オーディオやオーディオビジュアルの世界は日進月歩。次々に新しい技術やそれを搭載した新製品が登場し、入れ替わりも早い。だが同時にそれらは、常に時代の最先端を走っているモデル達でもあり、思い出に残る製品ともいえる。このシリーズでは、弊社出版物で紹介してきた名機や名作ソフトに関連した記事を振り返ってみたい。

以下の記事はHiVi2010年12月号に掲載されています

サラウンドで揃ったQシリーズ。豊かに響く低域に注目したい

 優れたコストパフォーマンスで人気の英国KEFのiQシリーズが一新された。新Qシリーズは、2chステレオからサラウンドまで視野に入れた全9モデルを擁する大ファミリー。フロアー型が3、ブックシェルフ型が2、センター用が2、ダイポール型が1、サブウーファーが1モデルという充実のラインアップが特徴である。

 Qシリーズの核心にしてKEFの象徴とも言える同軸型ユニット、Uni-Qをはじめ、搭載ユニットはすべて新設計となった。メジャーな点はウーファー振動板がポリプロピレンからアルミに変り、トゥイーターも口径が19mmから25mm(Q900は38mm)へと大型化されたほか、細部にも最新の技術を投入する。低域へのアプローチも新Qシリーズの特徴で、エンクロージャーの容積アップを図り、フロアスタンディング型、およびセンター用モデルでは新たにドローンコーンを採用している。

 視聴はフロントL/Rに「Q900」、センターに「Q600c」、サラウンドL/Rに「Q700」、サラウンドバックL/Rに「Q500」、サブウーファーに「Q400b」という新Qシリーズのオールスターで行なった。

 まずはQ900をCDで確認する。一聴して、KEFの狙いどおり、低域の豊かなスピーカーだと分かる。Q900では振動板径を従来機の165mmから200mmへと大型化したが、その効果もあって、キックやベースはどっしりと響く。全体的にはややソフト気味の上品な印象だ。

 映画BD『NINE』のチャプター12では、まずは聴きやすいセリフが印象的。ダンス場面の音楽は低域の迫力で魅せる。中高域もとてもスムーズだ。ただ、タンバリンのリズムの切れはもう少しほしい。

 『プライベート・ライアン』の壮絶な戦闘シーンも量感豊かな低音で引き込む。しかし銃声などの鋭い効果音はもう少しシャープなエッジ感がほしい。

 そこで、Q900のみ、AVセンター(ソニーTA-DA5500ES)でのバイアンプ駆動を試みた。まずCDは素晴らしいヌケ感だ。特徴的な低音の迫力はそのままに、楽器輪郭が一段と鮮やかに聴き取れる。空間感も質感も上々の描写。効果抜群である。

 『NINE』では、背景に流れる波の効果音が細やかに描写され、アコーディオンの響きも実に繊細だ。何よりもダンス場面の音楽がフレッシュに聴けるのがいい。タンバリンもハイハットも生き生きとリズムを刻む。バイアンプ駆動はフロントL/Rだけだが、蹴り上げた砂のサラウンドは鮮明な軌跡感だ。

 使いこなしでどんどん力を発揮しそうな、懐の深い新Qシリーズである。

SPEAKER SYSTEM

KEF Q900 ¥207,900(ぺア) ※価格は発売当時のもの。以下同
●型式:2.5ウェイ3スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:200mmコーン型ウーファー+38mmドーム型トゥイーター同軸、200mmコーン型ウーファー、パッシブラジエーター×2●クロスオーバー周波数:1.8k㎐●出力音圧レベル:91dB/2.83V/m●寸法/質量:W359×H1107×D322mm/22.1㎏

Q700 ¥161,700(ぺア)
●型式:2.5ウェイ3スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:165mmコーン型ウーファー+25mmドーム型トゥイーター同軸、165mmコーン型ウーファー、パッシブラジエーター×2●クロスオーバー周波数:2.5k㎐●出力音圧レベル:89dB/2.83V/m●寸法/質量:W325×H967×D312mm/17.2㎏

トールボーイタイプの「Q700」

Q600c ¥70,350
●型式:3ウェイ3スピーカー・バスレフ型●使用ユニット:165mmコーン型ウーファー+25mmドーム型トゥイーター同軸、165mmコーン型ウーファー、パッシブラジエーター●クロスオーバー周波数:500㎐/2.5k㎐●出力音圧レベル:87dB/2.83V/m●寸法/質量:W629×H210×D302mm/14.1㎏

SUBWOOFER Q400b ¥714,000
●型式:アンプ内蔵・密閉型●使用ユニット:250mmコーン型ウーファー●アンプ出力:200W●寸法/質量:W330×H335×D330mm/13.6㎏