新人監督とアーティストがコラボする音楽・映画プロジェクトMOOSIC LAB2018で、女優賞(南沙良)とベストミュージシャン賞(西山小雨)を受賞した「無限ファンデーション」が、いよいよ8月24日より上映される。全編即興劇で構成された意欲作である。

 主演を務めたのは、昨年「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で映画初主演を飾り、映画界の各賞を受賞した南沙良だ。ここでは、その南に本作の出演(主演:未来 役)の感想を聞いた。

――出演おめでとうございます。まずは即興劇と聞いた時の感想は?
 ありがとうございます。そうですね、即興でお芝居をして、それで映画を作るというのは、いったいどうやるんだろうっていう疑問が、まず浮かびましたね。ただ、実際に撮影に入る前には、数回リハーサルがあって、そこでおおまかですけど、全体の流れを教えていただいて、それを受けて自分たちで(役やセリフを)作っていくという感じでした。

――シーンシーンの細かいセリフも?
 はい。けど、監督からは自由にやってくださいと言われていたので、みんな自由というか、自分の中から出てきた言葉を相手にそのままぶつける、ということが多かったです。

――そういう言葉って、すぐに出てくるものですか?
 相手があってのことなので、相手から言われたことをきちんと自分の中で理解して、その時自分が感じている、思っている感情に一番近い言葉は何だろうって考えて、自分の中から出てきた言葉を使いました。ただ、それが分からない時もあって……。もどかしい思いもしました。

――では、役づくりはどんな感じで進めていったのでしょう?
 現場に入れば自然に作られていくものなのかなって思ったので、事前の準備よりも、現場での集中力を高めるようにしました。

――役としては、昨年主演された「志乃ちゃんは~」の志乃ちゃんに近い感じもありますね。
 そうですね。志乃ちゃんと重なる部分もあったので、そういうところを大事にしつつ、きちんと未来ちゃんを演じられるように、切り替えてお芝居したいなと思って臨みました。

――先に聞きますが、お母さん役の片岡さんとのシーンは、仲良し親娘っていう雰囲気でした。
 ほんとうに楽しかったです。テンポが独特で一瞬どう返そうか……ということもありましたけど、お互いに楽しみながらできたと思います。

――ところで、神社にお参りしたあとに、「住所を言うんだよ」というセリフがありますが、それはどこからでてきたのでしょう?
 私、本当に住所を言うものだと思っていたんです。合ってますよね?

――はい。そのほかにも、三つほど気になったセリフがありました。ネタバレにならないように伺います。まずは、ハラナノカ役の原さんと喧嘩した後の「どうして置いていくの」について教えてください。
 それまで未来には、友達ができたことがなかったと思うんです。ようやくできた友達、それも一般的な距離感とはまた違う、女の子(未来)ならではの独特なものが出来上がっていて、ずっと一緒だし、何をするのも一緒という気持ちがある中で、喧嘩してしまったことで、出てきた言葉だと思っています。

――次は小雨とのシーンでの、「最後まで踏み込めないで、逃げちゃう」は?
 それもすごく自分と重なる部分があって。私も嫌なことがあると、逃げてしまうことがあるので、未来の置かれた立場にすごく共感できて、(セリフとしては)すぐに出てきました。

――最後は、「自己満足じゃだめなんだよ」というのは?
 私自身もそうなんですけど、自分の中で終わっていることが結構多いんです。おそらく、他の世界を見たら、自分がすごくちっぽけな存在であることに気づいてしまうから、だから一歩を踏み出せない、別の世界に行けないのかなと思って。

――いま、南さんが覗いてみたい世界は?
 お芝居はもちろんですけど、物を作ることが好きなので、未来と同じように服を作ったり、絵を描いたり、そういう世界を見てみたい(踏み込んで)みたいです。

――ところで、本作では音楽ももう一つの主役です。西山小雨さんはいかがでしたか?
 この映画がきっかけで小雨さんの歌が大好きになって、ライブにも行かせてもらいました。何度聞いても感動するし、不思議なハッピーオーラみたいなものが曲から溢れているんです。皆さんにもぜひ、ライブを体験してほしいです。

――さて、そんな本作がいよいよ公開となります。最後にメッセージをお願いします。
 出演者のみなさんが、本当に自由に役を演じられていて、一つの作品としてすごく面白い仕上がりになっています。そんな変に自由なところを(笑)、皆さんに観ていただきたいなって思います。よろしくお願いします。

映画「無限ファンデーション」
8月24日(土)より、新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開

<キャスト>
南沙良
西山小雨 原菜乃華 小野花梨 近藤笑菜 日高七海 池田朱那 佐藤蓮 嶺豪一 片岡礼子

<スタッフ>
監督:大崎章
音楽・主題歌:西山小雨
スチール:枝優花
宣伝・配給:SPOTTED PRODUTIONS
(C)2018「無限ファンデーション」製作委員会