4月29日にUHDブルーレイ『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ4K UHD コンプリートBOX』と、シリーズの掉尾を飾る『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が発売され、StereoSound ONLINEがちょっとした “SW祭り” 状態となっているのはご承知の通り。ここで編集部から筆者に与えられたミッションは、東芝レグザの最新液晶テレビZ740Xシリーズの55型「55Z740X」でUHDブルーレイ版『スター・ウォーズ』を観た感想を申し述べよというもの。

 HiVi6月号(5月17日発売)の取材で全9作のUHDブルーレイをほぼすべて観たが、とりわけ4K&HDR化の恩恵が著しいと思えたのが、初期3作『エピソード4』〜『エピソード6』だった。そこで、ここでは記念すべき第1作『エピソード4/新たなる希望』と最終作『〜スカイウォーカーの夜明け』を55Z740Xで観たインプレッションをお届けしたい。

55Z740Xの最適画質を追い込む山本さん。以前スカイウォーカーランチに取材に行った際に購入したという、ビンテージのTシャツを着て取材に臨んでくれた

2020年夏モデルで屈指の完成度を持つ「Z740X」は、
『スター・ウォーズ』の名場面をどう魅せるのか

 この春発表された4K液晶レグザの主力シリーズがZ740X。緊急事態宣言下、外出自粛要請が出ているため各社のこの春夏の新製品を見て歩くことができていないが、Z740Xシリーズは新製品の中でおそらく画質のよさで一、二を争う液晶大画面テレビだろう。1ヵ月ほど前に本機をテスト、液晶タイプとは思えないハイコントラストで高精細かつ高S/Nな画質を前にして、そう確信した。

 採用されたパネルは正面コントラストに優れるVA(Vertical Alignment)型。直下型バックライトによるローカルディミング(エリア駆動)が採用され、液晶テレビの弱点として指摘されることの多い黒浮き問題に対処している。

 液晶、有機ELを問わずレグザ最大の魅力は、画質と機能性、使い勝手を高次元でバランスさせていることだろう。とくにコンテンツと照度環境に合わせて最適画質を提供する「おまかせAIピクチャー」の完成度の高さは出色。加えて、Z740Xでは新たに「レグザエンジンCloud PRO」と名づけられた画像処理回路が投入されている。

液晶テレビ
東芝 55Z740X 市場想定価格21万円前後

●液晶パネル:55V型(4K VA液晶)
●解像度:水平3840×垂直2160画素
●内蔵チューナー:4Kチューナー×2、地上デジタル×9、BS/110度CSデジタル×3
●HDR対応:HDR10+/HDR10/HLG
●接続端子:HDMI入力4系統(4K入力対応)、ビデオ入力1系統、アナログ音声出力1系統(ヘッドホン端子兼用)、光デジタル音声出力1系統、LAN端子1系統、USB端子4系統、他
●特長:レグザエンジンCloud PRO、AI超解像、美肌リアライザーPRO、地デジAIビューティPRO、AI HDRオプティマイザー、タイムソフトマシン、USB HDD録画、SeeQVault対応、他
●音響システム:レグザ重低音バズーカオーディオシステムPRO
●使用ユニット:5.0×7.0cmウーファー×2個、3.5×8.5cmフルレンジ×2、2.5cmトゥイーター×2
●消費電力:271W(待機時0.4W)
●寸法/質量:W1237×H766×D237mm/20.0kg(スタンド含む)

今回の取材では、55Z740Xの映像メニューは「映画プロ」で進めている。初期値から、コンテンツモードを「4K-BD」にし、倍速モードも「インパルス」に変更した。視聴室はほぼ真っ暗にしているので、この状態でも画面の明るさに不満は感じなかった

色温度は「2」をチョイス。Z740Xの場合はこの状態では6500Kに設定されるとのことで、ヌケのいいクリアーな映像が楽しめた。もう少ししっとりしたニュアンスが好きな方は色温度の数値を下げるか、「RGBゲイン設定」を追い込んでみるといいだろう

「色温度」のメニューで手動で好みの数値を選び、さらにその状態でリモコンの青ボタンを押すと、「RGBゲイン設定」が可能になる。『〜スカイウォーカーの夜明け』ではレイの肌色で緑が強めに感じられたのでGのゲインを思い切って10ステップ下げている

 これは放送番組を対象とした高画質技術で、コンテンツに合わせた映像処理情報をクラウド上に蓄積、テレビ側がそのデータにアクセスすることで、より最適化された高画質を提供するというもの。本機発売時点ではこの回路ははたらいておらず、6月から稼働予定という。

