BATMAN - 4K UHD BLU-RAY with DOLBY ATMOS
Dark, haunting and poetic, Tim Burton's BATMAN is a magnificent living comic book.
Release Dates ( Theater ):June 23, 1989 ( USA )
Domestic Total Gross:$251,348,343
( Foreign: $160,160,000 )
FILM
「ゴッサムシティは私がこれまで観た映画の中で、もっとも独創的でムードのある街だ。ストーリーよりもデザイン、内容よりもスタイルを重視しており、見栄えが良くて、プロットなんて気にならない映画である」(映画評論家ロジャー・エバート)
ティム・バートンは現代の表現主義作家の重要なひとりであり、御大エバートが褒め称えるように、光と闇と色と想像力を自在に使いこなして魔法の世界を創出する魔術師でもある。バートンは「現実世界」からかけ離れた「スタジオ」という密閉された世界の中で、オリジナリティに溢れる世界を創り出す。ワクワクドキドキ、期待感が高まるオープニング・タイトルに始まり、ユニーク極まりないキャラクター造形、黒を基調にしたダークな絵作り、ゴシック建築を思わせるプロダクションデザイン(アカデミー美術賞受賞)、さらには異様な興奮に満ちる盟友ダニー・エルフマンのスコア、いまは亡きプリンスによる主題歌などが渾然一体となり、本作を一筋縄ではいかないヒーロー活劇に仕立てているのだ。公開前から大々的な宣伝が展開された本作は、アメリカではヒットすることが当然視され、実際にその通りになった(1989年興行成績第1位)。本作の成功で一躍時代の寵児となったバートンだが、当時は緊張と恐怖に押し潰されそうになったという。初のハリウッド大作。そのプレッシャーによる作家的混乱と消耗。それまで子供が映画というおもちゃで遊ぶかのように映画と戯れていたバートンが、初めて直面した「現実世界」であった。だが成功によって得た思いも寄らぬ名声によって、映像作家として映画制作の自由を得ることができ、雪辱戦ともいえる続編『バットマン・リターンズ』では、おもちゃ箱をひっくり返したようなカオスを描くことができたのである。
バットマンには周囲の反対をよそに、前作『ビートル・ジュース』で組んだマイケル・キートンを起用。映画が公開されるや否定的な意見は払拭され、芸達者なキートンの演技によって奥行きのあるダーク・ヒーローの誕生と相成った。敵役ジョーカーにはジャック・ニコルソンが扮し、唯一無二の異彩を放つ。共演にキム・ベイシンガー、ジャック・パランス、ビリー・ディー・ウィリアムズ、パット・ヒングル、マイケル・ガフ。
VIDEO
撮影は『未来世紀ブラジル』『ショコラ』のロジャー・プラット。35mmフィルム撮影。劇場公開アスペクト1.85:1ビスタ/パナビジョン球面レンズ/上下マスキング。35mmオリジナルネガからの4Kスキャン、デジタルレストア、HDRグレーディング。映像平均転送レートは70Mbps。収録アスペクトは1.85:1ビスタサイズ。3層100GBディスク。UHDストリーミングはドルビービジョン、ドルビーアトモス仕様(北米地区のみ)。公開30周年記念エディション。
BLU-RAY版はVC1圧縮(2009年/以降再発版も同様)。御年30歳の映像ゆえ、最新映画の4K画質を期待するのは酷であるが、それでもBLU-RAY版からのアップグレードは明快。現状で考えられる最高画質と申してよかろう。粒子感は細かく規則的。明瞭度とディテール描画力は、ゴッサムの外観、室内インテリア、衣装、そしてバットスーツの質感再現に目覚ましい。大顔絵は観どころのひとつで、毛髪、額や頬、眼球からメイクアップをより鮮明に描画する。深度表現は美術セットの潜在能力を引き出し、よりダイナミックに再現。アナログ感覚のミニチュア特撮やマットペイントも可触感が蘇生、バートン作品ばらではの魅力に満ち満ちている。
コントラストと明度レベルが改善、より鮮明な白と濃い黒檀のような黒を表示。陰影階調も拡張、さまざまな色彩においても細部階調の濃淡を示し、ブーストされたスペキュラハイライトは映像情報を犠牲にすることなく、より華麗で強烈な輝きをもたらしている。黒レベルの改善にも注目。これまで暗部に埋没していた情報が立ち上がり、目を凝らさなければならないような陰影暗部の中の映像情報も視認できる。闇夜に浮かぶバットスーツはその好例だ。爆発の炎、ゴッサムのネオン光彩、サーチライトなどの表現も優秀だ。ダークでゴシック感覚で様式化された映画撮影法を考えれば、色使いは意図的に制限されているものの、WCG(広色域)の恩恵により原色は豊かでダイナミック、活気にあふれた表現となっている。同系色の色合いにもさまざまななバリエーションを提供、暗色や濁色の色再現も拡張している。ジョーカーを取り巻く色彩は目にも鮮やか。とりわけ紫色のインパクトが強く、衣装配色されるメタリックオレンジとの見栄えも最高だ。肌色には血色が加味され、キム・ベイシンガーのさまざまなフェイシャルメイクアップ、とりわけニコルソンが披露する白塗り大顔絵に瞠目させられる。
AUDIO
サウンドデザイン/音響編集監修は『エイリアン2』でオスカーを獲得したドン・シャープ。音声平均転送レートは4.412 kbps(48kHz/24ビット)。ドルビーアトモス・リミックスは『 アデライン、100年目の恋』『ダークタワー』のマイケル・バブコック。
劇場公開からBLU-RAYに至るまで、『バットマン』はフロントヘビーなサウンドトラック・プレゼンテーションを披露していた。UHD BLU-RAYにおいても大幅な改善がなされてはいない。それでも注目すべき点があるので、そのいくつかを記しておこう。まずは銃弾、爆発、その他の多くの効果音がより効果を上げるためにリニューアルされていること。その理由として『バットマン』の多くの効果音が他のワーナー作品の効果音を流用していたからだ。個人的にはオリジナルのサウンドトラックも収録して欲しかったところだが、ドルビーアトモス・ミックス効果と相まってよりパワーとシズル感を高めているのは間違いない。発声の明瞭度の改善も注目点のひとつ。ニコルソンのいささかオーバーアクトな台詞回しも的確に再現。ローエンドはフルボディとまでいかないが、見直されたLFEエンハンスと共にアクションと音楽に重く深い存在感を与えている。ドルビーアトモス・リミックスに関しては、オブジェクト操演は限定されるものの、期待に応える出来栄え。ダニー・エルフマンのスコアの響きは高さや広さを拡張、全方向的な存在感を提供している。
FINAL THOUGHTS
