「NHK 8KTHEATER」で上映された日本映画放送、8K時代劇『帰郷』(仲代達矢主演)。自然と人々の共存、人間の死生観をテーマにした股旅ものだ。自らメガホンを執った日本映画放送社長の杉田成道氏は8Kをどう使ったか。

 「スタンリー・キュープリック監督の名作『バリー・リンドン』は、ローソク1本で撮った映画です。ローソクの暗い光を撮るためにNASAが開発した1本数億円のF0.7の超高感度レンズを買い込み、見事なローソク映像を撮りました。そのひそみにならいローソクの光を再現したかったから、8Kを選びました。8Kは柔らかく、包み込むローソクの光を見事に活写できました」

 「8Kのもうひとつのメリットは、自然と人物が高精細で共存することです。自然をバックグラウンドにして人物が見事なフォーカスで描かれる。自然はとても大事なエッセンスです。気をつけたことは、美しくなりすぎないこと。汚れやリアリズムもそのまま切り取るようにしました」(杉田氏)

(写真撮影・麻倉怜士)

日本映画放送が製作した8K時代劇『帰郷』

8Kのメリットは自然と人物が高精細で共存すること

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