 地デジ6チャンネル分を全録するレグザ独自の「タイムシフトマシン」機能も一度使えば誰もが納得する便利さ。加えてZ740XシリーズではBS4Kチューナーを2基、BS/110度CSデジタルチューナーを3基搭載しており、「4Kウラ録」と「BS 3チューナーW録」を実現している。

 前回の取材でも、様々なコンテンツを用いて本機の画質を精査してみたが、ノイズを極小化しながらナチュラルな風合いを訴求するのが本機ならではの魅力だと思った。とくに「おまかせAIピクチャー」で観る地デジ画質は他社の液晶モデルを寄せつけない完成度の高さ。スキントーンが美しく、液晶特有の、フォーカスが絞りきれないようなぽってりとした甘さをあまり感じさせないのである。同社が培ってきた超解像技術の洗練度が一段と上がった印象だ。

55Z740Xで観る『エピソード4』UHDブルーレイの画質に驚く。
1977年の35mmフィルム収録作品とは思えない

『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ 4K UHD コンプリートBOX(数量限定)』(¥50,000、税別)

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 ではUHDブルーレイ版『スター・ウォーズ』のチェックといこう。視聴室の照明を落とし、映像モードを「映画プロ」に設定。まずは『エピソード4』から観ていく(UHD BDプレーヤーはパナソニックDP-UB9000)。

 1977年の35mmフィルム収録作品ながら、55Z740Xで観るUHDブルーレイのキレのよい画質は、ちょっとした驚きだ。ノイズは極小で、精細感はきわめて高い。ノイズと見紛うようなフィルムグレイン(銀粒子)はていねいに取り除かれているが、テクスチャーはきちんと維持されており、違和感はまったくない。40年以上前のレガシー作品のレストアUHDブルーレイとして、本作は他に比肩するものがないと断言したくなるほどの高画質ぶりなのである。

 ジョン・ウィリアムスのペンになる勇壮なテーマ曲が鳴り響いたのち、スター・デストロイヤーが宇宙空間を驀進するオープニング。本機のローカルディミングが的確にはたらいているのだろう、液晶テレビとは思えない漆黒の闇が実現され、幾千の星が光り輝く。もうここで感涙にむせぶ「1978年世代」のご同輩がおられるはず。

 レイア姫の乗る外交船CR90コルベットに帝国軍が襲いかかり、ブラスターが飛び交う中をC-3POとR2-D2がちょこまかと逃げまどう場面。虹色に輝くレーザー光はきりりと絞られ、輝度ピークはすっきりと伸びる。HDR10の霊験あらたかだ。C-3POの金色の輝きは自発光の最新有機ELテレビに比べるとやや鈍る印象だが、過去の液晶テレビと比較すれば本機の「金色らしさ」は充分な説得力を持っている。

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』より

 撮影当時19才だったというキャリー・フィッシャー(レイア姫)の張りのある肌艶のよさといったらない。また、R2-D2がジャワ族に捕獲されるシーンでは、薄暗い室内のローライトの描写が精妙で、本機の階調表現の秀逸さを印象づける。UHDブルーレイの凄さ、Z740Xの表現力の高さに、取材を忘れ、ただただずっと見惚れ、メモを取る手もまったく動かず……。

 経験豊かなエンジニアが丹精込めて仕上げたZ740Xの「映画プロ」モードの画質のすばらしさに改めて脱帽の思いを抱いたわけだが、歴代レグザは高画質マニアの期待に応える懐の深い画質調整項目を持っており、本機もその例外ではない。ちょっと自分なりにいじってみよう。

 まずいちばん効果的だったのが低遅延モード。ここを「オン」すると、三次元NRや倍速補間処理などをバイパスすると共にフル12ビット/オール4:4:4処理となり(結果的にピュアダイレクト=『オン』と同様の信号処理に)、本作のようなノイズ極小の高S/N作品では、いっそう鮮明な画質となる。

 同時にこのモードに設定すると、BDプレーヤーなどのHDMIセパレート出力で音声専用の1系統をAVセンター等につないだときに生じがちな映像と音声のズレ(リップシンク)が収まる副次的なメリットもある。

 また、全暗環境で観るのであれば、倍速モードを「インパルス」に設定するのも効果的。しばらくするとフリッカー(画面のちらつき)は気にならなくなり、よりボケ感の少ないキレのよい画調に変化した。

