デノンの2019年AVセンターラインナップとして、「AVR- X2600H」(¥90,000、税別)と「AVR-X1600H」(¥59,500、税別)が発表された。価格は従来モデルから据え置きで、6月中旬の発売予定となる。

 どちらも、最新のAVネットワークへの対応、充実したオーディオネットワーク、ユーザービリティの向上、ダビングステージの再現をテーマに開発されている。ここでは上位モデルとなるX2600Hを中心に特徴を紹介したい。

 一体型AVセンターとしては両モデルとも7.2ch仕様で最大5.2.2のDolby Atmos再生が可能だ。加えて、Dolby Atmos Height Virtualizer(秋頃のファームウェア・アップデートにより対応)、DTS:X、DTS Virtual:Xといった再生もできる。

 AVネットワークに向けた仕様として、8入力/2出力のHDMI端子を備えており、すべて4K信号(4K/60p、HDCP 2.3、BT.2020、HDR10、Dolby Vision、HLG、eARC=Enhanced ARC、ALLM=Auto Low Latency Mode)に対応済みという。

 オーディオネットワークの活用では、独自のワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」テクノロジーを搭載。無料のHEOSアプリで簡単にセットアップもできる他、ストリーミングサービスやインターネットラジオ(Amazon Music、AWA、Spotify、SoundCloud、TuneIn)やローカルネットワーク上のミュージックサーバー(NAS/PC/Macなど)、USBメモリーに保存した音源といった多彩な音源を再生できる。同一のネットワークに接続した他のHEOSデバイスにAVR- X2600Hで再生中の音楽を配信することもできるそうだ。

 ハイレゾ音源は、DSD 5.6 MHzや192kHz/24ビットのリニアPCMの再生が可能だ。もうひとつ、AirPlay 2、Bluetooth送信機能も備えているので(後日のファームウェア・アップデートを予定)、Bluetoothヘッドホンと組み合わせてみるのもいいだろう。

 ユーザービリティの向上では、柔軟なアンプアサインも準備した。最大では5.1.2のスピーカー配置が可能だが、サラウンドバックやハイトスピーカーを使わない場合は、フロントスピーカーに4ch分を割り当てるバイアンプ駆動もできる。2ch中心のユーザーなら、こういった使い方も試して欲しい。

 ダビングステージの再現は、基本的なクォリティアップで実現している。

 まず電源部のブロックコンデンサーには、前モデルのAVR-X2400Hから容量を20%をアップした12,000uFのカスタムコンデンサーを2つ搭載している。この結果、マルチチャンネル時の大音量再生時に余裕が増し、電源供給の安定性も向上したという。重厚かつ切れの良いサウンドにさらに磨きがかかっている。

 D/Aコンバーターには、上位モデルと同様の最新世代のプレミアムDACチップが採用された。32ビット処理に加え、ノイズ耐性の高い設計により繊細な音の表現を可能にしている。またDACのポストフィルター回路内のオペアンプの動作点をAVC-X6500Hと同様のA級動作に変更、エネルギッシュで引き締まった低域、歪感のない高域を実現したという。さらに電源と出力カップリングコンデンサーをオーディオグレードに変更し、音質を追い込んでいる。

 細かいことだが、パワーアンプブロックへの給電方法にも改良が加えられた。これまでは7ch分が一列に並んだパワーデバイスに対し、左から5番目と6番目の間に電源供給のケーブルがつながれていた。回路構成としてはフロントLチャンネル用に左端のパワーデバイスを使うことが多く、電源供給という点では左チャンネルが、他のチャンネルの影響を受ける可能性もあったという。

 そこで今回は7つのパワーデバイスを3ch(L/C/R)用とそれ以外の4ch用に分け、それぞれに電源を供給するように変更した。この結果、電源自体のインピーダンスとチャンネル間の共通インピーダンスが低減、S/N改善やフォーカス感の向上といった成果が実現できている。

 もうひとつ、入力セレクター、ボリュウム、出力セレクターについては、それぞれの機能に特化したカスタムデバイスを採用している。これらは同社フラッグシップモデルのAVC-X8500Hにも採用されている高性能デバイスだ。専用のデバイスを最適な配置でレイアウトすることで、音質を最優先したシンプルかつストレートな信号経路を実現したそうだ。AVR-X2600Hではプリアンプ電源用ブロックコンデンサーを大容量化し、ボリュウム回路やDACのポストフィルター回路の動作安定化を図っている。

 発表会で、2chのCDやブルーレイのマルチチャンネルの音を聴かせてもらった。CD再生(アナログ接続)では、女性ヴォーカルのレベッカ・ピジョンが厚みがありながら、高域まで綺麗に抜けた声として再現された。センター定位も明瞭。

 映画ソース『プライベートライアン』は、トップミドルを使った5.1.2で再生されたが、盤石な低域再現で、台詞も気持ちよく響いてくる。戦車は重量感たっぷりだし、頭上を飛び抜ける戦闘機の軌跡も鮮やかに描き出される。音楽ライブのステージ感も余裕たっぷりに再現され、アンプとしての底力も充分備えていることが確認できた。

 弟機のX1600Hは定格出力が80W(X2600Hは95W、以下同)で、HDMI端子が6入力1出力(8入力/2出力)になっている点が主な違いとなる。回路やパーツ面での差異もあるが、X1600Hに最適化するなどのチューニングはしっかり施されている。

「AVR-X2600H」の主なスペック
●定格出力(8Ω、20Hz-20kHz、THD0.08%、2ch駆動):95W
●接続端子:HDMI端子入力8系統、HDMI出力2系統、色差コンポーネント入力2系統、色差コンポーネント出力1系統、コンポジット映像入力2系統、コンポジット映像出力1系統、デジタル音声入力2系統(光)、アナログ音声入力4系統、フォノ入力1系統(MM)、LAN入力1系統、USB入力1系統、他
●寸法/質量:W434×H167×D341mm(アンテナを寝かせた場合)/9.5kg