Ginza Sony Parkでは、1月22日(水)から実験的プログラム第13弾として「#013 QUEEN IN THE PARK~クイーンと遊ぼう~」を開催する。

 本イベントは、その名の通りロックバンドの「QUEEN」をフィーチャーしたもの。彼らの音楽を“聴く”だけでなく、観たり、触れたり、曲の世界に入り込んだりと様々な“体感”ができるようなアクティビティとして企画されている。

 本日開催されたマスコミ向け説明会では、ソニー企業(株)代表取締役社長兼チーフブランディングオフィサー/Ginza Sony Parkプロジェクト主宰 永野大輔氏が登壇し、今回のイベントについて紹介してくれた。

 永野氏によると、「#013 QUEEN IN THE PARK~」は、昨年4月から10ヵ月かけて準備されたという。Ginza Sony Parkではこれまで12回の同様なイベントを開催しているが、通常の準備期間はこの半分くらいだそうだ。今回はソニーがQUEENに関する知的財産を持っていたことを活かし、さらに関係各位の協力もあって実現できたとのことで、そのために時間がかかったのだろう。

ソニー企業(株)代表取締役社長兼チーフブランディングオフィサー/Ginza Sony Parkプロジェクト主宰 永野大輔氏

 その展示は、入り口からQUEENへの思いが満載だ。まず注目は、Ginza Sony Parkに入る階段の「WE WILL ROCK YOU〜Melody Step」。これは、その昔ここにあったソニービルに設けられていたメロディ・ステップをQUEENの楽曲で再現したもの。

 地上から一段ずつおりていくと、有名な「WE WILL ROCK YOU」のイントロが演奏され、最下段までいくと曲がスタートする仕組みだ。これは階段脇に設けられたセンサーの光を遮ることで音が鳴るもので、ステップ前方の黄色いマークを踏むとセンサーのミスは少ないようだ。

 実際にやってみると、思わずリズムを取りながら階段を降りたくなるのは間違いないので、銀座にお出かけの際はぜひ試していただきたい。なお、その階段の右手にはフレディを模したオブジェも置かれている。

「WE WILL ROCK YOU」を奏でる階段。写真の黄色いステップを踏むこと

 階段を降りたB1には、StereoSound ONLINE読者必見の展示がある。「RADIO GAGA〜Radio Installation」というもので、合計70台の歴代ソニー製ラジオが並べられているのだ。しかもそのラジオから「RADIO GAGA」が再生されている。

 これはビル内で電波を送り出し、実際に受信した音とのこと。そのために各製品はきちんと動作するようにメイテナンスされているそうだ。ちなみに使われているラジオは、オークションなどを活用して集めたものという。参考までに、展示品で一番古い製品は1961年に発売された「TR720」だ。それをきちんと完動品にリペアしているあたり、さすがソニー。

ずらりと並んだ歴代のソニー製ラジオ。写真左はもっとも古い1961年発売の「TR720」

 さらに階段を降りたB2の「BOHEMIAN RHAPSODY〜Sound VR」は、必ず体験して欲しい展示だ。これはソニーがB to Bなどのイベント向けに開発したSonic Surf VR(ソニックサーフVR)技術を使った展示で、「BOHEMIAN RHAPSODY」のイマーシブサウンドが体験できる。

 体験スペースは9m×4.5mほどの広さで、前方と後方にそれぞれ24基、合計48基の専用スピーカーが取り付けられている(他に前後各2基のサブウーファーあり)。このスピーカーには8つのユニット(1インチほど)が内蔵されており、全384ユニットで楽曲を再生している。

 今回は「BOHEMIAN RHAPSODY」のマルチトラック音源を使い、Sonic Surf VRの処理を加えることで立体感、移動感のある音をデザインしたそうだ。このオーサリングツールは、オペレーターが音を定位させたい位置を指示すると、どのスピーカーをどれくらいの音量で鳴らしたらいいかを自動的に設定してくれる優れものという。

 ここで聴かせてもらった「BOHEMIAN RHAPSODY」は、フレディー・マーキュリーの声が前方にふわっと定位し、ロジャー・テイラーたちのコーラス(あの“ガリレオ〜”)が右から左に通り抜けていく。永野氏は「BOHEMIAN RHAPSODY〜Sound VR」について、「音に触りたくなる、かつてない再現を楽しんで下さい」と説明していたが、確かにこんな演出は今まで聴いたことがなかった。QUEENファンならずとも、必聴だ。

「BOHEMIAN RHAPSODY〜Sound VR」の体験スペース。上の写真のように、前後の壁面に合計48基のスピーカーが取り付けられており、これらを使ってイマーシブサウンドを再生している。専用の横長スピーカーには8つのユニットが内蔵されている

B2には「BOHEMIAN RHAPSODY〜Video Parody」と名付けられたブースも準備されている。ここでは自分の顔をメンバーに合成したミュージッククリップを作成し、スマホに保存ができる

 続いてB3にある「ANOTHER ONE BITES THE DUST〜Fragment Shadow」もユニークな展示だった。正面のスクリーンにプロジェクターからの映像が投写されているが、その前に立って影を作ると、影の中にQUEENのライブ映像や文字が映し出されるのだ。

 プロジェクターからの光は遮られているのになぜ? と思うが、実はこの映像は4台のプロジェクターを使って実現されている。具体的には、人物の位置などを検出して4台のプロジェクターの映像をどう組み合わせるかを瞬時に切り替えている模様だ。動きへの追従性も安定しており、スクリーンの前で思わず手を広げて動きたくなる、そんな面白い提案でもあった。

「ANOTHER ONE BITES THE DUST〜Fragment Shadow」では、自分の影の中にも映像が映るという不思議な体験ができる。その映像は4台のプロジェクターで実現しているとのこと

イベントを体験し、どうしても歌いたくなった人のためにカラオケボックスも用意されている。ただしこちらは「WE ARE THE CHAMPIONS」専用

 一番下のB4には、「JEWELS〜“Donation Juke Box」が置かれている。このジュークボックスにはQUEENの楽曲が16曲搭載され、左上にある募金口にお金を入れれば、その中から好きな曲が選べるようになっている。ちなみにジュークボックス下部には1976年に発売されたソニーの3ウェイスピーカー「SS-G7」が内蔵されており、音楽はこれで聴けるわけだ。

 なおここで集められた寄付金はフレディーを追悼して設立されたマーユリー・フェニックス・トラスト(MPT)の活動にあてられるそうだ。(取材・文:泉 哲也)

B4の「JEWELS〜“Donation Juke Box」

期間中は、パークの人気者のAIBOもフレディー仕様に

「#13 QUEEN IN THE PARK〜クイーンと遊ぼう〜」開催概要
●開催期間:2020年1月22日(水)〜3月15日(日)
●開催時間:10:00〜20:00
※入場無料