御年30歳。「クラシック」とされてもおかしくない作品ではあるが、映像とサウンドのお色直しによって懐かしさと驚きの入り混じった感動を与えてくれよう。日本では振るわなかったものの、全米メガヒットの恩恵により以後シリーズ化され、バートン&キートン・コンビ作『バットマン・リターンズ』(92)、ジョエル・シューマカー&ヴァル・キルマー版『バットマン フォーエヴァー』(95)、シューマカー&ジョージ・クルーニー版『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』(97)が製作された。今回シリーズ4作品がUHD BLU-RAY化。いずれも35mmオリジナルネガからの4Kデジタルレストア、HDRグレーディング、そしてリミックス・ドルビーアトモス・サウンドトラック採用、さらに日本語字幕&吹替音声収録(UHD BLU-RAYのみ)仕様となっている。バットマン・ジャンキーならば全作揃えたいところだ。国内盤は9月20日リリース。シリーズ4作品を所収した米国盤『バットマン:4K BLU-RAY COLLECTION』は9月17日リリース予定。最後に『バットマン・リターンズ』だが、当時話題となった劇場映画用ドルビーデジタル5.1初採用作品であり、最新サウンド・フォーマットで蘇ったことは感慨深いものがある。
SPECIAL FEATURES
All four films have been NEWLY REMASTERED IN 4K with HDR and will feature a DOLBY ATMOS soundtrack remixed specifically for the home theater environment to place and move audio anywhere in the room, including overhead.
- Audio Commentary: Director Tim Burton.
- On the Set with Bob Kane
- Legends of the Dark Knight: The History of Batman
- Shadows of the Bat: The Cinematic Saga of the Dark Knight
- Batman: The Heroes
- Batman: The Villains
- Beyond Batman
- Batman: The Complete Robin Storyboard Sequence
- Music Videos
- Theatrical Trailer
SCREEN CAPTURES
DISC SPECS
Title | BATMAN:30TH ANNIVERSARY EDITION |
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Released | Jun 04, 2019 (from Warner Bros.) |
SRP | $41.99 (amazon: $24.99) |
Run Time | 2:06:18.445 (h:m:s.ms) |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / HDR10) |
Aspect Ratio | 1.85:1 |
Audio Formats | English Dolby Atmos (48kHz / 24bit / Dolby TrueHD 7.1 compatible), English Dolby Digital 5.1, French Dolby Digital 2.0, German Dolby Digital 2.0, Italian Dolby Digital 2.0, Spanish Dolby Digital 2.0, Chinese Dolby Digital 2.0, Czech Dolby Digital 2.0, Hungarian Dolby Digital 5.1, Polish Dolby Digital 5.1, Russian Dolby Digital 5.1, Thai Dolby Digital 2.0, Japanese Dolby Digital 2.0 |
Subtitles | English SDH, French, German, Italian, Japanese, Spanish, Arabic, Czech, Danish, Dutch, Finnish, Hungarian, Korean, Mandarin (Simplified), Mandarin (Traditional), Norwegian, Polish, Russian, Swedish, Thai |
FILM SPECS
タイトル | バットマン |
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年 | 1989 |
監督 | ティム・バートン |
製作 | ピーター・グーバー, ジョン・ピーターズ |
製作総指揮 | ベンジャミン・メルニカー, マイケル・E・ウスラン |
脚本 | サム・ハム, ウォーレン・スカーレン, 《原作》ボブ・ケイン |
撮影 | ロジャー・プラット, 《特撮》デレク・メディングス |
音楽 | ダニー・エルフマン, 《主題歌》プリンス |
出演 | マイケル・キートン, ジャック・ニコルソン, キム・ベイシンガー, ジャック・パランス, ビリー・ディー・ウィリアムズ, パット・ヒングル, ロバート・ウール, マイケル・ガフ, ジェリー・ホール, アリシア・グリソム, トレイシー・ウォルター, リー・ウォレス, ウィリアム・フットキンス |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
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S/N感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
HDR効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
色調 | ★★★★★★★★★☆9 |
階調 | ★★★★★★★★☆☆8 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
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S/N感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
低音の迫力 | ★★★★★★★☆☆☆7 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★☆9 |
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Image | ★★★★★★★★☆☆8 |
Sound | ★★★★★★★★☆☆8 |
Overall | ★★★★★★★★☆☆8 |