昨今、中国の液晶テレビメーカーは、有機ELに対抗し、コストの安い液晶でいかに高画質が獲得できるかに、力を入れている。ハイセンスの液晶2枚重ねディスプレイ「ULED XD」はその一例だ。「デュアルセル」と名付けられたこの新方式は4K液晶パネルとバックライトの間にフルHD液晶パネルを挟むというもの。ベースのフルHDパネルが画素単位で白黒信号を表示する。

 考え方としては、LEDバックライトによるローカルディミンングの延長だ。バックライトでは分割ブロック数を無限に増やすことは無理だが、ULED XDでは、ベースパネルの200万画素ひとつひとつの単位で明るさをコントロールできる。小さな面積単位で、暗い場面では発光を抑え、明るいところでは発光を強めることで、ダイナミックレンジを拡大するのだ。実を言うと液晶パネルの2枚重ねの歴史は長い。2枚重ねの嚆矢は2005年秋にシャープがCEATECで技術発表した、その名も「メガコントラスト」。暗所コントラストを当時としては驚異の100万対1まで上げた。

 今回の「ULED XD」は実際には直下型バックライトでのローカルディミンングも行なっているので、①LEDバックライトでローカルディミンング、②下部のグレースケール・フルHD液晶、②表面のフルカラー4K液晶---が、合わせ技でダイナミックレンジを稼ぐ。

 その画質だが、CESではいまひとつであった。白は確かに伸びているものの、黒はやや浮き気味だ。1枚目はフルHD画素であり、表面の4Kパネルより画素サイズが大きいので、ハロー現象のような光拡散が発生しやすい。今回のIFAはCESの時よりかなりかなり改良されていた。8Kデュアルセルもブースに展示されている。

 パナソニックも「デュアルセル」と同じ方式の「MegaCon」ディスプレイを発表した。バックライト+モノクロのパネル+4Kパネルの三重構造にて、ネイティブ・コントラストは100万:1(だからMegaConという)、ピークと平均の最大輝度はどちらも1,000nits。色域はDCI-P3比99%。技術は出尽くしたと思われる液晶にて新画質技術の提案に、大いに評価したい。

ハイセンスブースでは左のノーマル液晶と右の「ULED XD」液晶テレビを比較

ハイセンスは8Kも「デュアルセル」液晶で

中国TCLの「デュアルセル」液晶ディスプレイ