いよいよ明日から、NHK放送技術研究所の「技研公開2019」一般公開がスタートする。今年は「ワクからはみ出せ、未来のメディア」をテーマに、4K8Kといったこれまでの技術をベースにした新しいメディアのあり方を提案していく内容となっている。

 会場リポート第一弾は昨日お届けしたので、今回はそれらの新提案にまつわる技術的な側面についても紹介しておきたい。

8K120Hz符号化装置・復号装置

8K/120p対応のエンコーダーシステム。左上側に4K/60pエンコーダーがずらりと並ぶ

 既にリポートした通り、地下1Fには、NHKがフルスペック8Kと呼んでいる信号をリアルタイムに伝送するデモが行なわれている。ちなみに「フルスペック8K」とは、8K解像度(水平7680×垂直4320画素)と毎秒120Hz(120p)のフレームレートを持つ信号のことで、HDR(HLG)や広色域(BT.2020)なども備えている信号となる。

 今回の展示では、二子玉川駅近くにフルスペック8Kカメラを設置し、それを光回線(専用線)で技研まで伝送、会場内でエンコーダー(圧縮)とデコーダー(解凍)を経た映像も再現していた。

 ビットレー的にはカメラから出力された段階で24Gbps(オリジナルデータが144Gbpsなので1/6に圧縮している)ほどある。これを8K/120Hz対応エンコーダーで250MbpsのHEVCに圧縮することになる。

8K/120pのデコーダー機能を内蔵したPC(写真右ラック下側)

 ここで使う8K/120Hz対応エンコーダーがなかなか面白い。というのも、エンコーダー回路としては既存の4K/60p用を使っており、これを12台平行動作させることでリアルタイム圧縮を可能にしているのだ。

 処理の流れとしては、まず前処理装置で入力された8K映像をARIBの規格に準拠した4スライス(水平方向に4分割する)に分けている。こうして作られた横長(水平7680×垂直1056〜80画素)映像を4K/60p用のエンコーダーに入力する。8K/120pの信号は情報としては4K/60pの8倍になるわけで、そこに12台のエンコーダーを割り振ってリアルタイム処理を狙っているのだろう。

 またもうひとつの工夫として、4スライスに分けて圧縮した映像を元に戻す際に、これまでは映像のつなぎ目が見えてしまうことがあったそうだ。それを解消するために、8K/120p映像を別の回路で4K/60pにダウンコンバートしておき、これを参照しながらつなぎ目のない、より自然な映像を復元している。この工程は「準2パス映像符号化」と呼ばれているそうだ。

 これを受けてデコード(解凍)するシステムはソフトウェアベースで、PC上で動作している。そのPCのスペックとしてはインテルXenon E5-2699v4 2.2GHzが2基、メインメモリー128Gバイト、グラフィックボードはNVIDIA Quadro P6000が2枚+動機ボードQuadro Sync2といった構成となる。ちなみにPCの出力はディスプレイポートが使われており、会場ではそれをU-SDIに変換してから8K/120p対応モニターに表示していた。