MQA Ltd.

 新たなハイレゾ・フォーマットとして注目を集めるMQA。対応機器は着実に増加し、メジャーレーベルからも続々とMQA仕様での作品リリースや配信が相次いでいる。が、知名度や普及度は「これから」といえる。

 今回の音展でも「まずはMQAの音を気軽に体験し、知っていただきたい」という展示内容となっている。用意されたコンポーネントは、MQA-CDの再生が可能なカクテルオーディオのマルチメディアプレーヤー「X45」など。

 また昨今ではポータブル・デバイスにもMQA対応モデルが増えており、それらの中からソニーのウォークマン、アステル&ケルンの「A&futura」、オンキヨーの「DP-X1A」といったDAPがズラリ勢ぞろい。

 それぞれを試聴してもらいながら、音楽ストリーミングサービスTIDALではMQA配信が好評を博していること、TIDALのiOSアプリなどスマートフォンでもMQAを楽しめる環境が整い始めていることなどをアピール。

 また他社ブースでもMQA-CDを用いた試聴が数多く行なわれたほか、MQAの開発者であるボブ・スチュワート氏も来日してデモンストレーションを実施(セミナー用のガラス棟G701ブース)するなど、熱のこもったプロモーションに取り組んでいた。(谷川善久)

MQAに対応する各社のDAPが勢ぞろい。ソニー ウォークマンの「WN-1A」と「ZX300」、アステル&ケルンの「A&futura」、オンキヨーの「DP-X1A」、HiBy Musicの「HiBy R3」でMQA音源の試聴が可能となっていた

トライオードの「Ruby CD」、MQA-CDデコードに対応したクリプトンのデジタル・オーディオシステム 「KS-9Multi+」という組合せ。もちろん、急速に充実し始めている各レーベルのMQA-CDラインナップも展示された

ジェネレックジャパン

 ジェネレックジャパンのブースでは、オーディオ・システム「ADI-2 DAC STUDIO」が初公開され、注目を集めた。

 このシステムの一方の中心は、オーディオインターフェイスの世界的ブランドとして知られるRME社のDAC「ADI-2 DAC」。数々の受賞歴を持つリファレンス・クラスのAD/DAコンバーター「ADI-2 Pro」をベースに開発されたDAC/ヘッドホンアンプで、こちらもPCM 768kHz、DSD11.2MHz対応というハイスペック、透明感の高いサウンドも自慢のモデルだ。

 これと組み合わされるのがジェネレックのアクティブ・スピーカー、Gシリーズで、こちらもコンパクトなスタジオ・モニターとして定評のあるモデル。この両者に加え、接続用として小柳出電気製オーディオケーブルまでパッケージングしたシステムが「ADI-2 DAC STUDIO」ということになる。

 ジェネレックでは「パッケージを開けた瞬間からプロ・スタジオ・クラスの再生環境をお楽しみいただけます」「録音から再生まで原音をそのまま伝えるためにもっとも相応しいDACとスピーカーの究極のコラボレーション」と謳い、また「それぞれ単独で購入するよりお買い得」という価格設定になっているという。

 麻倉怜士氏を迎えて『音のプロフェッショナルが熱く支持するRMEのDACと、GENELECスピーカーを研究する』と題するセミナーも開催し、このセットのアピールに力を入れる。またアクティブ・サブウーファー Fシリーズの最新モデルも展示されていた。(谷川善久)

RME「ADI-2 DAC」とジェネレックのアクティブ・スピーカー、Gシリーズを組み合わせた「ADI-2 DAC STUDIO」。写真はもっともコンパクトな「G One」だが、「G Two」との組合せシステムもアリ

こちらは「ADI-2 DAC」の上位にあたるリファレンス・クラス AD/DAコンバーター「ADI-2 Pro FS」と「G Two」との組合せ。「ADI-2 DAC STUDIO」との聴き比べを可能にするために用意された

トライオード

 トライオードのブースでは、トライオードおよびクロスゾーン・ブランドの製品が展示のメインを務める。

 まずは「頭外定位」を実現したヘッドホンとしてファンに衝撃を与えたクロスゾーンの「CZ-1」。カクテルオーディオのマルチメディアプレーヤー「X45」から送り出された音楽を、AB級プッシュプルプリメインアンプの「TRV-35SER」経由で「CZ-1」へ、というシステムを聴くことができた。

 もうひとつが、デザインにこだわった真空管プリメインアンプの「Ruby」と、「Ruby」とベストマッチする小型CDプレーヤーが欲しいという声に応えて開発された「Ruby CD」の組合せで、クロスゾーンの「CZ-10」を聴くシステム。この「CZ-10」は、初代機「CZ-1」と同じく「頭外定位」をターゲットとしながら小型軽量化が図られた、いわば弟分ともいえるモデル。

 「CZ-1」「CZ-10」とも再生周波数帯域は20Hz〜40kHzと同一だが、「CZ-1」のドライバーが高音用23mm、低音用40mm、重さ約485g(本体のみ)であるのに対し、「CZ-10」は高音用23mm、低音用35mm、重さは約385g(本体のみ)。価格も「CZ-10」は「CZ-1」の3分の1程度で、「頭の外に広がる音と音場の開放感、聴き心地の自然さ」というクロスゾーン製ヘッドホンのコンセプトを、さらに身近なものに感じさせてくれるアイテムといえるだろう。(谷川善久)

通常のヘッドホンが「頭の中」に音が定位するのに対し、スピーカーと同様に頭の外側で音が広がる心地良さを機構的に作り上げたクロスゾーンの「CZ-1」

「CZ-1」で培われた技術をさらに磨き上げるとともに、小型化・軽量化も図られた新モデルの「CZ-10」。女性にも人気という小型CDプレーヤー「Ruby CD」および真空管プリメインアンプ「Ruby」との組合せでデモを実施