ものみなイマーシブサラウンドに行く時代。ついにヘッドホン・テクノロジーの最先端を走る、JVCケンウッドの頭外定位音場処理技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」が、2chバージョンから、イマーシブサラウンドバージョンに進んだ。

 個人特有の頭部伝達関数(HRTF)を実際に計ることによって、リスニングルームで眼前にスピーカーを聴いているような体験を得るというのが、そもそものEXOFIELDのコンセプトだ。新しく欧米で発表されたEXOFIELDは、ワイヤレスシアターシステム「XP-EXT1」。2chがイマーシブサラウンドになっただけでなく、頭部伝達関数の採取方法が革命的に簡略化された。

 まず再生チャンネルは7.1.4だ。開発過程では、2chの次は普通の7.1サラウンドに進もうということだったが、企画担当から、ぜひ天井スピーカーも欲しいと技術側にリクエストして、なんとか叶えてもらったという。

 というわけで、バーチャルに拡がるチャンネルは7.1.4を採用。問題は、このイマーシブサラウンド空間に対応する個人の頭部伝達関数をいかに得るか、だ。

 初代の時は、東京・青山のビクタースタジオにて、顧客の耳にマイクを入れ、前方2つのスピーカーから測定信号の音を発す。その音がどのように顔や耳を伝って鼓膜に入るかをマイクで測定し、個人の頭部伝達関数を得る……というたいへんていねいで面倒な測定をサービスとして売っていた。しかし、これでは購入する人が、限られる。

 そこで、ユーザーが自身で自分の頭部伝達関数が測れる仕組みを開発したことが、商品化プロセスとしてはたいへん重要だ。ヘッドホンの中にマイクを仕込み、スピーカーなしで、ヘッドホンから測定音を発して伝達関数を得るのである。

 でも、スピーカーからの頭部伝達関数を測定しなくてもいいの? その代わりにヘッドホンから伝達関数に含まれる個人特性を基に、データベースからその人にもっとも近い頭部伝達関数の値を生成するという仕組みを作った。何百人の7.1.4でのスピーカーからの頭部伝達関数データを採取し、データベース化したものだ。近似のデータを引っ張ってくるのだが、複雑な処理をして、最適データを見つけるという手法を開発したのである。

 私の耳をキャリブレートしてから、EXOFIELD効果のON/OFFでDolby Atmosのコンテンツをいくつか試聴したが、垂直方向、後部、側部の音場が見事に再生されたのには感心。そもそも音の明瞭度が格段に上がる。音像が屹立する効用はたいへん大きい。日本での発売も大いに期待される。

EXOFIELD対応のヘッドホンとアンプ

デモンストレーションディスクを試聴

これまでの2ch対応から、イマーシブサラウンド対応になり半円球の音場が楽しめる

JVCケンウッドブースにもうけられた、EXOFIELD THATERコーナー