4月17日の「クイーンの日」を間近に控え、映画・音楽ファンの盛り上がりが止まらない。UHDブルーレイ、CDを始めとする数々のパッケージメディアの発売はもちろん、ストリーミングでの動画配信もスタートする。そんな中、本作のために“音のいい”エンコードにトライしたのが、ビデオマーケットだ。以前から取り組んでいたUHQエンコードに加え、電源環境などを見直すことで音声の高品質化を達成したという。今回は高音質配信の第一弾となる『ボヘミアン・ラプソディ』を、クイーン研究家の石角隆行さんに体験していただいた。

(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

——今日は音楽パブリシストの石角隆行さんをお招きし、ビデオマーケットの視聴室で『ボヘミアン・ラプソディ』をご体験いただきます。石角さんはクイーン研究家の第一人者として、CDやDVDの解説原稿やイベントの企画なども手がけられていますね。

石角 第一人者なんて、とんでもない。市井の研究家ですよ(笑)。昔からクイーンのファンでしたが、たまたま色々なところで原稿書いていたので、最近はあちこちから声をかけていただいています。

——石角さんはクイーンの日の制定にも関わられたとか?

石角 5年前に、来日40周年を記念して何かやろうということになり、彼らが初めて日本に降り立った4月17日に羽田空港でイベントを開催しました。その時にレコード会社から申請されて、4月17日がクイーンの日として認知されていったようです。

——まさにその4月17日に『ボヘミアン・ラプソディ』のパッケージが発売されるわけで、今年は例年以上に盛り上がりそうですね。さらに映像配信サービスでも本作のストリーミングがスタートします。

石角 そのようですね。今回はビデオマーケットの小野寺さんから連絡をいただいて、5.1chのホームシアター環境で『ボヘミアン・ラプソディ』を拝見できるとのことで、楽しみにしてきました。

——ご自宅ではどんなシステムで音楽や映画を楽しまれているのでしょう?

石角 映画は、いわゆる普通のテレビで観ています。音楽は2chステレオです。そこまでの本格的な環境ではなく、5.1chも導入できていません。

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——ちなみに今日は、先ほどお話にも出たビデオマーケットの小野寺さんに同席いただいていますが、石角さんと小野寺さんは30年来のお付き合いとか?

小野寺 はい。私は80年代後半から90年代に、前職でイギリスに赴任していたのですが、その頃に現地で石角さんにお会いしました。

石角 当時イギリスに半年ほど住んでいたのですが、一時期は小野寺さんの家に泊まり込んだりしていました。まさか小野寺さんが配信するクイーンを一緒に観ることになるとは、考えてもみませんでした。

小野寺 私が配信しているわけではありませんが(笑)。

石角 絵も音も綺麗なんですよね?

小野寺 弊社では以前からUHQ(ウルトラ・ハイ・クォリティ)エンコードというシステムを採用してきました。これは、映画会社さんにお願いし、ご提供いただくマスターを品質がもっともよいものでいただくことはもちろんですが、圧縮率の高い配信の場合でも、高画質が得られるようひじょうに細かくエンコードパラメーターを調整し、結果、配信のビットレートであってもブルーレイソフトと同等の品質を再現しようというものです。

 画素数的には2K(水平1920×垂直1080画素)ですので、当たり前ですがDVDより圧倒的に綺麗です。また今回の『ボヘミアン・ラプソディ』では、絵に加え音もよくなるような工夫をしています。

——ではそろそろ、『ボヘミアン・ラプソディ』の本編をご覧いただきたいと思います。石角さんがここは観てみたい、というシーンはありますでしょうか?

