九州は福岡を拠点に活躍しているガールズグループ・九州女子翼が5月18日、AKIBAカルチャーズ劇場で行なっている月一の定期公演「定期公演第十七片 in TOKYO」を行なった。

 今回は、定期の直前に発表されたTIF2019への出場決定の報を受け、さらに勢いの増したステージが堪能できた。一幕目のソロカバーでは2019年に入ってからその効果が如実に感じられるようになり、第十七片では、愛理と詩絵里が大躍進(詳細、後述)。特に愛理の歌唱は素晴らしく、昨年のTIFのソロステージ(愛理が一人で出場した)では、悔し涙を飲んだが、今年は見事リベンジできそうな成長ぶりだ。では、各部の模様を紹介していこう。

 第十七片となる今回も三幕部構成であり、一幕目は恒例のソロカバーコーナーだ。トップバッターの香苗はかわいらしいセーラーに身を包み、さらに磨きをかけたハイトーンボイスを炸裂させながら観客を魅了。続く愛理は、世界的に大ヒットしたアノ名曲をカバー。自身、ミュージカル(子役)の経験もあるそうで(初耳)、ミュージカル風の歌唱にてステージを創り上げるが、4月の定期をさらに上回る超愛理4を発現。あの名曲の世界観を、全身を使って表現していた。どこまでも伸びる高域、厚みの増した声、曲の盛り上がりに合わせてうねるように上昇していく歌い手の情感。どこをとってもあっぱれの一言。詩絵里は、声のトーンが少し上がりスローなテンポで、いままでにない大人っぽい雰囲気を発揮。髪型(前髪)を変えてからグッと女性らしくなった印象で、それが今回のカバー曲でさらに洗練されたようだ。それは瑠菜も同じ。こちらは逆に声質に野太さが出てきて、また新たな魅力を放っていた。実玖は……もう、イントロを聴いただけで涙が止まらなくなってしまった。2016年夏に引退した、保坂朱乃(あやの)の楽曲「VOICE」を引っ提げての登場であり、この曲を人が歌うのを聴くのも、保坂ラストステージとなった2016年8月1日の渋谷Glad以来だろうか。おそらく、引退を決めた保坂が、引退までに一番歌い込んだであろう曲が、3年の時を経て、ここAKIBAカルチャーズ劇場に復活したのだ。実玖自身もこの曲を歌うことに「プレッシャーと緊張」を感じていたそうだが、保坂が届けたかった声が、想いが、いまこの場に蘇った印象だった。最後は、定期恒例の「ぎゅっと手を繋いで」を歌唱して終了だ。

 続く二幕目は「グループ力テスト」。これは、神の声が出す質問にメンバー5人が同時に答え、その答えが一緒になると正解、というもの。序盤は苦労していたが、後半になるにつれて連携もとれるようになってきて、なんとか罰ゲームゾーンはクリアしていた。圧巻はタコのものまね(?)。お題が出されるやいなや皆、瑠菜考案(?)のタコポーズ(顔をタコの頭に見立て、あごのあたりに両手を広げるというもの)を揃って披露していた。

 ラストの三幕目は、ライブ本編であり、今回も女子翼の全力ステージを披露。加えて今回は、8月に発売されるセカンドアルバム「RED STYLE」に収録予定のリミックス曲2曲を、東京で初披露! 一つは「絶対零度 リミックスver」、もうひとつは「Maybe Darling リミックスver」だ。前者はディスコ調に、後者はスローテンポとなり、ボサノヴァ調というか、麗らかな陽光の下で寛いでいるような雰囲気を想起するような仕上がり。レコーディングなどのアルバム製作も始まっているそうなので、発売が楽しみだ。

 全体として、4月の定期のレポでも記したように、ソロカバーコーナーの成果が存分に発揮され、結果、各自の歌唱力が大幅に進化したことで、それがコーラス(斉唱)の厚み、表現力の向上につながっており、この歌唱力をもって製作されるセカンドアルバムの仕上がりには、大きな大きな大きな期待がわきあがってくる。

三幕目 曲目
TAKE WING
赤の流れ
Fruits MUSIC
絶対零度 リミックスver
Maybe Darling リミックスver
絶対零度
fair wind
空への咆哮
空への咆哮(アンコール)

 次回、AKIBAカルチャーズ劇場での定期「第十八片 in TOKYO」は6月23日(日)に開催予定だ。

九州女子翼 https://twitter.com/ITR_KGW?lang=ja
実玖 https://twitter.com/itr_miku?lang=ja
新谷香苗 https://twitter.com/itr_kanae
山本愛理 https://twitter.com/itr_airi
詩絵里 https://twitter.com/itr_shieri
鈴川瑠菜 https://twitter.com/itr_luna