モレルというブランドは、AVファンには馴染みは薄いかも知れないが、カーオーディオ分野ではよく知られる、イスラエルのメーカーである。本国のホームページを調べると、ホームオーディオやAV用としても独特な造形の大型から今回紹介の小さな球体型、さらには壁掛けや天井埋め込み型まで多彩なラインナップを誇る、スピーカー専業メーカーとわかる。現在、日本市場への本格的活動を目指し着々準備中といったもようで、まだ日本語の詳細資料は入手できていない。
本機SoundSpot SP3はほぼ球体のミニスピーカーで、100mm径ウーファーと19mm径ソフトドームトゥイーターによる同軸2ウェイユニットを積む。エンクロージャーはユニット周辺の一部にスリットを設けたバスレフ方式。リビングやデスクトップなどで楽しみたい小型性と意匠性がチャームポイント。光沢のピアノホワイトとピアノブラック2種の仕上げを用意する。
ディスクプレーヤーにパイオニアUDP-LX800、AVセンターにデノンAVC-X8500Hの豪華コンビでNHK『SONGS/井上陽水』の録画BD-Rを視聴すれば、まずは低音域の不足感は否めないものの質感に富む鮮度感が好印象。「澄んでいる」感を抱きながら陽水の歌声も絶好調のトークも瑞々しく聴いた。何よりも“陽水リバーブ”と名付けたい、深く長めのリバーブが鮮やかだ。
次は、小口径では無理と分かってのドイツの名門はMPSの68年録音のビッグバンドジャズを試聴。怒涛のキックやウッドベースの低域は諦めざるを得ないが、ブラスと木管の3つのセクションのアンサンブルはスムースレスポンスの鮮明描写。だがやはり、迫力不足は惜しい。そこで、イクリプスのサブウーファーTD520SWを左右のど真ん中に置き、80㎐クロスのベースマネージメント(いわゆる2.1ch構成)にて同曲に再挑戦。当然、これで低域のエクステンションと迫力を獲得。かつパワー的な余裕も得て、いわずもがなの好結果である。
「これなら映画も楽しめるに違いない」と、SP3をもう2本足した4.1ch構成でUHDブルーレイ『アリー/スター誕生』のチャプター5~7を観る。重低音域の使い方が途方もなく素晴らしいこの映画は、言い換えれば小型スピーカーには過酷だ。しかし100mm径スピーカーがかなり大型化したようなマネージメント効果によって、本映画の魅力は充分に堪能できる。しかも本機持ち前の瑞々しい中高域によって、響きのない近接の会話シーンから一気に音場が広がる巨大なスタジアム場面への転換等々、激変のサラウンドミックスが明白。AV本格入門への期待も高い、キュートな一品である。
SPEAKER SYSTEM
morel SoundSpot SP-3
¥158,000(ペア)+税
●型式:2ウェイ1スピーカー・バスレフ型 ●使用ユニット:19mmドーム型トゥイーター+100mmコーン型ウーファー同軸 ●クロスオーバー周波数:2.2kHz ●インピーダンス:6Ω ●出力音圧レベル:89dB/2.83V/m ●寸法/質量:φ160mm/1.7kg ●備考:専用フロアスタンドは別売(写真右、価格未定)
●問合せ先:ジャンライン&パートナーズ TEL. 03(3223)4300
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