人工知能(AI)研究者としてさまざまな著作を著している黒川伊保子の新書を原案とした映画「女の機嫌の直し方」が6月15日(土)より公開される。氏がAIの研究を深めるうちに気づいた男女の脳の使い方・感じ方の違いを、男女の人生の幸せの始まりとも言える“結婚式”を舞台に映像化した注目作だ。なぜ男女はすれ違うのか? 原案書籍に記されたさまざまな事例とその解決策を豊富に盛り込み、どの世代にも参考になるエピソードが満載。ここでは、そんなトラブルを華麗に解決する主役真島愛を演じた早見あかり、そのトラブルに巻き込まれる新婦・北澤茉莉を演じた松井玲奈の二人にインタビューした。

――出演おめでとうございます。まずは出演が決まった時の感想や印象を教えてください。
早見あかり(以下、早見) 面白い作品だなって思いましたね。台本を読んだ時にすごく共感できて、「なぜ、今までこの情報を知らなかったんだろう」って少し後悔しましたもん(笑)。

松井玲奈(以下、松井) 私も内容にすごく共感しました! 台本を読みながら、女性と男性の考え方の違いが分かって「ああそういうことなんだ」って、今まで、自分のことなのによく分からなかった気持ちや感情がきちんと説明されていて、納得することが多かったです。

――それぞれ配役が決まった時の感想はいかがでしょう。
早見 最近、人に熱く語るっていう役が多くて「またセリフをたくさんしゃべる役が来た!」って思いました(笑)。今回もラストに長いスピーチをするんですけど、私ってそういうイメージがあるんでしょうかね? ただ、愛ちゃんの役を借りてセリフを話すうちに、自分自身も勉強になって、レベルアップした気になりました。

松井 茉莉は、結婚に憧れていて、自分の中に理想の結婚“式”があるので、まずはその想いをどうやって表現しようかな、ということを考えました。今回の役作りとして、結婚情報誌を初めて買ってみたんです。こんなに分厚い雑誌を見て、色々と決めていくのか~というおどろきもありましたし、それだけの熱意が必要なんだなっていうことに気づいたので、役に反映できたところはあるかと思います。けど、物語では、よくある嫁・姑の対立も用意されていて(笑)、それだけ思い入れがあることを壊されたからこそ、あんなに爆発するんだろうなって、茉莉の心情がよく分かりました。

――結婚情報誌には、松井さん的に役立ちそうなことはありましたか?
松井 私には無理って、すぐに閉じちゃいました。私個人としては、結婚“式”に対する憧れってあまりないんだなって、この作品を通じてより感じました(笑)。

――早見さんが愛を演じるにあたって原案著者の黒川伊保子さんという実在の人物を参考にしましたか?
早見 特に誰かをモデルにしたというよりは、愛には式や人間関係をよりよくしてあげたいという思いやりがベースにあるので、その想いを表現するようにしました。

――テレビなどで拝見する黒川さんのイメージを感じました。
早見 本当ですか? 愛はいわゆるリケジョ(理系女子)なので、私のイメージするリケジョ――得意分野のことになると、途端に早口になる――に近づけていったんです。スイッチが入ると、グワッとしゃべりだす、と感じです。

――原案書籍や台本を通して、脳の使い方に男女で違いがあると知った時の感想は?
松井 まず違いがあることに驚きましたね。女性って、なんで分かってくれないのってなりがちで、そうなると、ただただ感情的にボールを投げつけてしまいますけど、男性は男性なりにそれをキャッチしようとしてくれていたんだなっていうことが、すごく理解できました。お互い、適切にキャッチボールできるようになるのが、一番いいなと思いました。

早見 私の場合は、夫とそれこそ付き合っている時にもたくさん喧嘩しましたから、自然と、自分は自分、人は人というように、男女の違いを認識することができたのかなって思います。なんとなくこのボールには、このミットなのかなっていうのが、お互いに分かっている感じです。

――さて、本作では男女の脳の感じ方・働き方の違いを、結婚式場を舞台にうまく表現していますが、それにしても結婚式ってゴタゴタが続きますね。
早見&松井 本当ですよ(笑)