石角 まずは冒頭をお願いします。この20世紀フォックス社のファンファーレは、ブライアン・メイ自身がギターを弾いて、ギター・オーケストレーションで作っています。まさにクイーンサウンドの要で、ファンには絶対の聴きどころです。

小野寺 おぉ、それは知りませんでした。

石角 ギターの音を幾重にも重ねて、オーケストラのような音を出していくテクニックです。ロジャー・テイラーのドラムも重ねているとは思いますが、ほぼ一人でオーケストラを演奏しているようなもので、この音を聴けばブライアン・メイの演奏だとわかります。劇場にはそれを知った上で足を運んだ人も多いでしょうが、このサウンドがホームシアターで、しかも配信でどう聴こえるかは興味深い。

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——では、冒頭のファンファーレから、幾つかのシーンを再生します。

石角 僕はこの作品を劇場で5回観ていますが、ギター・ファンファーレでオーケストラのように色々な音色が出て、それがひとつにまとまる感じは、今日の方がよく出ていました。なるほどギター・オーケストレーションだと、素直に納得できたのです。

小野寺 劇場は大きい空間なので、音もどことなく漫然としてしまいますが、ホームシアターでは最高のポジションに自分が座ることができます。それもあって、楽器の配置などもより明瞭に聴き取れたのではないでしょうか。

石角 音がひとつひとつ立っているんですよね。どの楽器がどの位置にあるかまで伝わってきました。

 また劇場では気がつかなかったのですが、緑と青の発色がすごく綺麗で、鮮やかに出てくるなぁと感じました。監督が意識しているかどうかはわかりませんが、そのふたつの色が印象的でした。

小野寺 今日はアンドロイドTV対応のブラビアKJ-75X9400Cに弊社のアプリをインストールして再生しています。映像モードは「スタンダード」の初期値で、特に大きな調整は加えていません。

石角 19分あたりのスタジオでの収録シーンとか、ライブハウスで演奏しているところでも、緑や赤がとても綺麗に再現されていました。これも劇場でも気がつかなくて、今日観ていて印象に残ったことです。

 その後の、フレディの誕生パーティでも、お母さんの服やロジャーのジャケット、電話機、背景のボトルなど、画面のあちこちに緑のオブジェが配置されているんです。これは意識して使っているとしか思えませんね。

小野寺 確かに、ステンドグラスや壁の絵にも緑が使われていますね。ここまでくると、明確な意図があったと考える方が自然です。僕も劇場ではここまでは気がつきませんでした。

石角 音については、ライブシーンはもちろんですが、シンプルなアコースティックのサウンドがいいですね。ベッドに寝転びながらピアノで「ボヘミアン〜」を弾いたり、フレディが何気なく歌ったりというシーンです。

 音数の少ないシンプルな場面ですが、フレディを演じたラミ・マレックのピアノの指使いまで聴こえてくる気がします。息遣いもそうですし、アコースティックな音ほどクリアーになる印象があります。すぐ側で聴いている感じは、劇場以上でした。

 また39分あたりの、レコーディング合宿場のリビングでボヘミアン・ラプソディを弾くシーンでも、そもそもがちょっとチープなピアノで、音もよくないのですが、その“音がよくない”ことまできちんとわかります。映像では打鍵の後の鍵盤の戻りがぼやんとしているんですが、その感触まで音でしっかり聴き取れたのです。“適当に置いてあるピアノの音”という印象がよく伝わってきました。

小野寺 ピアノの調律のずれ具合、放置されている様子にまで、制作側はきちんと気を遣って音をつけていたのですね。

石角 スタジオで録音している時のヘッドホンからの戻りの音もとてもリアルで、自分が演奏者になってメンバーのコーラスに合わせてギターを弾いているような錯覚を覚えました。あたかもその場にいるように感じられたのです。

 あと、スタジオでのブライアン・メイの服に緑が入っていましたね。コンソール卓の色も緑っぽかった。映像としては、緑や青を入れることで赤が強調されますよね。それもあってか、ブライアン・メイのレッドスペシャルと言われるギターが印象に残りました。あの赤のインパクトがすごく綺麗だなと感じたのです。

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——少し進めて、1時間30分以降のフレディとマネージャーのポール・プレンターの確執シーンをご覧いただきました。ここは雨音のサラウンド感が印象的な場面です。

石角 フレディがメアリーを追いかけて庭に出た場面で、後ろから撮影しているときはフレディの吐く息が白いのに、前から撮っていると息が白くないんですね。こんなところにも気がついてしまった(笑)。

 また雨の音が綺麗につながって、フレディの打ちひしがれる気持ちまでよくわかります。雨の音から冷たさが伝わってきたのです。このシーンは音楽がなく、効果音も雨音だけですが、それでも寒い感じをうまく出しているなぁと思いました。見事な効果音の使い方ですね。

