LGのシネビーム4K HU70LSは、DLP方式を採用した4K&HDR表示対応のプロジェクターだ。独自の4ch LEDランプを光源に採用していることが大きな特徴。これは、RGBの三原色にダイナミックグリーンを加えた四原色で構成された光源で、明るさは1500ルーメン。そして、1.25倍のズームやフォーカス調整をリモコン操作で行なえるなど、使い勝手も優れたモデルだ。もうひとつの特徴として、同社の薄型テレビでも採用するwebOS4.5を採用。動画配信サービスへの対応やブラウザー機能、USBメモリーからの動画再生やスマホとの連携など、多彩な機能を備える。実売で20万円を切るモデルとしては、驚くほどの多機能だ。

 投写距離は100インチで最短が2.68m、視聴位置の近くに置くタイプの製品だが、ファンノイズは耳に付きにくかったのが好印象。キーストン補正は本体自体の傾きに合わせて自動で調整される。この点も便利だが、デジタル処理で調整精度もやや粗いので、きちんと水平に置いて補正が効かないようにする方が画質的には有利だ。光出力は昨近のモデルとしては控え目の1500ルーメンということで、画面の明るさを少々心配したが、4ch LED光源は明るさ不足を感じることもない。特筆したいのは、カラーブレイキングノイズがほとんど目に付かないこと。激しく動かして、ようやく目に付く程度だった。カラーホイールを使わない四原色LED方式のメリットだろう。長寿命であることも含め、なかなか優秀なシステムだ。

リビングでの視聴環境が◎
明るいシーンと相性がいい発色

 UHDブルーレイ『シャイニング』は、「映像」・「HDR映像モード」から『シネマダーク』を選んで視聴したが、最暗部は黒浮きもあってやや見づらい。コントラスト不足を補うために、「プロ設定」-「ダイナミックコントラスト」を『オフ』から『弱』とした。やや色が濃くなったので、「プロ設定」「色の濃さ」を『50』から『45』としている。このほか、「色温度」を『中〜暖色』。暗部の見通しはよくなったが、全体的に黒の締まりは依然として不足気味。そこで、全暗での環境ではなく、部屋をやや薄暗い程度の明るさとし、「H DR映像モード」も『シネマブライト』に切り替えた。すると、暗部の見通しもよくなり、階調性も良好に感じた。全体的に明るめの絵づくりで、一般的なリビングでの使用を前提とした画質設計のようだ。

 UHDブルーレイ『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』を観ると、解像感はややソフトに感じるが、発色はよく、思ったほど不満には感じない。独自のダイナミックトーンマッピング機能では、映像の輝度情報に合わせて最適な画面の明るさに調整してくれるので、同じカットで画面の明るさが大きく変化する場面でも映像が見づらくなるようなことはない。ハイテクビルでのアクションは、ディテイルや精細さもしっかりと描いている。スピーディーなアクションも切れ味のよさが感じられ、映像の迫力を満喫できた。

 次に、本体をLAN接続し、直接本機からネットフリックスを視聴してみた。4Kコンテンツのテレビドラマ『ロスト・イン・スペース』を観たが、ディテイルの再現性は良好。雪に覆われた惑星を歩く家族の姿を立体的に描くし、雪の質感もていねい。なかなか緻密感のある映像だ。暗いシーンはやや苦手だが、明るいシーンの多い作品では4Kのよさをしっかり味わえた。このほか、ドラマやアニメも観てみたが、全体に明るい映像のコンテンツとの相性がよく、アニメは発色のよさもあって魅力的な映像に感じられた。人気の高いアニメ作品『鬼滅の刃』を観ると、アニメらしい鮮やかな模様の服装や、多彩な色の髪を鮮明に再現。残像感も少なく、素早い剣撃の動きもスムーズだ。特にアニメはカラーブレイキングが目立ちやすいが、ほとんど気にならなかった。これはぜひ、アニメファンにおすすめしたい。

 設置の容易さやランプ交換が基本的に不要という点、多彩な動画配信サービスを楽しめる多機能性は、薄型テレビ的なカジュアルな使い方に向いていると言える製品だとわかる。プロジェクターにつきまとうマニア向けというイメージを払拭し、誰でも気軽に使える点を高く評価したい。

LG
HU70LS
オープン価格(実勢価格17万8,800円前後)

●光出力:1,500ルーメン
●ダイナミックコントラスト:15万:1
●レンズズーム:1.25倍
●接続端子:HDMI入力2系統、他
●寸法/質量:W314×H100×D210mm/3.2kg
●備考:HDR10対応、Wi-Fi/Bluetooth対応、スピーカー内蔵
●問合せ先:LGエレクトロニクス・ジャパン カスタマーセンター TEL. 0120-813-023

弱く照明を点灯させ、映像モードを『シネマブライト』でテレビ的な使い方を試した

色味のアジャストとして、今回は「プロ設定」・「色の濃さ」を『50』から『45』として視聴した

「映像」・「HDR映像モード」から『シネマダーク』で視聴。暗部描写の調整のため、「映像」・「プロ設定」の「ダイナミックコントラスト」を『オフ』から『弱』に設定

コンパクトかつスクエアなボディはひじょうに洗練されている。HDMI 2系統、USBタイプA×2、タイプCポートを備える。ネットワークは有線によるLAN接続、Wi-Fiの無線接続どちらにも対応


ポインターのようにプロジェクター操作ができ、フォーカスの調整も可能。またネットフリックスやアマゾンプライム・ビデオを起動するショートカットボタンもある

動画配信サービスを本体だけで楽しめる


本機をインターネットに接続すれば、webOS4.5経由でNetflixやAmazon Prime Video、U-NEXTなど主要な動画配信サービスと連携できる。各サービスにログインし、スクリーン上でリモコンを操作すれば、PCやタブレットを使用することなく視聴できるのがたいへん便利だ

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