「Pro IEM」シリーズ FENDER TEN 3

グルーヴあふれるサウンドで、楽曲の魅力を十全に引き出す

 エレクトリックギターの世界で圧倒的な知名度を誇る名門楽器ブランド、フェンダー。同社は2015年にIEM(イン・イヤー・モニター)の人気メーカー、オーリソニックス社を買収し、イヤホン事業に電撃的な参入を果たした。
 新規参入にも関わらず、フェンダーブランドのイヤホンは瞬く間にイヤホンユーザーや音楽ファンに受け入れられた。オーリソニックスが持っていた独創的な技術と、音楽を知り尽くしたフェンダーの感性が高次元で融合した結果と言えよう。また、米国テネシー州ナッシュビルのデザインラボで設計と製造を行なうクラフツマンシップ像が、ファンの心を掴んだことも成功の一因だろう。

 ここで紹介するTEN 3は、プロフェッショナルや音質最重視のコアなユーザーに向けたインイヤーモニター「Pro IEM」シリーズに属すミドルクラスモデル。10㎜口径のダイナミックドライバーと、超高域、高域、中域を担当する3機のBA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを搭載するハイブリッド型だ。同社独自の「3Dプリント・デジタルハイブリッドテクノロジー」は精密なハウジング加工が可能で、マルチBAドライバーを搭載しながらもハウジングサイズをコンパクトに抑えた結果、カスタムIEMのようにフィット性を高めている。  

 試聴はDAPにLotoo(ロトゥー)のPAW5000MKⅡを使用。人気ロックバンド、グリーン・デイの『アメリカン・イディオット』では、楽曲に対して忠実な音色で、ビート感のあるギターやスピードあふれるベース表現など、ロック再生で必須のグルーヴを感じさせる。サム・スミス『スリル・オブ・イット・オール』では、ヴォーカルが近すぎず遠すぎず的確な距離感で表現される。

 TEN3が使う複数の帯域をそれぞれ別のドライバーで駆動するマルチドライバー方式は、スムーズなつながりを得るのが難しい。しかし、本機のサウンドはワイドレンジで、高域から低域までのつながりがとても優れている。HiViベストバイ上位機種の実力は伊達じゃない。

FENDER TEN 3
●ドライバー:10mmダイナミック型、BA型×3
●インピーダンス:33Ω 
●出力音圧レベル:108dB/1mW
●再生周波数帯域:6Hz~20kHz
●プラグ形状:3.5mmステレオミニ
●ケーブル長:1.2m(Talon 2-Pin型着脱式)
●付属品:フォームイヤーチップ(3サイズ)、TPEイヤーチップ(4サイズ)、
    6.3mm標準変換プラグ、ハードケース

問い合わせ先:フェンダーミュージック 0120-1946-60