 セリフと雨音がきちんと分離しているので、どちらもしっかり識別できました。だから、フレディの気持ちにより深く共感できたのでしょう。劇場ではこうはいかなかった。セリフと雨音がここまでクリアーに聞こえるのは、ホームシアターならではだと感じました。

小野寺 音楽が主役といっていい映画ですから、演奏以外の部分の音にも気を使っているのでしょうね。

石角 音だけでなく、色の演出にも気を配っていますね。前半は緑で、中盤が赤にポイントを置いている。後半はどうなるのか、楽しみです。

——では1時間50分過ぎからラストのライブシーンまでを、一気にご覧ください。

石角 ライヴ・エイドのシーンで気がついたのですが、ここでは観客もずっと歌っていて、そんな彼らの声が劇場よりもしっかり聴こえてきたんです。

 観客が写っているシーンで歌声のレベルが上がるのは当然ですが、クイーンの演奏シーンでもお客さんが歌っているのがちゃんと聴こえたんです。そのおかげで、自分もウェンブリー・スタジアムに一緒に居るような気分がいっそう味わえました。5.1chって楽しいですね。

小野寺 そういった細かい音の情報は配信ではなくなってしまいがちなのですが、今回は残すことができました。あと、面白かったのが、ライヴ・エイドのリハーサルシーンが、ロンドンのAIRスタジオで撮影されていることです。この建物は1992年の完成なので、1985年には存在しないんですが……。

石角 そうだったんだ(笑)。ウェンブリー・スタジアムでは、青があちこちに配置されていることに気がつきました。スタッフ、観客の衣装などで散らばっているんですが、引きの絵でみるとやはり印象に残ります。前半の赤、中盤の緑、後半の青がサブリミナル的に配置されていて、視覚的な効果を狙っているのではないかと思ってしまいます。

 こうして観ていると本作の映像は色がとても鮮やかで、色彩的な効果もちゃんと出ているなぁと感じました。音響効果、色彩演出など。ここまでこだわりを込めていたんだということに改めて気が付いたのです。

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——さて、ここまでビデオマーケットの配信で、『ボヘミアン・ラプソティ』の主なシーンをご覧いただきましたが、いかがでしたか。

石角 やはり5.1chの音が印象的で、ラミ・マレックの指使い、息遣いがすごく身近に感じられました。音楽はもちろんですが、効果音の隅々までがきちんと聴こえてきて、劇場で見ている以上の発見がありましたね。

 例えばピアノの上でペンを走らせている音や、ちゃちいピアノの音がきちんとチープに聴こえること、スタジオでヘッドホンにちゃんとモニターの音が帰ってくる、そういう細かな音が積み上がることで、作品としての臨場感、立体感ががぜん増してきました。

 またライヴ・エイドの観客の歌声に包まれて、自分がその場にいるように感じられたのも発見ですね。クイーンの演奏とは別に、そっちが面白いと思ったほどです。これはホームシアターで体験したからわかったことでしょう。

 色についても、緑、赤、青の3原色のサブリミナル効果が印象的です。監督の意図かどうかはわかりませんが、今日のシステムで見直すことで、色が劇場以上にクリアーになったように感じられました。

小野寺 色再現については、今日は液晶テレビでご覧いただいていますので、コントラスト再現は劇場より強く感じられると思います。また劇場より画面サイズが小さいぶん、凝縮感もアップしてきます。

石角 監督がどんなサイズを意識してボヘミアン・ラプソディ』を作ったのかわかりませんが、同じ作品であっても、劇場とはまったく違う楽しみ方ができました。

小野寺 ちなみに、クイーンファンならではの発見はありましたか?

