クリプトンは本日午後、新製品発表会を開催した。まず登場したのは、スピーカーシステム「KX-0.5P」だ。定価は¥220,000(ペア、税別)で、7月下旬に発売される。

スピーカーシステム「KX-0.5P」は¥220,000(ペア、税別)

 これは、既発売モデル「KX-0.5」(¥185,000、ペア、税別)のピアノフィニッシュ仕上げとなる。KX-0.5にはエンクロージャーを漆塗りで仕上げた「KX-0.5UR/UB」もラインナップされており、こちらは先般、定価が¥298,000(ペア、税別、KRIPTON Online Store専用モデル)に引き下げられたことでも話題となった。

 このようにひとつのモデルをベースにして、エンクロージャーの違いで異なるモデルをラインナップする例はひじょうに珍しい。同社では今回の提案を「ポイントファイブ・トリプルセレクション」と名付けて、音楽ファンに提案していきたいとしている。

「ポイントファイブ・トリプルセレクション」の狙い
●クリプトンの中核モデル・スピーカーKX-0.5シリーズのバリエーション展開
●スピーカーの量販・拡販価格帯である30万円以下での対応を強化
●「オリジナルの得意技術」を駆使して作り上げた個性あるモデル
●ユーザーの嗜好に合わせた多様・豊富な選択肢

 もちろんKX-0.5Pには、これまでの同シリーズと共通の技術が多く盛り込まれている。

 第一は、140mm口径カーボンポリプロピレン(CPP)コーン型ウーファーだ。伸びやかな低音再生のため、低域共振周波数(f0)を50Hzとしたウーファーを採用。低域までのダイナミックレンジの拡大とトランジェントのいい伸びやかで豊かな低域再生を目指し、軽くて高剛性なCPPコーン型振動板を搭載している。ボイスコイルはエッジワイズのロングトラベル4層巻ボイスコイルという。

 第二はハイレゾ対応のアルニコライクフェライト磁気回路を採用した2ウェイ、小型密閉型スピーカーシステムという点になる。上位モデルから踏襲した高音質設計に基づいて伝統技術と最新技術でつくり上げた製品で、躍動するスケール感と高品位な再生を実現している。

 第三はハイレゾ高音質音源に最適な、砲弾型イコライザー付リングダイアフラム型トゥイーターの採用だ。砲弾型イコライザー付35mmトゥイーターは、50kHzまでの帯域を確保し、広がりのある、音楽性豊かで艶やかなハイレゾ音源を奏でてくれる。

 このKX-0.5にピアノフィニッシュ仕上げを採用したのがKX-0.5Pというわけだ。なおピアノフィニッシュの塗装も国内(静岡)で仕上げており、その意味でもメイド・イン・ジャパンの伝統は守られている。

左は「KX-0,5UR」で中央は「KX-3Spirit」、右が新製品「KX-0.5P」

 なお単純にピアノフィニッシュ仕上げにしただけでは、低音が硬く、ハイ上がりな音になってしまうそうだ。そのためKX-0.5Pでは上級機のKX-3Spiritに採用している、マグネシウム芯線(単線)にPC-Triple Cの撚線を巻きつけたスピーカーケーブルを内部配線に採用。歪みの少ない高音質ネットワーク回路と併せてナチュラルな高音域再生を狙っている。

 発表会場にはベースモデルのKX-0.5、KX-0.5UR、KX-0.5Pのトリプルセレクションが並べられており、同じ楽曲を再生した場合の音の違いを聴き比べさせてもらった。

 女性ヴォーカルやクラシックを聴かせてもらったが、KX-0.5のベースモデルもひじょうに素直な再現性で、まとまりのいい音場を再現してくれる。これがKX-0.5URになると、音の方向性はそのままに、音場の見通しがよくなり、細かい情報までしっかり聴き取れるようになる。より生々しい聴こえ方になるといってもいい。

 そしてKX-0.5Pはそれとも方向性が異なる。低域が若干タイトになって、弾みがよくなり、モニターライクな音に変化しているのだ。オーディオファンの中にはこういったサウンドを好む層も多いだろうし、映画サウンドも迫力充分に楽しませてくれるだろう。

 ポイントファイブシリーズの、エンクロージャーの違いによる音質変化は予想以上に大きい。チャンスがあったらぜひ一度その差を体験してみていただきたい。

KX-0.5Pの主なスペック

●型式:2ウェイ密閉型
●使用ユニット:35mmピュアシルク・リングダイアフラム型トゥイーター、140mmコーン型ウーファー
●出力音圧レベル:87dB/W/m
●インピーダンス: 6Ω
●クロスオーバー周波数:3,500Hz
●再生周波数帯域:50Hz〜50kHz
●寸法/質量:W194×H352×D319mm/7.6kg