オーディオやオーディオビジュアルの世界は日進月歩。次々に新しい技術やそれを搭載した新製品が登場し、入れ替わりも早い。だが同時にそれらは、常に時代の最先端を走っているモデル達でもあり、思い出に残る製品ともいえる。このシリーズでは、弊社出版物で紹介してきた名機や名作ソフトに関連した記事を振り返ってみたい。(編集部)

以下の記事は、HiVi2010年12月号に掲載されたものです

LGの新ブランド「インフィニア」。潜在能力を活かす使いこなしがカギ

 今年から日本のテレビ市場へと参入したLG電子は、言うまでもなく韓国を代 表する家電メーカーであり、現在ではパナソニック液晶ディスプレイと並んでIPS方式の液晶パネルを生産する重要な供給元である。そのLG電子が「INIFINIA」(インフィニア)のブランドを掲げて日本のテレビ市場に再参入してきた。

 主力製品はここで紹介する超薄型のLX9500シリーズである。240Hz駆動バックライトスキャンで動画性能を高め、バックライトの部分駆動によるコントラスト拡張にも対応。部分駆動の分割数は画面サイズによって異なるが、今回は216分割の47V型を視聴した。

 スリムベゼルにフラッシサーフィス。 洗練されたデザインを持つ本機のバックライトは日立のS-LEDにひじょうに近いものだ。小さなLEDエッジライト方式導光パネルを複数並べ、個々に明るさをコントロールすることで部分制御を行なっている。この方式は直下型に比べ、薄型化が可能な上、部分駆動機能を盛り込んで高コントラスト化を図れる。なお、視聴機は3D機能がまだ動作しておらず、2D画質のみの評価としている。

 LG自身が発表会で「廉売販売はしない」と言ったとおり、本機は明らかに高級 機として開発されている。エキスパート向けには驚くほど細かな設定メニューが用意され、色再現域設定だけでも3種類から選択でき、自動画質調整機能も備える。

 部屋の明るさを変えながらオートモードの絵を観たが、一貫して画面が暗い。センサーの感度と照明配光が合っていない可能性も調べたが適正にはならなかった。そのほかのプリセットモードは、コントラスト感、階調を重視するあまりレンジ感に欠けるものだったが、エキスパートモードにすると、驚くほど印象が変化した。

 エキスパートモードは、モニターライクな設定となっており、ユーザーが選べる項目がひじょうに多い。明度を調整し、動き補完や各種NR、輪郭補正はすべてオフに。その上で色域(色再現域)をワイドからBT・709またはEBUに設定すると、素直な絵柄を見る事ができた。

 これはS-LEDにも言えることだが、IPS液晶パネルが元々持つ安定した色再現や暗部階調、応答特性といった優位性に加え、最大の弱点であったコントラスト(特に黒側の浮き)が改善されたことで、 長所がより引き立ってきた。現時点では〝荒削“の印象が残るものの、製品としての素性は意外にも潜在力を感じる仕上がり。使いこなすことができれば、満足度の高い画質を得られるだろう。

液晶ディスプレイ
LG 47LX9500 オープン価格(実勢価格40万円前後)
●画面サイズ:47V型
●画素数:水平1920×垂直1080
●内蔵チューナー:地上/BS/110度CSデジタル×2
●接続端子:HDMI入力4系統、色差コンポーネント入力1系統(D5)、AV入力1系統、デジタル音声出力1系統(光)、USB2系統、LAN1系統、他
●備考:3DメガネAG-S100 1個同梱
●寸法/質量:W1086×H711×D255mm/26.7kg(スタンド含)