石角 いちばん感動したのは最初のファンファーレですね。「これぞクイーンだ!」という音なんです。それを5.1ch環境で聴けたのは、鳥肌ものでした。

 ファンファーレの最後にギターをスライドさせる、その“ぐわん”という感じをちゃんと入れているのが、ブライアンの矜持だなと思いました。「さぁこれからライブが始まるんだぜ」という気分というか、そんなニュアンスが気持ちよかった。

 また細かい点ですが、39分あたりのピアノの弾き語りはクイーンの公式コピーバンドのボーカル、マーク・マーテルが歌っています。でも、51分頃にテレビから流れているのはフレディ本人の声です。そんな風に作品の中で使われている歌声が微妙に異なる。今日のシステムでは、その違いもきちんと聴き分けることができました。

 あと、ライヴ・エイドの「ボヘミアン・ラプソディ」で、フレディの声がかすれている部分、音が一瞬途切れてしまった部分までちゃんと再現していましたね。そんな細かいところまで完コピしなくてもいいのに(笑)。

小野寺 そこに気がつくのは、石角さんクラスじゃないと無理ですよ(笑)。

石角 この作品を作るに当たって、制作側も相当細かいところにまでこだわったんだと、改めてよくわかりました。特に効果音や色にここまで配慮していたというのは、新しい発見でした。

往年のクイーンファンも大満足の、配信クォリティ

石角隆行(いしずみ たかゆき)さん
有限会社 六角堂 代表代表取締役・パブリシスト
 レコード会社勤務を経て、音楽&エンタメ系のPR会社を設立。パブリシストとして活動中。いちクイーン・ファンが仕事で関わるきっかけは、19年ぶりにライブ活動を再開させた2005年のクイーン+ポール・ロジャース・ツアー初日のロンドン公演。そこでレコード会社の担当ディレクターと知り合い、以来、クイーン関連の原稿やイベント主宰に関わる。2011年にはロンドンで開催されたクイーン・デビュー40周年展でブライアンとロジャーにインタビューも行なう。

——今日の絵と音の満足度はいかがでしたでしょうか?

石角 劇場で観る『ボヘミアン・ラプソディ』も魅力的ですが、それとホームシアターは別物だと思っていいですね。それぞれで違う魅力を体験させてもらいました。今日の絵と音を知って、自宅に5.1chシステムを揃えたくなったくらいです。

小野寺 補足させていただきますと、本編に収録されていない21分バージョンの「ライヴ・エイド完全版」という特典映像が、UHDブルーレイなどに収録されています。弊社の配信でも、デジタルセル(EST)で本作をお求めいただくと、この特典映像まで楽しんでいただけます。

石角 そこもファンとしては気になっていた部分です。ぜひ、本編と同じ画質や5.1chサラウンドで観られるようにしてください。

小野寺 はい、FOXさんの協力をいただきながら、できるだけよいクォリティでお届けできるよう準備しています。

石角 本作は劇場で5回観ましたし、僕以上に繰り返して観ているファンも多いはずです。しかしホームシアターでは、それとはまた違う感動を得られるということがよくわかりました。ひとつの作品で、色々な楽しみ方ができる、『ボヘミアン・ラプソディ』の奥深さを改めて発見できた、貴重な体験でした。

小野寺 シャープのAQUOS対応機種で楽しめるCOCORO VIDEOやmusic.jp、DMMはビデオマーケットがサービスを提供しているので、これらのサービスでも同じ高品質で『ボヘミアン・ラプソディ』が楽しめます(ドルビーデジタル対応はビデオマーケット、COCORO VIDEOのみ)ので、ぜひこの機会に新しい映像体験をしていただければと思います。

ウェンブリー・スタジアムを蘇らせた、ビデオマーケットの5.1ch視聴システム

今回の取材では、ビデオマーケットの再生アプリをインストールしたソニーKJ-75X9400Cを使って、『ボヘミアン・ラプソディ』の配信ソースを再生している(2K→4K変換はKJ-75X9400Cの回路を使用)。音声信号はX9400CとヤマハRX-A3060をHDMIケーブルでつなぎ、ARC(オーディオリターンチャンネル)でドルビーデジタル5.1ch信号を伝送した。

●ディスプレイ:ソニーKJ-75X9400C
●AVセンター:ヤマハRX-A3060
●サブウーファー駆動用パワーアンプ:JVC PS2004D
●スピーカーシステム:パイオニアS-A7(フロント)、S-A6C(センター)、S-UK3(サラウンド)、ヤマハJA-3882による自作密閉型(サブウーファー)

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