G410 「EXOFIELD」

 本日(6月30日)まで東京国際フォーラムで開催中の「OTOTEN2019」。JVCケンウッドは、G410とD401のふたつのブースを設置、それぞれ内容の異なる展示を行なっている。

 まずG410は、最近の同社製品で人気の高いイヤホン、ヘッドホンがずらりと並んでいる。その中でオーディオビジュアルファンに体験して欲しいのは、同社独自の頭外定位音場処理技術「EXOFIRLD」(エクソフィールド)だ。

「EXOFIELD」の体験コーナーはふたつ準備されている。測定から試聴まで約15分の内容だ

 「EXOFIELD」は、耳の中に小型のMEMSマイクをセットし、テスト信号を測定することで人によって異なる聴取特性を判別する。これによりオープン型・密閉型といったヘッドホンの種類を問わず、自然な音場が再現できるようになる。

 以前はスタジオに設置したスピーカーで再生したテスト信号を測定することで、音場定位だけでなく、スピーカーの特性を含めた補正を行なっていた。しかしこれでは測定の場所と機材が必要なため、なかなか普及は難しいとJVCでは考えたようだ。

 そこで今回の展示では、この過程をスキップできるように改善された。その手法としては、多くの個人特性を記録したデータベースを構築し、その中から測定結果に近い特性を選び出すことで、効果的な補正を実現している。

中央が測定用のMEMSマイク。これを自分の耳の中にセットし、その上からヘッドホンを装着して測定する

 実際にOTOTENの会場では小型マイクを耳にセットし、PCから再生されるテスト信号を測定することで、ヘッドホンの特性を判別、装着者に最適化した音場を再現出来るようになっている。

 しかも7.1ch再生が可能とのことで、測定後に各チャンネルからの音がどう聴こえるかも確認させてもらったが、ヘッドホン再生とは思えない適度な距離感(各スピーカーまでの距離は2mに設定しているとのこと)を持ったマルチチャンネル音場が体験できた。

 今後は技術展示だが、もちろん製品化も考えているとかで、そう遠くない時期に自宅で「EXOFIELD」が楽しめるようになるかもしれない。

 「EXOFIELD」の試聴は予約制なので、あらかじめG410ブースの受付でその旨を伝え、空き時間から選んでおく。混雑必至なので、興味のある方は早めに申し込みを。

会場のシステムでは7,1chの音場が体験可能だ

ジョギング中にフォームのアドバイスをしてくれるスポーツ用モデル「HA-ET870BV」

ハウジングに、北アメリカの水底に約160年間保存された貴重な木材のアクアティンバーを採用した「HA-WM90-B」も試聴できる

D401 ウッドコーンオーディオシステム

 別棟のD401ブースでは、JVCケンウッド独自技術となるウッドコーンスピーカーを搭載したオーディオシステムの試聴会も行なわれている。

 ウッドコーンは2003年に発売されたEX-A1に初めて搭載された技術で、“スピーカーは楽器でありたい”という思いを具現感したものという。発売以来着実に人気が広がっており、最新モデルとして「EX-HR99」「EX-HR55」がラインナップされている。

 その「EX-HR99」に音質向上のためのチューニングを加えた「EX-HR10000」もウェブサイトの「コトSquare」限定プレミアムモデルとして発売されている。D401ではその「EX-HR10000」を使ってCDやハイレゾ音源を体験できるようになっていた。

D401にセットされた「EX-HR10000」

 なお「EX-HR10000」に加えられたチューニングとは、スピーカー内部に使われている響きを調整する素材(人工熟成響棒)にチェリーとスプルースという2種類の木材を使ったり、スピーカーターミナル固定用のビスについて4本のうち1本だけをステンレスにするといったたいへん細かいものだ。

 「EX-HR10000」で再現されるサウンドは、とても9cmフルレンジとは思えないほど広がりのあるもの。女性ヴォーカル(96kHz/24ビットで再生)でもセンターが薄くなるようなことはなく、ホールの天井感もきちんと再現出来ていた。

細かな音質チューンが施された「EX-HR10000」のスピーカー部

店頭販売モデル。左の「EX-HR99」は9cm、右の「EX-HR55」は8.5cmのウッドコーンユニットを搭載している