3Dが流行っていた頃、3Dの理想は裸眼方式だといわれたが、私は到底、信じられなかった。だって、もの凄く画質が悪いし、ある一定の方向でしか3Dに見えないし、とにかく不快であった。しかるにソニーがCESで発表した「視線認識型ライトフィールドディスプレイ」は凄い立体空間だ。

 裸眼だが、解像感が高く、しかも見る位置が一定でなくとも、上からでも、斜め横上から様々な角度から見ても、まるでそこに本物の立体物があるような、見え方だ。CGに人物のテクスチャーを貼り付けたダンスの男女二人が踊っている姿が、実に自然なのだ。まるでリアルな小人が踊っているよう。レイトラッキング(光の当たる方向に応じて影をリアルに描画)が効いている。

 技術的には、①高速アイセンシング技術、②高速センシングで分かった目の位置に向けて高速レンダリング、③左右の目用の像に分割する技術……の賜物だ。

 常に視線をセンシングし、その三次元座標データを元に、現在の目の位置で最適な立体映像として見えるような3D映像に高速レンダリング。これまでの裸眼立体ディスプレイは、視野角が広いので、光情報が四方八方に拡がり、1視点分の映像では格段に解像度が落ちてしまう。それならば、光を目の一点に集めれば、よい。ディスプレイは普通の液晶で、その上に左右の目に分ける分割フィルターを貼った、シンプルな構造だ。

 ソニーではすでに研究段階を終え、製品化に向けた開発段階に入った。テレビのブラビア部隊に移管されたのだ。まずはB to Bからスタートするが、テレビ応用も当然、考えている。そこで、「視線認識型ライトフィールドディスプレイ」の特徴を活かしたドラマ、映画も検討されているという。完成したら、ぜひ見たいものだ。70インチのライトフィールドブラビアに期待。

「視線認識型ライトフィールドディスプレイ」のブース

17インチ液晶の映像は、どこから見ても立体

この写真でも立体ぽく見えるが、本物はもの凄く立体感がある

もの凄く自然な立体

リアルタイムレンダリングする超高速PC