早見 ただ、愛ちゃんがトラブルを解決した時に、みんなが笑顔になるのは素敵ですよね。

――映画では、原案書籍で紹介されているエピソードがいろいろなシーンで再現されています。印象に残ったものはありますか?
松井 階段を落ちそうで落ちなかった話は、序盤で分かりやすく紹介しているので、いい導入になったと思いますね。あとは、「私と仕事どっちが大事なの」という言葉には、女性の“寂しい”っていう気持ちが隠されていて、“もうちょっとこっちにも気をかけてよ”という意味だと説明されるところは、深く納得しましたね。女性としては、やはり自分のことを見ていてほしいし、見ていてくれると分かれば、安心するものですからね。

早見 どのエピソードというよりは、随所に共感できることがいっぱいあるし、世代によってもいろんなパターンが提示されているので、たくさんの方に観ていただいて、それぞれの方が抱えている問題を解決してほしいなって思います。個人的には(劇中で式を挙げる)茉莉と悠の今後が気になりますよ(笑)。

――えっ、ご自身で演じられた愛は?
早見 それは気になりますけど、ちょっとネタバレしちゃいますけど、最後にはきちんとその後の姿も描かれていますから。もともと、卒業論文の実例集めに来ていただけだった愛が、人と関わることによって式場の仕事の素晴らしさを感じて、卒論を書き終えても、仕事を続けているんです。それがまた、いいですよね。やっぱり結婚式場って“幸せ”がたくさん集まっている場所なんだなって、思いました。

――とは言え、松井さんの演じた茉莉には、嫁・姑の諍いが描かれています。
松井 茉莉は自分の想いを壊されたことで爆発しますけど、私自身は、うーん、伝えるべきことは冷静に伝えたいなと思います。

――やはり女性は強いですね。劇中で描かれている新郎・悠が見せる態度は?
松井 この状況が本当に分かってんの! ぶっ飛ばすぞ!! っていう気持ちになりますよ(笑)。

――ちなみに、お互いに共演しての印象・感想は?
早見 会う前に抱いていた印象は“女性らしい女性”というものだったんです。実際にお会いしてみるとイメージそのままで、すごくスッとしていて素敵だなって思いましたね。こちらから話しかけると、意外と面白い面を出してくださって。見えていなかった顔をたくさん感じられて、うれしかったですね。

松井 恥ずかしい! 早見さんは楽屋では、いろいろな年代の人が集まっている中で、常にリーダー的な雰囲気で、明るく振る舞っている姿を見て、ちょっと羨ましさを感じました。もう、(早見さんは)何回人生繰り返しているんだろうって(笑)。加えて、役でもセリフが多いのに、楽屋でもわいわいと話されていて、あっちでワーッとしゃべって、こっちでワーッとお芝居をして、その切り替えの速さも羨ましかったです。

早見 松井さんは結構、楽屋では静かに過ごされていたので、どんな風に話しかけたらいいのかなって、空気を読めないタイプにはなりたくないので、一応は相手の反応を見定めるんですよ(笑)。結果、松井さんにはグイグイ行けるなって(笑)。

松井 結構、来てましたね(笑)。まあ、私は自分から話しかけるほうではないので、話かけてもらえるのはうれしいですね。

――では、最後にお二人の見どころをお願いします。
早見 さまざまな世代、種類、シチュエーションでのトラブルとその解決策が描かれているので、観てくださる方それぞれに参考になる作品になるんじゃないかなって思います。今風に言えばマニュアル風映画になっているので、たくさんの方に観ていただいて、みなさんが幸せになってほしいです。

松井 普通、映画と言えば、観て、物語を受け取るものだと思うんですけど、この作品は受け取るだけじゃなくて、(観た人たちが)どう思ったか、何を感じたかを話し合うことができる作品になっていると思うんです。ぜひ、たくさんの方に観ていただいて、友達同士とか、恋人と、ワイワイガヤガヤと話し合ってほしいなって思います。

映画「女の機嫌の直し方」
6月15日(土)よりユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほか 全国順次公開
<キャスト>
早見あかり、平岡祐太、松井玲奈、佐伯大地ほか

<スタッフ>
原案:「女の機嫌の直し方」黒川伊保子(集英社インターナショナル)
監督:有田駿介
脚本:蛭田直美
脚本協力:横澤夏子
配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
製作:「女の機嫌の直し方」製作委員会
(C)2019「女の機嫌の直し方」製作委員会
<早見あかり>
・ヘアメイク  青木理恵(SOUP)
・スタイリスト 坂井七帆
・衣装協力
  Adonisis/Coutulife

<松井玲奈>
・ヘアメイク :白石久美子
・スタイリスト :船橋翔大(ドラゴンフルーツ)