『スター・ウォーズ』のパッケージソフトを整理し直してみようという、ごく個人的な連載です。

 ちなみに今年のお正月に放送されていた所さんと志村さん(ご冥福をお祈りします)の特番で、「LD(レーザーディスク)」は、今の10代が聞いたことがない用語ナンバーワンに選ばれていました(なんと認知度0%)。

 他に「ダビング(認知度69%)」「MD(認知度14%)」「コンポ(認知度10%)」といった単語もランクインしていたけど、こちらは家族との会話で聞いたことがあるのだとか。つまり、彼らの親である40〜50代でもLDは身近な存在ではなかったということかもしれないですね。

1983年発売の『EP4』レーザーディスク

 でも世の中の片隅にはLDを熱愛していたグループはいるわけで、当然ぼくもその一人。今でも300〜400枚は残っています(一年ほど前にある方の放出品を引き取ったので、前より増えた!)。

 その中で一番多いのは、当然『スター・ウォーズ』関連。単品、ボックス、メイキングまで残っている。今回は1983年発売の『エピソード4』と、1997年発売の『《特別編》コレクターズ・セット』を引っ張り出してきた。

 1983年盤は定価が¥9,800という、今考えるととても高価な映画パッケージ。でも当時のLDは“高級品”という認識だったので、それでも手に入れたい憧れの存在だったわけ。ちなみにこの頃のLDにはまだリニアPCM音声は収録されていませんでした(音声はステレオ)。

 ということで、まずは1983年版LDを再生することに。わが家ではLDプレーヤーのパイオニアHLD-X0が現役で稼働中。というか、LDでしか発売されていないものをBDにバックアップできるよう、常時システムにつないである。

 ダビング用の接続なので、X0の出力(S映像+アナログ音声)をソニーのBDレコーダーBDZ-AX2000に入力し、AX2000の出力(D端子+アナログ音声)をプラズマテレビのパイオニアPDP-5000EXに入力しているのだけど、映像自体は悪くない。

 もちろん情報量は少ないし、黒も浮き気味で、はっきり言って絵のクォリティは低い。DVDはもちろん、地デジやブルーレイと比べるべくもないのは一目瞭然。でも幸いなことにLDの大敵といわれるメダカノイズも出ていないし、何より劇場公開時と同じ映像を見られる(4:3画角なので左右はカットされているけど)だけで感動ものかと。

 そんな気分的な後押し効果もあってか、今回も1983年のLDで約2時間を飽きることなく見直してしまった。ちなみに、字幕は画面右側に縦に表示される。「フォース」は「理力」と訳されているし、「ダース・ベイダー」は「ダース・ヴェイダー」になっているあたりも時代を感じて、嬉しい。

1997年に発売された『特別篇』のLDボックス

 続いて1997年発売の『《特別篇》コレクターズ・セット』から『EP4《特別篇》』をトレイに乗せてみた。こちらは特撮シーンなどを追加修正して劇場公開されたバージョンとしてファンの間で話題になったもの。3作そろって¥17,800とこちらも今考えれば高価だったけど、みんな買ったのです。映像はレターボックス収録で、リニアPCM音声とドルビーデジタル5.1chを収録する豪華仕様でした(しかもTHX認証)。

 さすがにドルビーデジタルのRF信号は再生できないので、リニアPCM2ch音声を聴くことに。映像は16:9のプラズマテレビに4:3&レターボックスで表示。

 《特別篇》は、ルーカスが当時の公開時に納得できなかった部分を当時のCG技術で修正しており、こちらで初めて劇場で『スター・ウォーズ』シリーズを観たという世代も多いかも。

『EP4』の修正箇所についての解説が書かれたシートも封入されている

 LDで改めて感動したのが、解説のていねいさ。『EP4』に封入されているシートには、チャプター解説とともに、そのシーンにどんな修正が加えられたのかが紹介されている。その数は『EP4』で34箇所あり、改めて読み直すだけでも楽しい。

 画質・音質も確実にクォリティアップしている。そもそもリニアPCM収録だからセリフが力強く、微細な効果音もしっかり出てくる。クライマックスのデス・スターでの攻防では、Xウィングの移動感もきちんと描き出されて、緊迫感も増している。

 2ch再生なので包囲感はそれほどではないが、非圧縮音源の厚みとでもいった心地よさがあった。ちなみにふと思いついてHLD-X0のデジタル出力をAVセンターにつないで確認してみたところ、44.1kHzで収録されていたことが確認できた。CDと同じフォーマットと思われるので44.1kHz/16ビットかと。

わが家ではLDプレーヤーの「HLD-X0」が現役で頑張ってくれています

 映像はレターボックス収録で、わが家の再生環境では1983年版より小さい面積に再現されることもあって(D端子でつないだためか、プラズマテレビのズーム機能がうまく働かない)、逆に緻密さはアップ。ベイダー卿のヘルメットの輝きやC-3PO、R2-D2のメタルの再現など、このサイズ(16:9換算で36インチくらい)なら充分でしょう。

 もちろん暗部の階調再現や色のにじみ、色のりといった部分ではアナログ収録の限界が見て取れるし、2Kや4K映像を見慣れた今となっては、50インチ以上に拡大するのはお薦めできない。その意味では適度な大きさの画面で懐かしく楽しむのが、このLDの正しい再生術といえるだろう。

 さて次回は、DVDの『EP4』はどうだったのかをチェック予定。お楽しみに。

(取材・文:泉 哲也)