 「映画プロ」モードの色温度の初期値は2=6500K(ケルビン)。試みにこの値を0=5000Kにまで落としてみると、ノスタルジックな雰囲気が横溢し、「43年前の低予算映画感」が強調されるようで、とても興味深かった。ふるいフィルムの質感が好きという方はぜひこの色温度調整にトライしていただきたい。

最新作『〜スカイウォーカーの夜明け』UHDブルーレイの
精緻極まりない描写力に、思わず画面ににじり寄っていく

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け4K UHD MovieNEX』(¥8,000、税別)

amzn.to

 シリーズ最終作の『〜スカイウォーカーの夜明け』もフィルム収録作品。ポストプロダクションで様々なデジタル処理が施されているが、興味深いのは2019年の最新作ながら『エピソード4』よりもフィルムグレインを強調するマスタリングが施されていること。どのような意図でこういう画調に仕上げられたのかは不明だが、そこにJ.J.エイブラムス監督の思いが反映されているのは間違いないだろう。

 この作品はIMAXやドルビーシネマといった超ハイクォリティな映画館ですでに観賞しているせいか、『エピソード4』ほど高画質化のうれしい驚きはなかったが、じっくり観ていくと、映画作品のUHDブルーレイとして歴史に名を刻むハイレベルなソフトに仕上がっていることがわかる。

 とくに印象深いのは、レイとカイロ・レンのデス・スターでの決闘シーン。大波に襲われながら必死の形相でライトセーバーを交わす二人。CGと実写、虚実の境目が認識できない神話的なスケール感がすばらしく、まさに大画面が映える場面。Z740Xの精緻極まりない描写力に引き込まれ、思わず知らず画面ににじり寄っていく自分を発見する。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』より

 この作品もZ740Xの「映画プロ」モードで間然するところのない見事な画質が得られたが、ひとつだけ気になったのはスキントーン。デフォルトの6500Kではレイの肌色が少し緑がかる印象なのである。しかし、Z740XにはR/G/B個別のゲイン調整が可能。G(グリーン)のゲインを−10にまで落とすことで、レイの凛とした表情に好ましい色合いが加わり、この映画の人間ドラマとしての魅力がいっそ生々しく伝わってくる印象となった。

 最後に55Z740Xの音声面について触れておこう。本作はもちろんのこと『エピソード4』も新たにドルビーアトモスでリミックスされており、今回の取材ではStereoSound ONLINE視聴室のセンターレス6.1.6環境で興奮と郷愁を誘う立体的なサウンドデザインを楽しむことができた。

 それはそれとして、55Z740Xの内蔵スピーカーでの再生をチェックしてみたが、背面に配置されたサブウーファー効果が活かされ、出色のサウンドを聴かせた(音声モードは『ダイナミック』)。音量を上げていっても歪みっぽさが少なく、音が画面下から発せられる違和感もあまりない。

 この高画質にバランスさせるには、本格的なスピーカーを55Z740Xの両サイドに置きたいが、まずはともあれ安心して使えるサウンド・システムが内蔵されていることをお伝えして筆をおきたい。

© 2020 & TM Lucasfilm Ltd.

レグザとの組み合わせで4K UHDブルーレイを快適に楽しめる
東芝のレグザブルーレイ「DBR-UT309」にも注目を

 レグザブルーレイの「DBR-UT309」は昨年末に発売されたUHDブルーレイの再生機能を持ったHDD/BDレコーダーで、3TバイトのHDDを搭載しながら、市場想定価格は¥85,000前後を実現している。

 本機には4KレグザシリーズとHDMIでつないだ場合に、UT309側でテレビに最適な信号処理を加えたり、やUHDブルーレイに含まれる様々な映像情報を伝送して、最終的な画質を向上させる「レグザ4K高画質リンク」機能も搭載されている。

 今回は取材時間の都合で、編集部が55Z740XとUT309を組み合わせた映像を確認してみた。UHDブルーレイ『〜スカイウォーカーの夜明け』はグレイン感を気持ち抑えて、すっきりした映像として再現された。輪郭がきりっとして、コントラストの高い映像といったトーンになる。『エピソード4』は所々でフィルムの甘さが見える印象で、レグザの組み合わせは、最近のデジタル製作映画との相性がいいのかもしれない。(編集部)

その他の主な視聴システム

●UHDブルーレイプレーヤー:パイオニアUDP-LX800
●AVセンター:デノンAVC-X8500H
●スピーカーシステム:モニターオーディオPL300 II(フロント)、PLC350 II(センター)、PL200 II(サラウンド)、PL100 II(サラウンドバック)、イクリプスTD510MK2(トップフロント、トップリア)
●サブウーファー:イクリプスTD725SWMK2