800NE(New Era=新時代)シリーズは1600NEシリーズの“弟分”という位置付けだ。ただしCDプレーヤーDCD-800NEでは“エントリーグレードを越える”と自賛している。価格は抑えつつ、高音質を達成したという自負がうかがえるのだ。今回はネットワークオーディオプレーヤーDNP-800NEを加えて800NEシリーズの音質を確認してみた。

写真左:DNP-800NE  写真右上段: DCD-800NE 下段: PMA-800NE

Denon
NETWORK PLAYER
DNP-800NE
¥60,000+税
●接続端子:デジタル音声入力1系統(USBタイプA)、アナログ音声出力2系統(RCA×2)、デジタル音声出力1系統(光)、LAN 1系統 他●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:〜5.6MHz(DSD)、〜192kHz/24ビット(PCM)●備考:デュアルバンドWi-Fi内蔵●寸法/質量:W434×H107×D312mm/3.9kg

CD PLAYER
DCD-800NE
¥60,000+税
●再生可能ディスク:CD●接続端子:デジタル音声入力1系統(USBタイプA)、アナログ音声出力1系統(RCA)、デジタル音声出力2系統(同軸、光)●寸法/質量:W434×H107×D275mm/4.5kg

INTEGRATED AMPLIFIER
PMA-800NE
¥70,000+税
●定格出力:50W×2(8Ω)、100W×2(4Ω)●接続端子:アナログ音声入力4系統(RCA)、MM/MC対応フォノ入力1系統(RCA)、デジタル音声入力4系統(同軸、光×3)、ヘッドホン出力1系統(6.3mm標準フォーン)、アナログ音声出力1系統(RCA)他●寸法/質量:W434×H122×D307mm/7.5kg

大オーケストラもよく構築する精密な再生能力は高水準

 PMA-800NEはプリメインアンプだが、DACを搭載して光と同軸のデジタル入力端子を装備している。ピュアアンプ系としては近頃珍しい仕様だ。ただし独自のデジタルフィルター“アドバンスドAL32プロセッシング・プラス”は搭載していない。またPMC192kHz/24ビットまでに対応を絞ったDACである。アンプ自体はハイゲイン仕様の一段構成。終段はシングルプッシュプルで出力素子は大電流型のトランジスターを採用。これは上位機ゆずりだ。電動の機械式ボリュウムを搭載しているのも特徴。大型電解コンデンサーの外皮の印刷や色にまでこだわった音質対策はシリーズ共通のもの。

 CDプレーヤーDCD-800NEは、この価格帯でアドバンスドAL32プロセッシング・プラスを搭載。16ビットの信号であっても独自の補間処理にて32ビット精度で処理している。それに加えて705.6kHzつまり44.1kHzに対して16倍のサンプリング周波数で補間しているのはハイレゾ時代にふさわしい。DACはバーブラウン製(TI)のPCM1795を採用。32ビット、そしてDSDの5.6M㎐の処理が可能だ。USBメモリー経由でハイレゾ再生にも対応。

 DNP-800NEはDNP-730REの上位機。HEOS(ヒオス)と名付けた独自の無線リンクで自社製品とリンクし、また各種の音楽ストリーミングサービスを楽しめるのは承前。DACのPCM1795も承前。新しいのはアドバンスドAL32プロセッシング・プラスを搭載したことだ。

PMA-800NE

↑アナログ入力時にデジタル回路を停止して高周波ノイズを抑える「アナログモード」を装備

↑アナログ入力のほか、MM/MC対応のフォノ入力、192kHz/24ビットまで対応するデジタル入力(同軸、光)を備える

↑写真左上のボックスは放射ノイズを低減するためにシールドケースに覆われたデジタル入力基板が収まる。電源部(写真右側)にはPMA-800NE専用に開発されたカスタム仕様のコンデンサーが備わる。HC(High Current)トランジスターを用いた出力段は、中央のヒートシンクにマウントされている

小型スピーカーでは音符に生々しい活気を与える

 まずはCDプレーヤー単体の音だが、これは減衰音が精妙で音場の立体構造が透視できるのが魅力だ。繊細な質感の違いを描き分けるし、音像はよく彫り込まれているが輪郭を強調せず。エルビス・プレスリーの最初期のゴスペル歌唱など肉声感と教会唱法を会得した柔和な表情が素晴らしい。若いエルビスの美声が伴奏歌手と共に和声の海に溶解するような没入感が再現されるのだ。オーケストラの充実感やラテン系の推進力のあるリズムも十全に再現するし、USBメモリーによるハイレゾ音源も同様にこなれた高品位音声だ。注意したいのは、AL32処理による滑らかさや豊潤な響きが不要と感じることがあることだ。

 それについてはデジタル出力でアンプのPMA-800NEに接続することで確かめられる。AL32処理が働かないからだ。アナログ接続よりデジタル接続の方がしゃきっとした音像描写になり、ジャズやラテンはこちらの方が快適に聴こえることも多いのだ。それにしてもこのアンプは全方位的にバランスの取れた音質であり、小規模のスピーカーシステムを駆動するかぎり大オーケストラの質量感やスケール感もよく構成できるのが魅力だ。軽妙なバロック音楽とて、ビブラートなしのヴァイオリンが音符に生々しい活気を与えつつ、淡彩色の響きに没する様子が克明だ。これはたしかに高級機並の達成感を味わえる高い品位の音といっていい。

 DNP-800NEを以上の両者の間で使ってみた。CDプレーヤーのDACとして使うと、さすがに瞬発力や精密感が増すし、AL32処理も表現域の広さがあって好ましい。LAN接続でファイルオーディオの再生を試みると、これもCDと同質感のある音であり、いちいちハイレゾらしい帯域感を誇示したりしない。でもじっくり聴き込むと、減衰音の濃淡模様やオーケストラの奥行や高さのある響きがよく見通せるようになるわけで、精密な再生能力は高水準だ。

 最後にUHDブルーレイをオッポデジタルのUDP-205からPMA-800NEにデジタル接続して視聴。ただし各種音声のデコード機能はもたないのでプレーヤー側でLPMCの2チャンネルダウンミックス出力にして視聴。これは高い鮮度感と背景に埋もれがちな片々とした音をよくすくいだす能力が新鮮な印象。声のキレもいい。映画らしい迫力志向ではないが、小部屋のサブシステムで映像鑑賞という用途に好適だ。

DNP-800NE

DCD-800NE

↑ネットワークプレーヤーのDNP-800NE(写真上)とCDプレーヤーのDCD-800NE(写真下)は共通のDACチップPCM1795を内蔵し192kHz/24ビットのFLACやWAV、DSD5.6MHzまでのハイレゾ再生に対応する。DNP-800NEのアナログ出力は固定レベル出力「FIXED」と内蔵ボリュウムを有効にする可変出力「VARIABLE」の2系統が備わる。またDNP-800NEは3段階「高/中/低」のゲイン切替えができるヘッドホンアンプも内蔵している