SACD/CD Player
メトロノームAQWO ¥2,000,000・税別
●アナログ出力:2系統(RCAアンバランス:1.4V/2.5V/3.0V、XLRバランス:2.8V/5.0V/6.0V)●デジタル出力:SACD/CD1系統(I²S HDMI)、CD3系統(AES/EBU:XLR、S/PDIF:RCA同軸、TOS光)●デジタル入力:7系統(S/PDIF:RCA同軸×2、AES/EBU:XLR×2、TOS光×2、USB-B)●USB入力対応サンプリング周波数/ビット数:PCM・~384kHz/32bit、DSD・~22.4MHz●寸法/重量:W425×H130×D415mm/15kg●備考:写真のシルバー仕上げの他にブラック仕上げあり。オプションで真空管式出力ボード(双3極管6922を2本使用、取付費込¥230,000)あり

メトロノーム・テクノロジー社からは初めてとなるSACD対応のCDプレーヤー

 メトロノーム・テクノロジー社は、カリスタ(Kalista)とメトロノーム(Metronome)のダブルブランドを展開しているフランスの高級オーディオメーカーだ。このAQWOはメトロノーム・ブランドに属する新製品。同社の歴史で初めてとなるSACD対応のCDプレーヤーである。

 SACD再生に対応するドライブメカニズムは、現状でD&Mの国産品が唯一の存在といわれている。本機はそれをトップローディング仕様となるよう独自にカスタマイズ。トップカバーのスライドとディスクスタビライザーの装着を手動で行なう、きわめてシンプルなプレイスタイルである。ディスクがハイブリッドの場合にはSACD層だけの再生となり、CD層を選ぶことはできないようだ。

 同社は電源部の重視と細分化した電源レギュレーターの装備を設計上の特徴としている。本機が搭載するDAC素子は、旭化成エレクトロニクスのAK4497が2基。ステレオ構成で電圧出力タイプの最高級グレードであり、それを左右チャンネルに配置してセパレーションを追求している。出力回路には同社専用品という仏SCRオーディオ製の大きな角形コンデンサーが投入されている。SACD/CD再生の他にUSB(B端子)を含む豊富なデジタル入出力も、AQWOの特徴。個人的にはHDMI端子を使ったSACDのI²S出力に興味を抱いている。

 正面の大型液晶パネルはタッチスクリーンで、ほとんどの操作が可能だ。特筆すべきは設定画面で、これは上部のMETRONOME文字列を長押しすると現れる。3レベルの出力電圧が選べるし、DAC素子が内蔵するデジタルフィルター特性が6種類も用意されているのは親切。表示色も18通りが選べる。デジタル入力の使用/不使用も設定可能だ。

↑トップローディング方式で搭載されたドライブメカニズムはD&M製を独自にカスタマイズしたもの。専用のスタビライザーと組み合わせて使用する。

↑正面の液晶パネルのブランド名を長押しすると写真の各種設定画面が表示され、デジタル入力、出力電圧、デジタルフィルター、表示カラーが設定できる。

非常に肌理の細かい丁寧な音を聴かせるプレーヤー

 試聴室ではエアータイトのATC5プリアンプとATM3パワーアンプと接続して聴いている。最初に山中敬三氏が選曲したDGGのベストレコーディングCD(ステレオサウンド)から「アルジェのイタリア女」を聴き、男女の声色の潤いとステージの気配感からデジタルフィルターはスーパー・スロー・ロールオフに設定した。非常に肌理の細かい丁寧な音を聴かせるプレーヤーで、DAC素子の選択と使いこなしの旨さを感じずにはいられない。ベース奏者クリスチャン・マクブライドのデビュー作「ファースト・ベース」はビッグバンド編成に近い人数のブラス楽器の音色やドラムスの打音が大雑把に描かれることなく、グルーヴ感と音の分解能を両立した視覚的な音で楽しませる。わずかにエッジの立った音にしたければ、フィルターをシャープ・ロールオフに設定するといいだろう。

 SACDは今井美樹「ダイアローグ」と米国ブルー・コースト・レコーズのオムニバス盤から聴いているが、CDよりも明らかに懐の深い音の表情が感じ取れた。微小領域まで音情報が潜んでいるのがよくわかるクオリティの高い音なのだ。USB接続によるハイレゾ音源の再生も大いに期待できそうだ。

↑リアビュー。デジタル入力は1系統のUSB-B、2系統のRCA同軸、AES/EBU、TOS光の計7系統を、デジタル出力はSACD/CD出力のI²SHDMI端子とCD出力のRCA同軸、AES/EBU、TOS光を装備。

←10キーを装備した付属リモコン。

↑リモコンで操作する三浦氏。

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