6月30日に、Mick沢口氏が代表を務める沢口音楽工房より、UNAMAS Classicシリーズの新作2作がリリースされることになった。

『ViVa The Four Seasons』(UNAHQ2015)

 今回発売されるタイトルは『ViVa The Four Seasons』(UNAHQ2015)と『L’Esprit de l’ENKA』(UNAHQ2017)で、日本国内ではe-onkyo music、海外ではHiRes Audioなどで配信される予定という。

 e-onkyo musicでの価格は192kHz/24ビット/2chが¥3,000、192kHz/24ビット/5.1chが¥3,500(『ViVa The Four Seasons』のみ)。また、MQAやDSD11.2MHz、HPL-9での配信が8月2日にスタートする予定とのことだ。

 この両作品の制作では、プロ音響機器「RME」の製品が数多く起用されている。それもあり、昨日赤坂のシンタックスジャパンオフィス内、mEx-Loungeで先行試聴会が開催された。

沢口音楽工房の代表、Mick沢口氏

 試聴に際し、Mick沢口氏から新譜に関する説明が行なわれた。

 『ViVa The Four Seasons』は、軽井沢の大賀ホールで収録した6作目に当たるそうだ。そもそもUNAMAS Classicシリーズの第一作も『四季』(2013年)だったそうで、今回は同じ楽曲を最新技術で収録したものともいえる。

 まず今回は、弦楽5重奏+パイプオルガンのオリジナルスコアから、パイプオルガンをコントラバスにアレンジし、すべて弦楽器で演奏している点がユニークだ。

 さらに各季節のイントロに、沢口氏が各地で収録してきた自然音(川のせせらぎや雷鳴など)を配しているが、このように自然の音をアレンジしたのは世界初だという。

 さてその収録にあたっては、沢口氏がイマーシブオーディオの収録で培ってきたノウハウがすべて投入されている。

 そもそも『ViVa The Four Seasons』は11.1chで仕上げられており、録音時のマイク配置はステージ中央に5ch、その外側両サイドに2ch、コントラバス用に1本、そしてステージの縁(客席側)にハイト用を4chというものだった(テスト用としてホール2F席でもハイトチャンネルを録音したが、今回のアルバムでは使っていない)。

 それらのマイクからの信号をRMEのシステムに入力し、192kHz/24ビットや384kHz/24ビットのPCM、DSD11.2MHzといったフォーマットで同時に録音しているそうだ。

録音機器はこれまでの作品を踏襲しているが、今回新たにコードのデジタルマイクケーブルと、ソニーのC-100(ハイト用)が採用された

 ちなみに今回新しい試みとして、ハイトチャンネル用のマイクにソニーのC-100を導入、同時にマイクからの信号伝送用としてイギリス、コードのデジタルケーブル(5本で家一軒分とか)も試したそうだ。

 試聴会では、PCに保存した2chと11.1ch音源(どちらも192kHz/24ビット)を、RMEの再生機とジェネレックのアクティブスピーカーThe ONEシリーズで再生してくれた(システム構成は11.2ch)。

 まず2ch再生では、なめらかなサウンドで、各楽器の細かい情報までよく伝わってくる。演奏がとても生々しく、音場がふわりと眼前に広がってくる。

 11.2ch再生になると、音場がさらに広くなり、情報量もぐっと増してきた。2ch再生でも情報量は多いと感じたが、スピーカーが増えたことでもっと密なになり、演奏そのものがよりリアルに感じられる。空間に音が詰まっている感じで、ホールの音が忠実に再現されている印象なのだ。先述した自然音もまったく違和感がなく、雷鳴の高さの表現も心地よかった。

『L’Esprit de l’ENKA』(UNAHQ2017)

 もう一枚の『L’Esprit de l’ENKA』は、“日本人の心情を的確に表現しているのはENKAだ!”という沢口氏の思いから企画されたそうだ。

 こちらは日本音響エンジニアリング千葉研究所のAGS Studioで録音されている。フォーマットは192kHz/24ビットと384kHz/24ビット、DSD11,2MHzの3種類で同時録音しているそうだ。2ch作品だが、収録時には13本のマイクが使われている。

試聴会では、ジェネレックのアクティブスピーカー「The ONE」シリーズを使って再生した