 ステレオサウンドがこうした70年代から80年代に制作された日本の歌謡曲、ポップス、演歌などのソフト制作に注力するのは、アーティスト本人たちのパフォーマンスの素晴らしさはもちろんですが、それにもまして当時制作に携わったディレクター、エンジニア、そしてミュージシャンなど、音の職人たちが生み出した音楽作品の素晴らしさを現代のオーディオで再現したい、その感動を読者のみなさまと共有したいと考えているからです。本作は、ピンク・レディーというアーティストが放つ強烈なイメージにカムフラージュされて見えるかもしれませんが、その中身はそんな匠の技の上でしか成り立たない「音の奇蹟」といえるもの。ぜひ同封のライナーノーツに眼を通しながら、オーディオ仕様のピンク・レディーをお楽しみください。きっと新しい体験となるはずです。

ピンク・レディー「阿久悠 作品集」(Single Layer SACD+CD・2枚組)
4,950円(税込)
■発売日:2020年5月24日
■型番:SSMS-043~044
■仕様:SACD(シングルレイヤー)+CD・2枚組
■JANコード:4571177052438
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