昨年10月の日本発売以来、SONOSブランドのスピーカーが話題になっている。SONOSはアメリカ・サンタバーバラ生まれのスピーカーブランドで、WiFi伝送を活用して音にも留意したワイヤレススピーカーシステムや、サウンドバーを発売している。

 その主なラインナップは以下の通り。この他に、2ch用やサラウンド用として様々な組み合わせでの販売も準備される。

●スマートスピーカー:ONE¥23,800、PLAY:5¥58,800
●サウンドバー:BEAM¥46,800、PLAYBAR¥81,800、PLAYBASE¥81,800
●アンプ:Amp¥70,800、CONNECT¥40,800
●サブウーファー:SUB¥81,800

「SONOS ONE」はブラックとホワイトの2色がラインナップされている

 今回はこの中で一番コンパクトなSONOS ONEを借用できたので、使い勝手やサウンドパフォーマンスを体験してみた。

 SONOS ONEは、W119.7×H161.45×D119.7mm、重さ1.85kgの、角がラウンドした四角柱状のモノーラルスピーカーだ。ユニットはトゥイーターとウーファーの2ウェイシステム(ユニット径等は公表されていない)を搭載。

 再生は無線LAN(有線にも対応)経由で行なう仕組で、ソースは各種ストリーミングサービスやスマホからの音源を使用する。その操作は専用アプリから可能で、iOS用とアンドロイド用が準備されている。

SONOS ONEの分解図。2ウェイスピーカーシステムで、2台をペアリングするとステレオ再生も可能になる仕組だ

 アプリには音楽配信サービスの再生機能がプリインストールされており、説明によるとその数は50以上。日本国内で使えそうなものとしては「Apple Music」「Amazon Music」「Spotify」「tunein」「Google Play Music」あたりだろうか。

 さてSONOS ONEを使うには、最初に無線を含めた設定が必要になる(アナログ入力端子は搭載していない)。とはいえ、「SONOSアプリ」をスマホにダウンロードし、「新しいシステムの設定」からメニューの指示に従っていけば比較的簡単に完了する。

 その設定でユニークなのは、「Trueplay」というルームチューニング機能だろう(iOS用)。メニューでは、「どこにスピーカーを置こうとも素晴らしい音が出るように、Trueplayでスピーカーをカスタム調整します」と説明されている。どうやら部屋のあちこちで再生音を拾って調整する方式のようで、測定時にはスマホをマイク代わりにして部屋の中をゆっくり歩き回るように指示されていた。

接続端子は電源(本体底面にあり)とLAN端子のみ。LAN端子は無線接続が不安定な場合のためとか

 その後に使用する音楽配信サービスを選ぶわけだが、今回はAmazon Musicをチョイス。これで配信の楽曲を楽しめるようになった。曲の選択はSONOSアプリの画面で選ぶだけなのでとても簡単。

 もうひとつ、SONOS ONEはAirPlay2機能も備えており、iPhoneに保存した楽曲をダイレクトに転送して再生できる。こちらもiPhoneの再生時に出力先として選ぶだけという簡便さだ。

 使い方に慣れてしまえば様々なストリーミングサービスやAirplay2をランダムに再生できるわけで、こういったボーダレスな操作性はSONOSアプリならではといえそうだ。

 さて今回は、SONOS ONEをリビングにある木製ラックに乗せて使ってみた(棚板の厚さは1.5cmほどで、比較的頑丈なもの)。高さは床から約40cm、ソファに座ると本体を軽く見下ろすくらいの高さになる。聴取距離は約1.3m。

写真左は最初の設定時のもの。SONOS ONEを使う環境(部屋)を選ぶことろからスタートする。右はルームチューン機能である「Trueplay」のスタート画面

 なおSONOS ONEを直接棚板に乗せた場合と、やや厚みのある布を敷いた場合で、低音にわずかながら違いがあった。当然ながら、布を敷くと低音感が抑えられ、大人しい印象になる。再生する楽曲次第かもしれないが、個人的には力のあるサウンドが聴きたかったので、今回はSONOS ONEを直接棚板に乗せている(棚板中央よりやや視聴位置側。後ろの壁との距離は20cm弱)。

 まずはAmazon Musicのお薦めからクィーンやイーグルスをランダムに再生してみたが、どれも低域が力強く、ヴォーカルにも厚みがある。定番の「We will Rock You」では足踏みのリズムがずしりと響いてくるし、「Hotel California」でもイントロのギターの響きが綺麗に出て、その後のドラムも小気味いい。

 次にAirplay2を使い、iPhoneにアップルロスレスで保存したエリカ・バドゥの『Baduizm』を呼び出してみた。1曲目の「Rimshot(Intro)」にはとてつもない低音が含まれているけれど、そこはすっきり整理される印象。試しにボリュウムを上げてみたけど、音は大きいけどぼわんとした緩い低音に感じたので元に戻している。

聴きたい音声ストリーミングもメニューから選択する(左)。右はAmazon Musicでクィーンの楽曲を選んだところ

 そこから数日間、自宅で片付けをしたり、原稿を書いたりする合間にリビングの友としてSONOS ONEを活用してみたが、ロック、ジャズ、J-Popなど、どのジャンルをかけても心地いいサウンドが楽しめた。ユニット構成がモノーラルなので広がり感はやや寂しいが、BGM的に使うことが多いスマートスピーカーとしてはまったく不満はない。

 もちろんフロア型スピーカー等と比べるとバランス的には低音強調気味で、ピアノや女性ヴォーカルの高域の伸びがもう少し欲しいと感じる部分もないわけではない。しかしSONOS ONEの価格とスペックを考えると、それは欲張りというものだろう。

 最後にSONOS ONEの取材を終えて、これまで使っていたEcho Dot(第3世代)に戻したら、音の量感、楽器の情報量ががくんと減って、リビングの音が物足りなくなってしまった。SONOS ONEはAlexaにも対応済みで、音声コントロールも可能。その意味でもとても魅惑的な製品だ。(取材・文:泉哲也)

イーグルスの楽曲もAmazon Musicで楽しめる(左)。iPhoneに保存した曲はAirplay2で再生した