これぞ未来のデジタル・ピアノだ。

 LGエレクトロニクスの隣のローランドブースに、コンサート・グランドピアノ型のコンセプトモデル「GPX-F1 Facet」があった。横長のグランドピアノだが、伝統の上に乗った大胆な形が凄い。まるで、多面体で構成されたクリスタルのようにキラキラ光る、宇宙船かSFに出てくるスポーツカーだ。

 2015年に開催されたピアノデザインの“Roland Digital Piano Design Awards”で大賞を受賞した韓国のジョン・チャン・キム氏による「Facet Grand Piano(ファセット・グランドピアノ)」のデザインを具現化したコンセプトモデル。「Facet」とは「宝石の小平面」の意味。

 スピーカーは下部のベースユニットと各部に小さなユニットが合計10個搭載されている。「各スピーカーから放射される音の成分を空間で合成させ、理想的なフル・コンサート・グランドピアノの響きと音場の実現に挑戦した」としている。

 OSにはアンドロイドを採用。譜面台に大型のディスプレイを装備。デジタル譜面の表示やYouTubeのビデオ・レッスン、アレクサなどのクラウド音声サービスとの連携など、現代風だ。

 企画担当者は、「通常の製品企画では、日程やコストなどさまざまな制約があるのですが、今回はそれらを取り払って、徹底的にこだわりました。やりたいことをすべてやり切りました。特にモデリング音源をこのモデルのためだけに再設計したことは大きかったです」と言った。

 市販の予定はなく、あくまでも今後の開発のための試作という。もし市販するなら相当な高額になるのは確実だが、このかっこよさだから、“デジタル・ピアノのスタインウエイ”として、世界のセレブから購入希望が殺到するのではないか。

コンサート・グランドピアノ型のコンセプトモデル『GPX-F1 Facet』。空気を切り裂く鋭角エッジ

ディテイルまでていねいに鋭角造形

スマートスピーカーとの連動も

楽譜表示はタブレットで

ソフトで作曲も

本体を反対側から撮影