古新舜監督の最新作となる「あまのがわ」が2月9日より上映中だ。人間にとって大事なモノを失ってしまった男女が、ふとしたきっかけで知り合うことで、それぞれ失ったモノを補い成長していくさまを、屋久島の大自然を通して描いたヒューマン作だ。主演・琴浦史織を演じるのは、本作が初主演となる福地桃子。失い、気づき、そして成長するという難しい役どころを体当たりで演じた彼女にインタビューした。

――初主演おめでとうございます。
 ありがとうございます。決まった時は、とにかくびっくりして、不思議な気持ちで一杯でした。

――オーディションの時のことは覚えていますか?
 はい。事前に教えていただいたのはストーリーの要点だけでしたけど、舞台となるのが屋久島と聞いて、自分にとって思い入れのある土地でしたから、頑張ろうという気持ちで臨みました。オーディションは、リラックスできたし、自分の思っていることをお話できたっていう印象はありました。

――思い入れがあるというのは?
 (屋久島には)小学3年の時に行ったことがあって、その時に初めて、自然のパワーって本当にあるんだなって感じて、強く記憶に残っていたんです。

――縄文杉も見ましたか?
 はい。ものすごく大きく育った幹を見て、植物や自然に対して、もっといろいろなことを知りたいなっていう気持ちが芽生えた瞬間でした。

――撮影に入るまでのことを、史織の役作りを含めて教えてください。
 撮影に入るまでに、結構時間がありましたので、太鼓の練習も含めて、ひとつひとつクリアして行こうと決めて頑張りました。まずは太鼓の練習から始めたんです。史織にとって、その太鼓が重要なキーワードになりますから、とにかく必死に練習をして、上手に叩けるようになろうって! そうしていく中で、自分の成長(上達)を感じられる瞬間が出てきたんです。

 映画の中で見せる史織の成長を、太鼓の練習を通して、自分の感覚として引き出すことができた気がするんです。つまり、成長をどう表現するかと考えるのではなく、ちょっとしたことで得た自信や、周りの人たちにかけてもらったひとこと一言を心に刻んで、あるいは心に届けて、それを宝物のように感じること。それが、この映画を撮っていく上で、どんどん自分自身に身に付いていったことなんじゃないかなって思っています。

――屋久島での生活を通して、史織は表情がとても明るくなりました。
 屋久島に行くことが、史織にとってはいい経験になったと感じています。お母さんと離れたことや、自分でやらないといけないことが増えたこと、あるいはバイトを通してちょっとだけ大人扱いをされたことなど、その場所で感じたことを吸収できたことが、ある意味気分転換になったのかなって思いますね。もちろん、私自身も思い入れのある土地へ行けたっていううれしさで一杯でした。

――ところで、史織と星空(せいら)は、今後どうなるのでしょう。
 そこは、変に意識(恋愛? 友達?)をしないで撮っていましたので、どうなっていくかというよりは、なんでも話せるすごくうらやましい関係が、そのままずっと長く続いていってほしいなって思います。

――最後に見どころをお願いします。
 私の演じた史織は、主人公ではありますが、このお話に出てくる一人ひとりが、その場所で一所懸命に生きているからこそ、史織も、頑張らないといけないって感じたと思うんです。そうした登場人物一人ひとりにあるエピソードや生き方をぜひ、観てほしいです。

映画「あまのがわ」
2月9日より有楽町スバル座ほか全国順次公開
<出演>
福地桃子/柳喬之、吉満寛人、マツモトクラブ、住岡梨奈、西田聖志郎、渡邉幸愛、園田あいか/杉本彩、生田智子、水野久美 他
<スタッフ>
監督・脚本・原作:古新舜
主題歌:住岡梨奈「あまのがわ」(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
配給:アークエンタテインメント
(C)あまのがわフィルムパートナーズ
公式サイト:https://amanogawa-movie.com/